039
箱の中身は、決して金銀財宝なんかでは無い。
それは思い出だけの、ただのガラクタ。
子供の頃の宝物なんか、そんなモノだろうとわしは思っていた。
だが、出てきたモノを見て苦笑いしか無かった。
「柿の種……なんだ?これ」
出てきたのは、柿の種だ。
文字通りの種が出てきて、驚いていた。
ほかにも、チョークやボロボロの着せ替え人形。
いろんなモノが出てきて、わしも興六郎もただただ驚いていた。
「これってお兄ちゃん」
「やばいな、これは」
わしは、苦笑いをするしか無かった。
それでも出てきたモノを一つ一つ見る度に、思い出してしまう。
わしが子供だった頃の、様々な悪行だ。
女の子の着せ替え人形を、奪ったこともあった。
チョークで、悪戯書きを書いたこともあった。
そして、盗んだ柿を食べた種。
悪童だった、わしのいろんな過去が蘇った。
全部が、悪戯で使ったアイテムの数々。
なんで、これが宝物なのだろうか。
なんで、これの地図が興六郎のズボンのポケットにあったのか。
いろんな子供のころの思い出を、わしは蘇らせていた。
「あっ、これって母親に怒られて……慌てて興六郎のポケットに隠したんだ」
「そうだったんだ、お兄ちゃん」
興六郎は、困惑した顔を見せていた。
興六郎には、いろいろ苦労をかけた。
しかも、その罪までもわしは大事な弟に押しつけようとしていた。
実にヒドイ兄で、救いようがない。
「でも、このときは楽しかったな」
「兄さん」懐かしむわしに、声をかけてきたのは興六郎。
「なんじゃ?」
「兄さんは、この公園を廃止させたいの?」
「……そう思っていたんじゃが、忘れていた。
悪い面ばかりを感じていた、こんなに宝物のような思い出があるのを忘れていた」
「だったら?」
「ああ、もうこんなのはやめる。
もう少し、市とも話を続けてみようと思う。
今度は、少し冷静になって……な」
わしは、見直さなければいけない。
わしがやろうとしたことが、正しくないことを。
わしにとっても、この場所がとても大事だったと言うことを。
「そろそろ出るか?
今ならおそらく、ここから出られるかもしれない」
クッキーの空き缶……宝物を持ったわしは立ち上がった。
そして、わしの隣で小さな興六郎も又立ち上がっていた。




