表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最高の人材を求めて  作者: 葉月 優奈
三話:迷惑老人・『|柴島《くにじま》 栄五郎』
39/56

039

箱の中身は、決して金銀財宝なんかでは無い。

それは思い出だけの、ただのガラクタ。

子供の頃の宝物なんか、そんなモノだろうとわしは思っていた。

だが、出てきたモノを見て苦笑いしか無かった。


「柿の種……なんだ?これ」

出てきたのは、柿の種だ。

文字通りの種が出てきて、驚いていた。

ほかにも、チョークやボロボロの着せ替え人形。

いろんなモノが出てきて、わしも興六郎もただただ驚いていた。


「これってお兄ちゃん」

「やばいな、これは」

わしは、苦笑いをするしか無かった。


それでも出てきたモノを一つ一つ見る度に、思い出してしまう。

わしが子供だった頃の、様々な悪行だ。


女の子の着せ替え人形を、奪ったこともあった。

チョークで、悪戯書きを書いたこともあった。


そして、盗んだ柿を食べた種。

悪童だった、わしのいろんな過去が蘇った。


全部が、悪戯で使ったアイテムの数々。

なんで、これが宝物なのだろうか。

なんで、これの地図が興六郎のズボンのポケットにあったのか。

いろんな子供のころの思い出を、わしは蘇らせていた。


「あっ、これって母親に怒られて……慌てて興六郎のポケットに隠したんだ」

「そうだったんだ、お兄ちゃん」


興六郎は、困惑した顔を見せていた。

興六郎には、いろいろ苦労をかけた。

しかも、その罪までもわしは大事な弟に押しつけようとしていた。

実にヒドイ兄で、救いようがない。


「でも、このときは楽しかったな」

「兄さん」懐かしむわしに、声をかけてきたのは興六郎。


「なんじゃ?」

「兄さんは、この公園を廃止させたいの?」

「……そう思っていたんじゃが、忘れていた。

悪い面ばかりを感じていた、こんなに宝物のような思い出があるのを忘れていた」

「だったら?」

「ああ、もうこんなのはやめる。

もう少し、市とも話を続けてみようと思う。

今度は、少し冷静になって……な」

わしは、見直さなければいけない。

わしがやろうとしたことが、正しくないことを。

わしにとっても、この場所がとても大事だったと言うことを。


「そろそろ出るか?

今ならおそらく、ここから出られるかもしれない」

クッキーの空き缶……宝物を持ったわしは立ち上がった。

そして、わしの隣で小さな興六郎も又立ち上がっていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ