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最高の人材を求めて  作者: 葉月 優奈
三話:迷惑老人・『|柴島《くにじま》 栄五郎』
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二人がいなくなって、また兄弟二人きりの公園だ。

わしと興六郎、二人きり砂場で穴を掘っていた。


砂場では、いくつもの穴が見えた。

でも、肝心の宝はまだ見つからない。

それでも、公園の周りにある透明な壁。

おそらく宝物を探さないと、出ることが出来ないだろう。

他にヒントもないので、穴を掘り進めるしかなかった。


「掘り出した事って?なかった」

「ない」

わしと興六郎は、喋りながら砂場を掘り進めた。


「でも、淀川さんの年齢って今の兄さんぐらい」

「お前も、わしと変わらないだろ」

「そうかな?」

わしらは、淀川に救われた過去があった。

迷子のわしら兄弟に、声をかけてくれた大阪の老人。


淀川に、わしは思い出があった。

60年以上前のことだけど、こうやってはっきり覚えていた。


しかも、翌年わざわざこの場所に来ていた。

そこで埋めたのが、今探している宝。


「あっ」反応したのはわしだ。

手に何か、硬いモノが当たったのを感じた。

一気に掘り起こすわしは、とうとう辿り着いた。


それはクッキーが入った、古ぼけた缶。

直方体の缶を見つけて、わしは持ち上げた。


「これだね」

「あー、そうだった。これだ」

やはり、現物を見たらはっきりと思い出した。

このクッキーの空き缶は、父親の家にあったいらないアルミの缶。

お歳暮にもらったらしく、その缶を使って宝箱を入れていた。


とうとう見つけた宝箱に、わしも弟も目がキラキラと輝いていた。

胸も、子供の時のようにドキドキして高鳴っていた。


「いいか、開けるぞ」

わしは、息をのんで缶の蓋に手をかけた。

隣で興六郎が、箱の中を覗き込むように見ていた。



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