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最高の人材を求めて  作者: 葉月 優奈
三話:迷惑老人・『|柴島《くにじま》 栄五郎』
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――2024年12月19日――

平日の木曜日、わしの姿はいつもの公園ではなかった。

それは、箕面市役所だ。

きれいに掃除された役所には、平日の昼間でも市民が訪れていた。

市役所の受付カウンターで、ジャージ姿のわしは何度も来ていた。


対応していたのは、七三分けのスーツ姿の男性。

見るからに市役所の職員風の男性は、困惑した顔を見せていた。


「ですから、柴島さん。それは、どうしても無理なんですよ」

「早く公園を撤去しろって、こちらは何度も言っているだろ!」

わしは、険しい顔で職員の男を怒鳴りつけた。

怒鳴られたわしを、職員はそれでも拒否を続けた。


周りの視線は、やはりわしとその職員に集められた。

わしに対する侮蔑の視線。

職員に対する哀れみの視線。


「とっとと、撤廃しろって言っているんだ。

あの公園、『箕面第四公園』を。市民の声を無視するのか」

「お気持ちは分かります。

子供の声が、五月蠅いと言うことですよね」

「わしの家の目の前が、公園の唯一の出入り口だ。

何度も要請しているが、入口の増設もしない。

だったら、公演ごと撤廃をしろと言っているんだ!」

わしは、何度も何度も訴えていた。


箕面第四公園の撤廃を。

子供が騒いで、いつもこの公園に人が集まった。

だけど、わしの家はその公園の目と鼻の先だ。

昼夜構わず騒ぐ子供が多くて、目の前に家に住むわしは騒音で悩まされていた。


「しかし、あの公園は市民の憩いの場でして……

あの近くには、公園もありませんし」

「憩いの場だろが、関係ない。

わしは、とても迷惑をしているんだぞ!」

「そう簡単には要望は聞けませんよ、柴島さん」

「なんだと!お前らは、税金をもらっているんだろ!

市民のわしの意見は、無視するのか?」

担当者とわしの意見は、かみ合わない。


あの場所で、子供が大騒ぎしてわしは叫ぶようになった。

それは、今から15年ほど前の頃からだろうか。


それが原因で、騒音問題が公園を管理する市との間で何度も訴えていた。

妥協案をわしは、初めは出していた。

公園の入口の増設だ。


しかし、公園を管理する市側は入口を増設に賛成しなかった。

理由は、簡単だ。

反対側の住宅には、市側の重役の家が建っていたからだ。

入口を増設することで、わしの家同様に子供達の騒ぎ声で騒音問題が発生してしまう。


だから、市は絶対に公園の入口増設をしなかった。

対応しないわしは、いつも怒っていた。『箕面第四公園』の撤廃を。


「どうして何もしてくれない。わしの言葉は……なぜ聞き入れないのか?」

「はいはい」わしの裏では、既に他の人間が動いていた。

わしの背後には、警備員が二人呼ばれていた。


「おじいさん、出ていきましょうね」

「少し、頭を冷やしましょう」二人の警備員が、わしの両肩を掴んでいた。

力尽くで、わしを連れ出そうとする警備員。

目の前の市の担当者は、ほっとため息をついていた。


「離せ、わしはまだ言い終わってない!」

「はいはい、一旦出ましょうね」

警備員に連れ出されて、わしはこの窓口から追い出された。

男二人に掴まれたわしは、暴れて叫んでもどうにもならなかった――



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