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最高の人材を求めて  作者: 葉月 優奈
二話:独身保母・『泉尾 |輝《あきら》』
17/56

017

――2024年9月14日――

眠ったあたしは、目を覚ました場所を見て驚いていた。

それは、見た事の無い場所。

高級ホテルのようなベッドの上に、あたしは眠っていた。


周りの部屋も、白い壁にシャンデリア。

大きなカーテンに、綺麗な家具。

どこからどう見ても、貧しいあたしの家では無い。


スーツ姿のあたしは、見慣れない部屋に驚いていた。


(どこよ、ここ?)

居酒屋にいたところまでは、ぼんやりと覚えていた。

そこでとても格好のいい男性に会って、話かけられた。

いい男だと思いつつも、最後に居酒屋に似合わないセーラー服の女が出てきた。


そこまでは覚えているが、その後凄い眠気に襲われて眠ってしまった。

眠ったあたしは、子供の頃の夢を見ていたようだ。


間もなくして、広い部屋のドアが開く。

「誰?」あたしは身構えた。

ドアを開けると、そこには一人の男性が姿を見せていた。

白いバスローブ姿の男性は、あたしが居酒屋で会った男性。


「やあ、目が覚めたのかい?」

「あなたは……昨日の」

そこにいたのは、商社で働く居酒屋で出会った的場だ。

日に焼けたイケメン男性は、部屋で見ても格好がいい。

酔いが既に覚めたあたしは、冷静な顔で彼を見上げていた。


「急に眠ってしまったから、僕がここに運んだんだよ。

あんな場所で、お姫様を眠らせて立ち去るわけにはいかないからね」

「え、うん」反射的に言われて、照れてしまったあたし。


(すごい、格好いいけど……あたしとは釣り合わないかも)

どこからどう見ても、完璧な男性。

対応、仕草、力も。

あたしは、そんなイケメンの的場に引け目を感じてしまう。

だけど、イケメンの的場は爽やかな顔を見せていた。


「とりあえず、ご飯にしよう。

あまりうまい料理が、作れなかったけど」

ドアが開いた奥から、光が差し込んできた。


「あの、あたし……」戸惑うあたしに、的場は迫ってきた。

バスローブ姿の彼は、シャンプーのいい香りが漂っていた。

的場が近づくと、あたしはドキッと胸が高鳴った。


そして、不意に迫る的場にあたしはベッドの上に倒れてしまった。

真剣な眼差しの的場に、あたしは顔が赤くなった。


だけど、彼もはっきりと顔が赤いのが見えた。

爽やかな彼だけど、少し緊張が伝わってきた。


「あの、あたし……」

「大丈夫、僕も君が思っている以上に魅力的だと思うから」

「え?」的場が、そのままベッドの上に乗っかってきた。

あたしの上には、イケメンの的場。

彼の強い眼差しが、あたしに向けられて胸が熱い。


「変なことはしないよ。ただ、男は獣だからね」

「ちょっと……何を」

あたしは戸惑う中、的場の顔が迫ってきた。

いや、それはあたしの唇に彼の顔……唇が迫っていた。


(やばい、やばい、このシュチレーション。

漫画のような……ドラマのような)

そして、あたしはキスをした。

久しぶりにした男とのキスは、とても心地が良かった。

忘れていたあたしの中の乙女が、呼び覚まされた瞬間でもあった。



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