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駐車場は、保育園の敷地から少し離れていた。
保育園が契約した月極駐車場を目指して、住宅街をさらに走らせた。
間もなくして辿り着いた駐車場、俺の眠さはさらに増していた。
駐車場には、他にも保育園で働く人の車も止まっていた。
保育園でまとめて借りていて、俺の通勤用の愛車もここに駐車していた。
当時の車は、300万で買った電気自動車。
真っ赤なボディが美しいこの車は、駐車場でも目立っていた。
マイクロバスをバックで止める俺は、適切な運転技術を持つ。
慣れた様子で、マイクロバスを駐車エリアに止めた俺。
駐車をスムーズに行なった俺は、鍵を抜いた。
仕事終わりに提出するバインダーが、ダッシュボードに置かれていた。
バインダーを持って、俺はチェックシートを見ていた。
シートベルトを外して、運転手のそばのドアを開けた。
(仕事を終わらせて、仮眠でもするか。
昨日は、海外サッカーを夜中まで見ていたから超眠い)
運転をしていても、眠気が襲ってきた。
カップホルダーに置かれたブラックコーヒーの空き缶も、回収をした俺。
徹夜明けの運転は、かなり体に応えた。
体がずっしりと重くて、頭も朦朧としていた。
さっきの保母との会話も、ほとんど記憶に入ってこない。
(まあ変更は、いつも通りだし)
保育園や保護者の話は、最後の数秒だけ聞いていればいいと思っていた。
それまで他愛も無い話をする女の話は、世間話に余りあわせない。
仕事柄相手にするのはほとんど女性だし、つきあっていた彼女とも余り話さないし。
適当に相槌を入れる技能を齢22の若さで、既に身につけていた。
まあ、一種の社交辞令というヤツか。
午前便が終わると、後の仕事は夕方便の送迎だけ。
この保育園は、家から10分もないかなりの近場。
帰って4時間仮眠取る事も、普段から行なっていた。
そんな俺は運転手のドアを閉めようとしたとき、何かを一瞬マイクロバスの中で感じた。
(さすがに誰も、いないよな?)
気配を感じたけど、マイクロバスをチラリと見て……そのままバスを出て鍵をかけた。
鍵をロックして、鍵を持ったままそのまま俺は保育園に向かって歩き出した。
歩きながら、俺はバインダーのそばに刺さっていたペンを持った。
バインダーを見ながら、ペンを握ってチェックを進めた。
(今日も異常は無し……と)
保育園に提出するマイクロバスの運転記録チェックシートに、俺は記入をしていた。
慣れた様子で、俺は記入をしながら保育園を目指す。
だけど、ここで俺は二つ目のミスを犯していた。
なぜならば、あのときマイクロバスの中に一人の園児が残っていたのだから――




