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神様のお話し

 齢五十も過ぎると人としての落ち着きやら世の中を大局で見通せる思考やらが求められたりするが、僕は平々凡々に生きてきただけのごく普通のおじさんだ。未だに物欲もあるし嫌いな人もいるし、なんなら女の子からモテたいとも普通に思う。ただ、それが馬鹿げた欲だと言うことも理解出来るようになった。いや、老眼や体力の衰えと同じくらい受け入れられるようになったと言うべきか。受け入れられるからこそ欲を満たすための努力はしない。

 初詣で以外にも年に2.3回神社にお詣りに行く事が僕にはあるが、困った時の神頼みであって信心深い訳じゃない。お詣りに行くのだって、気になる人と食事の約束が出来たとか、嫌いな人が小さな災いを被った、はたまた欲しいと思っていた車が手の届く予算で中古車が見つかったなどといった僕の小さな欲が叶えられた時のお礼を伝えに行くためだ。

 今の住まいに引っ越してしばらく、一番近所の小さな神社に初詣でに行ってた頃はなんの御利益も感じられなかったが、不思議な事に少し離れた別の大きめの神社に行くようになってから小さな欲が、もちろん全てでは無いが時折叶うようになっている。それ以来、その大きめの神社にはお礼に行くようしている。近所の小さな神社は社があるだけで普段は神主さんや巫女さんなどはいない。社の守り人は町内会の人達であり、昔からこの地域に住んでいる地元の人達だ。なのでこの地域にとってこの神社は大切な地域の神様である。一応僕もここに引っ越してから僕も20年以上経つが、400年以上の歴史を持つ神様にとっては僕は新参者、或いは部外者なのかもしれない。その点、大きめの神社には神主さんも巫女さんもいるので僕のような新規の参拝客も受け入れやすいと思われる。大きめの神社はいくつか分社もあり、実は近所の小さな神社もその分社の一つなのだが、そんなチェーン展開もされている大きめの神社は僕にとっては御利益を感じられる、今風に言うとなかなかのパワースポットと言う訳だ。(あとから知った事だが、実はこの大きめの神社も総本社では無かったが、僕にとってそれは大した問題では無い)

 ちなみに大きめ神社に行くようになってから数回目に願ったのが離婚だ。今思えばそれは単なる決意表明に過ぎず、その後に自身で行動に移しただけなので、神様が僕のよこしまな願いを叶えた訳じゃない事は神様の名誉のためにも言っておこう。小さな神社の神様の名誉ののためにも、もう一つお話しをしておこう。

 今よりもまだ考えが純粋だった(笑)頃の僕は初詣でに行っても願い事といえば「僕の身の回りの人が穏やかに過ごせますように。」なんていった曖昧な願いだった。それがちゃんと叶えられていたのかは僕には分からないが、もしかしたら神様はちゃんと頑張っていたのかもしれないし、よこしまな願い事では無い分、今よりも余程健全とも言える。しかし、そう、その頃の僕は願い事をしてもそのあとでの行動が伴っていなかった。日々の暮らしに精一杯なのは今も変わらないが、願い事や目標に向かって努力をしない者の背中を神様が支える義理もないって事だ。神様は人界を見守るものであって万能なチート能力をむやみに振り回すような幼い存在じゃないって事だ。さて、今度また神社にお礼を伝えに行けるように、少しだけ動いてみようか。

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