078 最弱スライムは伝説の勇者に一生かけて守ってもらいたい
「………
………
………
…ひっ、ひぃっ!
ゆ、勇者さんだ…!
………ごめんなさい!ごめんなさい!
殺さないでください殺さないでください!
私なんて経験値ちょっとしかない底辺中の底辺のゴミカススライムなんです!
私を倒してもちょっとしか経験値入りません!
剣を振って倒す意味なんて全然ないですないです!
魔法を当てる価値なんてないんです!
スキル発動してもMP損するだけです!
だからお願いです!見逃してください見逃してください!
どうか、この通りです………
………
………
………
…あ、あれ?まだ生きてる………?
…あ、あ、あっ、ごめんなさい。勝手に頭上げて。
勇者さん…いや、勇者様の前で頭を上げてすみません!
気に障ったら謝るので、こ、殺さないで………
………
………
………
…み、見逃してくれるんですか?
………あ、あ、ありがとうございます!
このご恩は一生忘れませんので!
じゃ、じゃあ。
私は、この辺で…
(ピューッ!)」
「………
………
………
あう、あう。ゴ、ゴブリンさん…
そ、そんなに大勢で、どうしたんですか?
………え、下級モンスターが人間に売れる?
…あ、ドラゴンさんとかの、エサとして………
………
…え、あーと、その。
こんなひ弱なスライムなんて、食べてもおいしくないかと………
………あ、この間の勇者さん。
…た、助け………
………あ、いえ、ごめんなさい。
この間見逃してもらっただけでも大大感謝なのに、た、助けてもらおうなんて、そんな大それたこと………
(ヒュン………バタバタバタバタ)
………え、え…ゴブリンさん達が、全………滅…
た、倒して、くれたんですか………?
あ、あ、ありがとうございますありがとうございます!
また、助けてもらえるなんて、光栄の至りですっ!
………あ、はい。
えっと、今度からは、気を付けます………
は、はい。はい…
そ、それじゃあ…
あっと………ありがとうございましたっ!」
「(ピューッ!)
…ひ、ひぃぃぃぃぃぃっ!
た、助けてー!
………うっ、ついてないついてない。
ちょっと道端で寝てたら、冒険者達が来て囲まれちゃうなんて。
あうあうあうあうあうあうあうあうあう!
………も、もうおしまいだー!
………あ、あれは…
(ピューッ!)
…ゆ、勇者さん!
あ、あの、えっと、その………
………はい。
そんな、感じです…
………あ、冒険者達の方に………
………
………
………
…戻って、来た。
………あ、あの、その。
も、もう、なんて言ったらいいのか………
勇者さんには、感謝してもしきれないないです…
………いえ!
勇者さんには大したことないことかもしれないですけど、私にとっては超超超大事なんです!
こ、こんな私を助けてくれるなんて、それは、もう………
勇者さんがいなかったら、多分私は今頃………
………
…あ、あの、これからも。
気が向いた時でよければ…
私のこと、助けてください………」
「…ひ、ひぃっ!長い槍を持った騎士さんだ。
…こ、今度は、毒を持った触手さん………
…あ、あっちには、ま、魔女さんが…
………うう、怖いです怖いです。
あんな人達の前に出たら、こんな最底辺の中の最底辺のスライムなんて、一瞬でやられちゃいます…
………し、仕方ないじゃないですか。こ、怖いんですから………
で、で、でも。
こうして、勇者さんにぴったりくっついてると…
ちょ、ちょっとだけですけど、こ、怖くないです。
勇者さんは何があっても助けてくれる。勇者さんは何があっても守ってくれるって思うと、心の中で、小さいですけど、安心できるんです………
貧弱で弱小で雑魚なスライムの私ですけど、勇者さんと一緒なら、生きていけるんだなって。
………ゆ、勇者さん。
こ、これからも、ずーっと…
私のこと、守ってくださいね。
ゆ、勇者さんから離れると、私なんて、すぐに死んじゃいますから。
これから、一生、勇者さんから離れません。
わ、私は、勇者さんと、一緒に生きたいです。
よ、よろしくお願いいたします………
………
…あっ、あれは…ゾ、ゾンビさん………
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いよー!」