007 幸せいっぱいの花嫁が結婚式の式場で花婿の下に向かうと…
「ああ、ようやく、この日が来た。
愛する彼と永遠の愛を誓い、一生を添い遂げるための儀式、結婚式。
バージンロード、牧師様、指輪、ウエディングドレス。
必要なものは、すべて、ここにそろっている。
今日でようやく、彼との永遠の契りを結べる。
なんて、極上な日なのかしら。
待っててね。私の旦那さま」
「………なんだか騒がしいようだけど、何かあったのかしら。
これから私と彼との結婚式が始まるというのに、騒がしくしてるなんて、よほどのことでもあったのかな。
…まあ、いいや。
あの扉を抜ければ、愛しのあの人が待っている。
あの人は、きっと純白のタキシードで、私を待っている。
今から胸がどきどきして、張り裂けてきそう…
(ガチャッ)
ああ、やっぱりいた。
バージンロードの先に、あの人がいる。
私が今日結婚する、愛しの愛しのあの人。
けれど、なぜだろう。
あの人の隣に、誰かいるみたい。
牧師様でもないあれは………白いドレスを着た女の人?
もう、今日は私と彼との結婚式だというのに、一体誰なの。あのお邪魔虫は。
(コツコツコツコツ)
あら、よくみると、いつもあの人にくっついているお邪魔虫だ。
どうしてこんなところにいるの?
今日は私と彼との結婚式なのに、まるであなたが結婚するみたいじゃない。
………
そんなポカンとして目で見て、ごまかそうとしないでよ。
私達の邪魔をしないで。
(―――――ザクッ)
さあ、これで邪魔者はいなくなった。
愛しのあなた。これから、本当の結婚式を始めましょう?
私とあなたの永遠の愛を誓う結婚式。
指輪もほら、ちゃんと用意してきたんだ。
昔、あなたがくれたこの指輪。
本当は、もっとちゃんとしたものの方が良かったのかもしれないけど、私とあなたの結婚式には、こっちの方がいいかなって。
この指輪をあなたがくれた時から、私はあなたと結婚するって決めてたんだ。
そこから今日まで、長い年月だったけど、ようやく、この日が来たね。
さあ、この指輪を私にはめて?
そんな邪魔者にかまってないで、ほら、早く早く。
そのあとは、ファーストキスだよ。
私とあなたの、初めてのキス。
今日この時のために、私はこれまで我慢してきたけど、あなたも我慢してきたよね。
まさかとは思うけど、そこの邪魔者となんか、キスはしてないよね?
……もう、聞いてるの?
すごく険しい顔をしているけれど、こんな幸せな日にそんな顔しなくてもいいじゃない。
私達だけの結婚式、早く始めようよ。
私の旦那さま」