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068 お兄ちゃん大好きっ子の妹はお兄ちゃんに彼女ができるのを絶対に認めてくれない

「え、お兄ちゃんに彼女?

…ないないないない。

あのお兄ちゃんに限って彼女なんてありえないって。

あんなダサボサメガネのお兄ちゃんなんて、一生彼女なんてできっこないよ」




「(ガチャッ…)

ただいまーっと。

…あ、お兄ちゃんいたんだ。

なにしてるの?

………うわー勉強とか、真面目じゃん。

いっつも勉強勉強って、他にすることないの?

…あたし?

ああ、あたしは、買い物から帰ってきたところ。

友達と駅前のショッピングモール回ってきたんだけど、いろいろ買ったりおしゃべりしてきたんだ。

………どう?この服?

今日、最近できたブティックで買った服なんだよねー。

(クルリン)

イケてるでしょ?

…えー、ダサいとか言わないでよー。

ここは「カワイイ」って褒めるのが兄の役目ってもんでしょ。

………嘘はつけないとか、真面目か。

…もう、そういうユーズーとか気が利かないところがお兄ちゃんのダメなポイントだねー。

そんなんだからいくつになっても彼女の一人もできないんだよー。

…ま、こんなお兄ちゃんなんて、誰も相手にしないだろうけどね。

まあまあ、本当に未来永劫誰も相手がいないっていうならこの………

………え、はあ?

ごめん、もう一回言って?

………聞き間違いじゃなかった。

お兄ちゃんさー。いくら妹にからかわれたからって、ウソは良くないと思うなー。

「彼女がいる」なんてそんなウソ、身を滅ぼすだけだよ。

気に障ったなら謝ってるからさ、そんなウソ早く撤回した方が………

え、なに?いきなりスマホ出して?

「これを見ろ」って、写真?どれどれ………

女性の人とのツーショットだね。これがどうしたの?

あはっ!

「これが彼女」とか、超ウケるんですけどー。

別にそんなウソ、つきとおさなくてもいいよ。

わざわざそんな写真まで持ち出してさ。

そんなツーショット。ちょっと身の軽い女子なら誰だって撮るって。

見た感じどっかのお店みたいだし、大方、飲み会の席でノリで撮った写真とかでしょう?

あたしは騙されませんよーっだ。

………はいはいはいはい。わかったわかった。

これがお兄ちゃんの彼女さんなんですね。わーかりましった。

でも、そんな写真だけで彼氏面して、後でビンタされるとか最高にダサいからね、お兄ちゃん」




「(カリカリカリカリ)

………ねえお兄ちゃん、ここどうやって解くの?

…あー、なるほど、そう解くのか………

………

………

………

…よーっし、宿題終わりっ!

ありがとね。お兄ちゃんのおかげで思ったより早く終わったよ。

…いやいや、別に謙遜とかしなくても。

お兄ちゃん、勉強『だけ』はできるんだから。それは誇っていい思うよ。勉強『だけ』は。

いやだって、お兄ちゃん勉強だけじゃん。

他のことはほんっとからっきしで。なーんにもできないし。

………えー、だって、家事も料理もあたしよりも下手じゃん。

洗濯すれば洗剤入れ忘れるし、料理すれば毎回お皿割っちゃうし。

これは、お兄ちゃんのお嫁さんになる人は苦労しそうだねー。

まあ、あたしはそういうの、全然苦労だって思わないけどね。

…ねえ、お兄ちゃん。この後ヒマ?

宿題早く終わったし、久々にゲーム………

…え?あ、まあ、あたしはヒマだけど?

…会わせたい人?何それ?

え、いやそんな急に………

(ガチャッ)

………あ、こんにちわ。

…ねえお兄ちゃん、誰このキレイな美人さん?

………んー?彼女?

確かに見た目通りの女の人だけど。それがどうかしたの?

…え、付き合ってる人?恋人?

………

………

………あはっ!あははははははははっ!

えっ、なになに。そんな冗談やめてよお兄ちゃん。

こーんなキレイな人がお兄ちゃんの恋人だなんて、あり得るわけないじゃん!

あははははっ!

………えー、「本当だ」って言われても。

いやいや、バレバレなんだからウソつかなくたっていいって。

「ウソじゃない」って言われても…

あー、すいませんね。お兄ちゃんのこんな小芝居に付き合わせちゃって。

ホント、ダメダメなお兄ちゃんですみません。

………

…もう、彼女さんと二人して演技続けちゃって。

本当の本当にいいって言って。

………えー、じゃあ聞くけど、二人の出会いは?どこで?

………

ふーん。じゃあ初めてデートした場所は?

…それも答えるんだ。

…じゃあじゃあ、お兄ちゃんのどんなところが好きなんですか?

………

むー。ちゃんとそこまで設定凝ってるのか―。

………じゃ、初めてエッチなことしたのは?いつ?どこで?

………

………

あー、二人して黙ったー。

やっぱり彼女だなんてウソじゃん。

…はいはい。ムキになって否定しなくたって、もうバレてるんだからいいじゃんいいじゃん。

やっぱりそうだよねー。

お兄ちゃんに彼女なんてできるわけないよねー」




「(ピンポーン)

(ガチャッ)

………あ、開いた。

あたしだよ―お兄ちゃん。入れて入れて。

………さぶさぶさぶさぶ。

今日外本当寒いよー。

上にコート着てきたんだけど、それでもめちゃくちゃサブいサブい。

「何しに来たのか」って、えーお兄ちゃんわからないの?

ヒントは今日の日付!

…そ、だいせいかーい!

はい、バレンタインのチョコ!

今年も頑張って作ったんだよ。

三日三晩、研究を、試作品を重ねて重ねて作った最高傑作なんだから、ちゃーんと味わって食べてよね。

(ガチャッ)

………ああ、今日もあなたいたんですね。

毎回毎回大変ですね。兄の恋人役させられて。

兄にいくらもらってるのか知りませんけど、正直、もうこんなのやめた方がいいと思いますよ?

マグカップお揃いの揃えたり、洗面所に歯ブラシ2つ置いて置いたり、あたしを騙すためにやってるのはわかるけど、今時そんなカップルなんていないんだし。

(………)

…それにそれに、騙すためだけに赤ちゃんも用意するとか、どれだけ手が込んでんるんだって話ですよ。

………はいはいはい。そーですねー。

あの子は二人の子供なんですよねー。

もうその言い訳、聞き飽きちゃった。

どうして恋人すらできないお兄ちゃん、妻とか奥さんがいて、子供までいるとか、大ウソにしても大概だよ。

どうしてそんなウソにこだわるのか、あたし本当にわかんない。

そんなウソついてまで恋人とか彼女とか妻とか奥さんいる振りしなくてもさ、あたしなら、お兄ちゃんの隣にいてあげるよ?

恋人役でも彼女役でも妻役でも奥さん役でもなーんでもやってあげる。

だって、こんなダメなお兄ちゃんを貰ってくれる人なんて、幼いころから一緒にいるあたしくらいしかいないんだし。

………あっ、ねえねえ。

学校卒業したら、この家に一緒に住んでいい?

お兄ちゃん一人暮らしで色々大変でしょう?

家事も料理もそれ以外も、お兄ちゃん望むことはなんでもしてあげるよ。

あたし、お兄ちゃんのためなら何でもできるから。

大好きっ、お兄ちゃん♪」


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