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064 サボり癖のあるダウナーメイドの本当のお仕事は…

「………あ、ご主人様ー。帰りましょう?

…今日も勉強疲れたー。

ずっと机に座って黒板とにらめっことか、マジ疲れますよねー。

………えー、勉強が有意義とか、本気で言ってるんですか?

はー、さすがはご主人様っすね。

そうだご主人様、帰りカラオケ寄っていきません?

勉強で疲れた頭を、大声で歌ってリセットしましょうよー。

………確かに昨日も行きましたけど、別に毎日行ってもいいじゃないっすか。

歌うの気持ちいいですし。

………はー、はいはい。ご主人様は真面目です。真面目です。

そんなご主人様がとっても好きでーす。

…え、私の仕事っすか?

別に問題ないですよ。

あたし、そんなにメイドの仕事多くないんで。

ほら、ご主人様と一緒に学校行ったりするのが仕事ですから。

………他の仕事は、まあ掃除とかそんな感じです。

と・に・か・く、あたしの仕事はどうでもいいんですって。

カラオケ行かないんでしたら、さっさと屋敷に帰りましょう。

(スタスタスタスタ)

………あれ?誰ですかね、あの人?

こっち向かってきてますけど。

(………)

(………)

(………)

………行きましたね。

しっかし、ああいうナンパって、今でもあるんですねー。

『お茶でも行かない?』って、マンガがドラマの世界かって思いましたもん。

でもさすがご主人様っす。

相手を傷つけず、さりとて相手の誘いを受けるでもなく、ひらりと対応しちゃうんですから。

………ああ、そうっすね。帰りますかー。

あー、でもその前に、ちょっと電話してきていいっすか?

すぐに済むので。

………

………

(ピッ)

………こちらM15。応答求む………」




「………はー、補習終わったー…

なんであたしがこんな補習なんか…

………あ、ご主人様だ。

おーい、ご主人様ー。

(タッタッタッタ)

ご主人様、なんでこんな時間まで学校に残ってるんですか?

あ、まさか、あたしの補習が終わるのを待って………

………あー、はいはい。図書室で自習ですかそうですかー。

期待したあたしがバカでしたよー。

………ああ、まあ、あたしはさっきまで補習でした。

先生のくっだらないくそ長い話聞いてて退屈でしたよ。

…ちゃんと聞いた方がいいって?

はいはい、ご主人様に言われればそうしますよー。

………あたしのためって、ご主人様は優しいですねー。

でも勉強なんてしたくないんすよ。

あんな記号ばかりノートに書いて、何の役に立つんだか…

別にメイドの仕事に、あんな内容なんてまったく関係ないんですし。

とにかくとにかく、疲れました。

そんああたしをねぎらうために、帰り道で何か甘い物でもおごってください、ご主人様。

…えー、ご主人様のけちー。

なんか最近のご主人様、あたしにだけ冷たくないっすか?

他のメイドにはもっと、こう、優しくしてるっていうか、態度が柔らかいっていうか…

………そんな逆の特別扱いいらないですって―。あたしとご主人様の仲なのにー。

………あれ、ご主人様。ポケットから何かはみ出してますよ?

それ、女物のハンカチっすか?

なんでそんなもの………

…へぇ、図書室で一緒に勉強してた人に、ね。

誰と勉強してたんすか?

………ふうん。図書委員の人なんですか。

一緒に勉強とか、仲良いんですね。

………あ、あたしちょっと用事思い出しました。

ご主人様、先行っててもらっていいっすか?

………

………

(ピッ)

………こちらM15。応答求む。

要チェック者確認しました。処置の許可を求めます。

………はい、では、さっそく処置の方に取り掛かります」




「(キーンコーンカーンコーン)

………疲れたー…。

さて、帰りますか。ご主人様。

今日もご苦労様でしたー。

………そろそろテストっすよねー。

勉強してますか、ご主人様?

…はー、毎日毎日帰ってから3時間も、ね。

すげーっすねー、ご主人様。

あたしなんか家帰ったらばたんきゅーですよー。

学校で何時間もやってるってのに、家でもやる意味が分かんねーですし。

まあ、ご主人様は未来を担う人材ですし?そのくらいの勉強は朝飯前っすか。

今回のテストも、成績トップは当然として、満点とか狙うんですか?

………はー、志が高いことですねー。

………

あれご主人様、何下駄箱の前で止まってるんですか?

まさか、靴に画びょうとか………

…ん、封筒っすね。

内容は………放課後に校舎裏っすか。

…ヤンキーの呼びかけじゃなきゃ、愛の告白っすかね?

今時手紙なんて、前時代的すぎて笑えますけど。

あ、でも。ご主人様のスマホ、家の方で色々制限されてますもんね。

呼び出すなら、こういう方法じゃないと無理っすか。

…で、差出人の名前はあるんすか?

………ふーん。あの幼馴染ちゃんっすか。

前からご主人様、仲良くしてましたもんね。

そろそろ来るかなーって思ってましたけど。

今日来ちゃいますか…

………あ、ご主人様。あたしちょーっと、やんなくちゃいけないことありましたわー。

なので、ここで失礼しますねー。

………

………

………

(ピッ)

………こちらM15。応答求む。

要チェック者1名発見。処置の許可を求めます。

………はい。ではさっそく、処置の方に取り掛かります。

………

………

………

(スタスタスタスタ)

…はーい。ちょっとここでストップストップ。

これから校舎裏行くとこなんですよね?

その前にちょーっと、あなたに用があるんですけど。

………まああたしはメイドですけど、メイドだからこそここにいるんすよ。

…関係ないって?

あたしの方こそ、あんたみたいな人間の恋路なんてクソどうでもいいんですけど、その相手がご主人様となったら話は別なんですよ。

…単刀直入に言いますけど。

―――ご主人様のことは、今すぐ忘れてとっとと消えてください。

…ご主人様の友人以下の関係して接してるなら、あたしたちも見逃してあげたんですけどね。

ただそれ以上の関係をなると、こっちも見過ごせないんですよ。

ご主人様はあたしたちの未来を担う存在…

適当な人間との恋路で、ご主人様の遂行な人生を狂わせるわけにはいかねーんす。

…ああ、あんた如きにあたしが負けるわけないっすけど、万が一ここであたしを退けたところで、無駄っすよ?

あたしの他にもメイドは何人もいて、あたしはその中でも一番下っ端っすから。

…じゃ、そろそろ処置を開始するとしますか―――

ご主人様のための、ゴミ掃除をね」

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