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054 付きまといに困ってる彼女を助けたら逆に彼女が…

「………………あ……。

………に………さい。

もう……じゃない………。

………いい加減にしてください。

もう私はあなたのことなんて、好きでも何でもないんです。

それなのに毎日毎日追いかけてきて…

私に付きまとわないでください。お願いします。

………

…それは、あなたの思い違いです。

私はあなたの恋人なんかじゃありません。

何回言えば………あ。

………そ、そうです。

私にはもう恋人がいるんです。

だからもうほっといてください。

(ギュッ)

…ほら、行きましょう?

(スタスタスタスタ)

………

………もう、付いてきてない、よね?

…あ、あの、すみません。

急に「恋人だ」なんて、わけのわからないこと言っちゃって。

実は私、ここ何ヶ月かさっきの人に付きまとわれていて…

学校行ってる時も家にいる時もずっと見られてて…

今日も休みだっていうのに、あんなふうに付け回されてるんです。

全然知らない人なんですけど、急に「好きだ」とか言われしまって…

さっきみたいにはっきりと拒絶はしてるんですけど、一向に聞き入れてくれないんですよ。

それでつい、さっきはあなたにあんなことを………

す、すいません。何でもないのに巻き込まんでしまって。

………

…そう、ですか。「放っておけない」って、ありがとうございます。

でも、大丈夫です。

もうさっきの人もいないと思いますし、あとは、私一人で何とか…

………え、このまま彼氏のフリをしてくれるんですか?

いや、でもこれ以上あなたに迷惑は………

…そうですか。

本当に、あなたは優しい方なんですね。

じゃあえっと、その…よろしくお願いします」




「………あの、今日は買い物に付き合ってくれて、ありがとうございます。

あいつも今日は見かけなかったですし、安心して買い物できました。

…本当に何かお礼を………

………いや、いらないって言われても、それじゃあ私の気が…

…そうなんですか。

あなたはお人好しですね。

私が巻き込んじゃったのに、あれから何回も、今日みたいに彼氏のフリをしくれて…

ちょっとだけ、変な人ですね。

…あ、いや、あの。今のは別に、変な意味とか、そういうことじゃなくってですね………

………って、え………?

あいつ、また………

………ち、違います!

こ、この人は本当に私の彼氏で…

………え、それ、ナイフ………?

なな、なんでそんなもの出してるんですか。

そそ、それを、どうするつもり………

キャ、キャアアアア!

(…グサッ)

………あ、あ、あ…手から血が………

なんで、私を庇って………

は、早く救急車!

えっと、えっと………1、1、9…

………はい、はい。えっと、怪我人が。

とにかく、すぐ来てください!

もう大丈夫ですよ!救急車呼びましたから。

…そうだ。止血しないと………

(キュッ)

ごめんなさいごめんなさい。

私のせいで、あなたがこんな目に、遭うなんて………」




「………今日で、退院ですか。

手術して数日で退院するなんて、お医者さんも驚いてましたね。

本当なら、もうちょっと安静にしてた方がいいのにって。

………あの、もう何回言ったかわからないですけど…

本当に、私のせいでこんなことになってごめんなさい。

…君に怪我がなくてって………

もう、あなたが怪我してるんじゃないですか。

………

そ、それでですね。

あなたは今日退院しますけど、まだ、色々大変だと思うんです。

なので、私にできる限りあなたのお世話をさせてください。

もうあいつは捕まって、彼氏のフリをする必要はなくなりましたけど、その怪我は私の責任ですから。

………い・い・で・す・ね。

…わかってくれればいいんです。

じゃあ、その荷物貸してください。あなたの家まで持っていきますから。

………ダメですって、手を怪我してるんですから、この荷物は私が持ちます。

ほら、行きますよ」




「………はい、これで今日の買い物は全部ですか?

ああ、あとティッシュペーパーですか。

ティッシュなら確かあそこのドラッグストアが………

………いえいえ、行きましょうよ。

あなたの買い物なんですから、あなたに必要なものは全部買うべきです。

………大丈夫ですよ。このくらいの荷物持てます。

あなたは手ぶらでいいんです」




「(ピンポーン)

(ガチャッ)

あ、こんにちは。

今日、隣に家に引っ越してきたので、何か用があったらすぐに呼んでください。

………いいんです、私が勝手にやってることなんですから。

あなたは気にせずに、私をこき使ってください。

………そうだ。今日の夕食は何がいいですか?

あなたの好きなもの、作って持っていくので、ぜひ教えてください」




「………ダメですって、いくら怪我が完治したからって、一人で出かけようとしちゃ。

あなたが出かけるなら、私も付いていきます。

あなたの荷物は全部私が持ちます。

あなたの用件はすべて私が済ませてあげます。

それが私の役目で、責務なんです。

私はあなたに怪我をさせてしまった分、そのお返しをしなくちゃいけません。

あなたにさせてしまった怪我は、それこそ、一生かけても償いきれないものです。

私は一生あなたに尽くし続けます。

あなたが何と言おうと、もう決めたことです。

絶対に、逃がしたりしませんから」


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