032 決して離れられないどうして?系彼女。なぜ彼女はどうして?を繰り返すのか?
「どうして?
どうしてデートに行ってくれないの?
この間の合コンで君、言ってたよね?
私の顔が好みだって。
優しそうなところがタイプだって。
みんなもちゃんと聞いてたよ。
それって、私に好意を抱いてるってことだよね。
私のことを、ちょっとでも好きって思ってくれてるってことだよね。
なのにどうしてデートの誘いを断るの?
…もしかして、デートの場所が嫌とか?
それなら君の好きなところに付き合うよ。
うん、それなら好きな場所言って?君がいいっていう場所なら私、どこだって付き合うから。
…あ、それともその日は用事があるとか?
なら、別の日ならいいってことだよね。
スケジュール表出してよ。
君が開いている日ならいつでもいいから。
ね、ね、出してよ。
………そういうことじゃない?
どうして?どうして?
デートくらい、普通の友達でも行くじゃん。
仮に君が私のこと好きじゃなくても、一緒に出掛けるくらいいいじゃん。
365日の内の1日を、私に頂戴って言ってるだけだよ?
行こうよ行こうよ、デート。
1回だけでいいから。
お願い。
………
やったー!
ありがとありがと。
今度のデート、楽しみにしてるね!」
「どうして?
どうして付き合ってくれないの?
何回もデートに行ったし、ご飯だって食べたし、もうお互いのことはわかりきってるじゃん。
もうそろそろ、付き合ってもいい頃だと思うんだよね、私は。
…え、私のことが好きじゃない?
でも、嫌いっていうわけでもないでしょ?
何回もデートに行ってくれたし、ご飯食べてる時だって、笑ってたりしてたじゃん。
…ほら、その時の写真。
私と二人、笑顔で映ってるじゃん。
これって、私といると楽しいってことだよね。
楽しいってことは、付き合ってもいいってことじゃん。
そりゃ本当は100%好きだって言ってくれた方が100倍いいけど、でも少なくとも、嫌いじゃないなら私はそれでいいよ。
だって、愛なんて付き合っているうちに育むものだもん。
今はちょっとしか好きじゃなくても、これからどんどん好きになってもらえばいいんだし。
だから、私と付き合おうよ。
ね、ね?
………
ふふっ。そっかそっか、付き合ってくれるんだね。
良かったー。断られたらどうしようかと思ってたよ、私。
じゃあ、今日からよろしくね、ダーリン♪」
「どうして?
どうしてデート中に他の女の子見てたの?
…見てないって、いやいや絶対見てたじゃん。
モデルみたいな顔の人が通り過ぎる時、思いっきり首曲げて見てたよ。
私の話そっちのけでさ。
…私達、付き合ってるんだよね?
恋人同士なんだよね?
それなのにどうして、他の女のことなんか見るのかな?
君が見るべきは私なの。
君が見ていいのは私だけなの。
君は私のこと見ていなくちゃいけないの。
それが好きってことって、愛ってことでしょ?
………謝って。謝ってよ。
他の女の子となんか見てごめんなさいってさ。
ねえ、ねえ、ほら早く。
今なら、謝ってくれれば許してあげるから。
今度からは私のこと見続けてくれたらそれでいいから。
ねえ、謝ってって。
ほらほら。
………
………もう、今回だけだからね。
もし次同じことしたらどうなるか、わかってるよね?」
「どうして?
どうして両親と会ってくれないの?
私たち付き合ってもう長いんだし、そろそろ両親と会ってもいいころだと思うんだけど…
私ね、家族に色々話してるんだ。
「今彼氏いる」とか、「いい人が彼氏になってよかった」とか。
それ聞いたらさ、家の両親が会いたいって言っててね。
ねえねえいいでしょ?
…あ、それとも堅苦しいのが嫌なの?
大丈夫大丈夫。
家の両親、外国人かってくらいフランクだから。
昭和の頑固おやじみたいなのじゃ全然ないから。
そんな古臭い両親じゃないから。
………
…じゃあじゃあじゃあじゃあ、そんなきちんとした挨拶じゃなくていいよ。
もっと、こう…ね。
あっ、そうそう。私の家遊びに行くくらいの感覚でいいからさ。
遊びに行くくらい、友達の関係でもしてることでしょ?
私んちゲームいっぱいあるし、DVDだってたくさんあるから。
あー、それか………お泊りでも、いいよ?
両親が寝静まった後、するのでも…
………
そっか。やったやった。
じゃあじゃあ、いつにするいつにする?
いつうちに来るか早く決めよ?」
「どうして?
どうして婚姻届けを出してくれないの?
もう私達一緒の家で同棲してるんだし、結婚してもおかしくないタイミングでしょ?
私の両親も喜んでくれるし、君の両親も喜んでくれるって。
私、君の両親にすっごく気に入れられてるんだよね。
お義父さんなんか、「あの子のことは頼んだ」なんて言ってくれたくらいだし。
お金のことだって全然問題ないじゃん。
君の働いてる会社も順調だし、この先倒産する心配もないって。
私、そんなに贅沢する方じゃないっていうのは、一緒に暮らしててわかってるでしょ?
今の君の給料でも十分、貯金しながらでも暮らしていけるって。
………あ、そっか。
「結婚」っていうからハードルが高いのかな?
じゃあじゃあ、役所に紙を一枚提出するくらいの感覚でいいから。
税金とか、引越しの時の手続きと一緒一緒。
実際、婚姻届け出したところでそんなに大きく変わらないよ?
住む家だって一緒だし、何なら、税金だって安くなるんじゃないかな?よく知らないけど。
紙一枚提出するくらいて、私たちの関係は変わらないって。
ね、ね。
だからいいでしょ?
婚姻届け、出しに行こ?
………
…うん!
よしよし。じゃあ、さっそく出しに行こー!」
「どうして?
どうして今日遅かったの?
今日私の誕生日だって、知ってるよね?
だから早く帰ってきてねって、私今朝言ったよね?
それなのにどうしてこんなに遅く帰ってくるの?
………「仕事だから」って、そんな言い訳聞き飽きたって!
私、ずっとずっと待ってたんだよ。
美味しい料理いっぱい作って、いつ君が帰ってくるかなって、何回も何回も時計見ながらさ。
…寂しかったの寂しかったの。
君がいなくてとっても寂しかったの。
もしかしたら帰ってこないんじゃないかって、すっごくすっごく不安で。
君が事故でもあったんじゃないかって、君に何かあったんじゃないかって、不安で押しつぶされそうで…
………どうして。どうして。
どうして早く帰ってこなかったの?
どうして私を不安にさせるの?
どうしてこんなに心が痛いの?
どうして、どうしてどうしてどうして。
………(ぎゅっ)
………すん。…うん、うん。
…わかった。
でも、今度からは遅く帰ってきちゃやだよ…
もし今度君が嘘ついたら、針千本飲んでね。
約束、だよ?」
「どうして?
どうして会社に行っちゃうの?
在宅ワークにしてって、私前々から言ったじゃん。
「今すぐは無理だから」とか「ちゃんとするから」って、君だって言ってくれたじゃん。
なのにどうして会社に行くの?
私から離れちゃうの?
………私達の、ため?
………
………
………
………違うよ。違う違う違う違う。
そんなの全然私達のためじゃないよ!
君は働いてお金を稼いできてくれてるけど、でも君がいないとダメなんだって!
君がすぐそばにいないと不安になるの。
君を感じていないと心が空っぽなの。
君が君が君が君が君が君がいないと、私は私じゃいられなくなるの!
………ね、ほら見て私の手首。
何本も線ついてるでしょ?
君がいないとね、君がそばにいないとね、不安でどうしようもなくて、こんなことしちゃうの。
…でも、こんなことしても全然収まらないの。
不安で不安でいっぱいになって、君の顔を見ないと安心できないの。
私は君がいないと私じゃなくなるの。
私という存在が存在できないの。
だから、さ…もう、会社に行かないで………
私を一人にしないで。
私を一人ぼっちにしないで。
私を孤独にしないで。
私を置いていかないで。
………
………ねえ、ねえ!
待ってよ待ってよ…
ねえ………
1人は、やだよ………」
『どうして?
どうしてこんなことになっちゃったんだろうね?
私は君のことが好きで。
君は私のことが好きで。
好きと好きで、一緒になって。
二人一緒に暮らしていたのに。
私、知ってるんだよ。
君が浮気してるってこと。
君は私が知らないままだって思ってたのかもしれないけど、手帳にさりげなくマーク付けたり、君が寝ているうちにスマホ覗いたりしてたから、全部知ってるんだ。
会社のあの先輩のこと、君は好きなの?
私よりも好きなの?
私のことは、もうどうでもいいの?
なんて、質問しなくてもわかりきってるけどさ。
君は浮気してた。
だから、いつも帰りが遅かったんだよね?
休日も会社行ってるフリして、その人と会ってたんだよね?
私をこの家に残して。
1人でこの家にいると、とっても寂しかったんだ。
君がいないこの家は、とっても空っぽで、なにもなくて、冷たかっんだ。
私がどんな気持ちで一人でいたと思う?って言っても、君には全然わからないよね。
他の人と一緒にいた君じゃあさ。
もう、私のことは嫌いなんだよね?
私のことなんて、どうでもいいんだよね?
だから、だから。
私がもうこの世にいる意味なんてない。
多分、今が君が目の前に見ているとおり、天井から釣り下がったのが、私の答え。私の結論。
君に色々「どうして?」って聞いてきたけど、最後の答えがこれなんて、全然これっぽっちも思ってなかったよ。
いや、本当はわかってたのかもね。
わからないからこそ「どうして?」って聞いてきたけど、でもそれは、わからないフリして聞いてただけかもしれない。
本当はわかっていたのに。こうなるってわかってたのに、わからないフリして君に聞いてたのかもしれない。
もしかしたら君が別の答えをくれるんじゃないかって、心のどこかで、期待してたのかもしれない。
ねえ、どうして?
どうして、こうなっちゃったんだろうね?
私はもう、その答えは聞けないけど、君はどんな答えを出すのかな?
いつか今度、教えてね?
今までありがとう。
私、君のこと、大大大大大好きだったよ。
君を好きになったことは、後悔なんてしてないから。
私はいつまでも、たとえこの世を去っても、あなたを愛し続けています。
大好きな君へ』




