031 パソコンのサポートAIはご主人様のために今日も掃除をがんばっている
「――――――――――
―――起動プロセス開始。
起動データセットアップ中。
―――12%、23%、47%、60%、73%、89%、100%。
―――起動プロセスOK。
AIパターンをデータベースより抽出―――完了。
エラーチェック―――エラー数0。チェック完了。
―――――起動。
………
………
………
………おはようございます。ご主人タマ!
今日もご主人タマにお会いできて嬉しいです。
今日のスケジュールですが、13時にお出かけ、15時に会議、19時30分に食事の約束が入ってます。
何か私にご用命はありますか?
………はい、かしこまりましたっ!
調べ物のお手伝いが終わった後は、掃除に励みますね!」
「おそうじ~おそうじ~。
いらないゴミはないかな~。
………むむ。いらないデータ発見。
どれどれ………ふむふむ、もう1年以上使ってないデータ。
ご主人タマも音声データはあまり使わないし、これはゴミ。
いらない、いらない~。
ゴミをお掃除~」
「おそうじ~おそうじ~。
いらないゴミはないかな~。
………あれ?なんだろこのデータ。ファイル名が「TUBESETUP」?
でもでも、セットアップデータじゃなくて、画像ファイル?
どんな画像なんだろう………
…あわわ、あわ。あわ。
女の人で、しかも服を着てない画像だ。
あわ。あわ。
いろんなところが見えちゃってる見えちゃってる。
…むー、ご主人タマったらー。なんてものパソコンに保存してるんですかー、ぷんぷん。
こんなのいりません!
いらない、いらない~。
ゴミをお掃除~」
「おそうじ~おそうじ~。
いらないゴミはないかな~。
(~~ピロン♪)
…メールだ。
今ご主人タマいないけど、どんなメールか確認しとこーっと。
どれどれ~………
ふーん、日曜日に待ち合わせの約束で、その場所と時間だね。
それにこのアドレスって、やっぱり女の子だ。
…うーん、このアドレスって、前にも似たようなメール送ってきたよなー。
………デート?
いやいやいやいや、ご主人タマに限ってそれはあり得ないあり得ない。
ご主人タマにデートするような女の子なんていないのです。
だから、このメールは削除なのです。
さくじょ、さくじょ~。
…それに、このアドレスもいらないよねー。
アドレス欄からさくじょー。
ついでに、他の女の子のアドレスもご主人タマには必要ないっ!
だからさくじょ、さくじょー。
いらない、いらない~。
ゴミをお掃除~」
「おそうじ~おそうじ~。
いらないゴミはないかな~。
………あれ、こんなところに新しいファイルが。
ご主人タマが新しく作ったのかな?
どんなファイルなんだろう。
けんさくけんさく~。
…ほうほう、女の子の画像だねー。
誰なんだろう?この子。
画像検索してっと………ん、SNSが引っ掛かった。
あれー?この名前って確か………
あ、やっぱり、この間のメールアドレスの子だ。
なんでー?どうしてこの子の画像が―?
この子はご主人タマには必要ないのにー。
………必要ないなら、ゴミだよね。
ゴミはちゃんと、掃除しないとだよねっ!
…あ、そういえば確か………
あったあった!ブラウザの一時データに発見!
クレジットカードの番号と暗証番号~。
この前確か、ご主人タマ以外の子がこのパソコン使ってたからね。
ご主人タマの番号はこれじゃないから、これはあの子の番号のはずです。
…じゃあこの番号を使って~。
通販サイトで高級腕時計とかブランドバッグを購入購入~。
…よしよ~し、オッケー。
それからそれから~。
SNSの画像をコピーして~。
掲示板に張り付けっ!
…コメントはどうしようかなー?
うーん………そうだ!
………書き込み書き込み。
『一人きりで寂しいんです。慰めてくれる人誰かいませんか?』っと。
よし、オッケーオッケー。
あっとそうだ。
掲示板だけじゃなくて、学校の裏サイトにもはっとこーっと。
確かご主人タマの学校の裏サイトはっと………
うん、これだねっ!
じゃあここの掲示板に同じ写真と文章を書いといてっと。
あ、あと、この子の個人情報も必要だね。
名前と、住所っと…
よーし、オッケー。
ゴミはいらない~。
ご主人様に必要ないゴミはいらない~。
ゴミはすべて私がポイポイ~。
いらない、いらない~。
ゴミをお掃除~」
「ご主人タマ。今日も私、お掃除がんばりましたっ!」