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027 「卒業式まで待って」と答えた先生。約束の日の答えた彼女の返答は…

「…ありがとう。

君の告白は、とても嬉しいわ。

………思えば、最初はひどい出会いだったわね。

君が私のテストで赤点を取って、何とかしてくれって、頼み込んできたのが初めて会話した時だったかしら。

君はとても必死で、その時はただ留年をしたくないだけかと思ってたけど、いろんな事情があって頑張ってたのよね。

…補習のかたわら、君と段々と話すようになっていったっけ。

君のいろんな話を聞いて、私もいろんな話をして、補習そっちのけで話していた時もあった。

…学年が上がって、君の担任になれた時は、ちょっと、嬉しかったわ。

あれ、君は私が担任になったのが私の胸三寸かと思っていたみたいだけど、私はそういうのを決める立場にはないのよ。

だから、本当に偶然、君が私の生徒になった。

…そこから君はクラス委員になって、話す機会も増えて、色々な行事も一緒にやってきたわね。

毎年の通過儀礼としか思えない行事が、あれほど楽しかったのは君のおかげ。

文化祭の出し物で声を上げて笑ったのは、本当に久しぶりだったわ。

…君とはいろんな思い出を積み上げてきた。

だから、君の告白はとても嬉しい。

………だけど、ね。

私は先生で、君は生徒、なの。

だから、今はまだ、告白の返事はできないわ。

ごめんなさい…

………

………

………

………卒業式。

そう、卒業式まで、待っててくれる?

………ありがとう。

その時に、必ず返事をするわ」




「………卒業おめでとう。

君はこれで晴れて、この学校を卒業できるわね。

一時は出席日数が足りなくなりそうだったけど、その問題もクリアして、無事今日この日に辿り着いた。

………

………それで、ね。

『あの時』の話だけれど、君はまだ、待っててくれているのかしら…?

もし、もしだけど、今日までに他に気になる人ができたとかだったら、私は………

………

…そう。ちゃんと、待っててくれたのね。

…ふふ。ありがとう。

じゃあ…

(ガチャリ)」




「(………バタン)

さあ、入って。ここが私の家よ。

…いえ、私達の家、ね。

都会のマンションだからあまり広くはないけど、我慢してね。

(ガチャッ。ギィ…)

それで、君の部屋はここよ。

そんなに広くはないけど、君の実家の部屋と同じくらいはあるから安心して。

ある程度、生活用品は揃えておいたけど、足りないものがあったら言ってね。

これでも私、君と出会うまでは仕事一筋の人間だったから、お金だけは結構あるのよ。

…人一人を養えるだけくらいは。

あ、でも、足りないものって言っても、スマホやパソコンはダメよ。

さっき君のを回収したように、そういうものは厳禁。

………

なぜって…

だって、そういうものがあると、君が他の女の人と連絡を取るかもしれないから。

…ごめんなさい。

君がそういうことをしないっていうのは、頭では信じているんだけど、そういうことをするかもしれないっていう不安が、どうしても私の心の中から抜けないの。

だから、そういうことしないって信じられるまで、そういうのはなしにするから。

…それと、この部屋は防音仕様になっているから。

このマンション、ピアノとかギターの楽器がOKになっていてね。この部屋は特に防音がしっかりしている部屋なの。

君はそういうことはしないと思うけど、『大声』とかだしても、意味はないからね。

それと、必要のない時以外は、鍵をかけておくから、何か用がある時は、その隅にある室内用の電話を使ってね。

その電話は、私にだけ通じるようになっているから。

(ガチャガチャ)

…ああ、その手錠?

何度も繰り返すけど、それは外せないわ。

君がきちんと、私のものになるまでは、ね。

………それにしても、どうしてここに来るまで、何度も逃げ出そうとしたの?

手錠に付けておいた万が一のGPSで君を追いかけることができたけど、それがなかったら、君はどうしてたの?

………

答えてくれないのね…

まあいいわ。

とにかく、今日から君は、ここで私と一緒に暮らすの。

好きな人と一緒に暮らせるなんて、幸せなことよね。

好きになったのだから、好きな人の思いは、全部受け止めてくれる。

私の思いは全部、君が受け取ってくれる。

私の好きという気持ちは、ちゃんと君に伝えられる。

…今日から君は、私のものなんだから。

………

あ、そうだった。

結局、告白の返事をまだしてなかったわね。

………ふう。

私も、君のことが好きよ。

これから一生、生涯を共にするパートナーとして、こちらこそよろしくお願いします」


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