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269 毎日働き詰めでくたくたの夫を支えてくれる妻。ブラック企業に勤める夫に対して妻は心配してくれて…

「(…ガチャッ)

(バタン)

(パタパタパタパタパタ)

………お帰りなさい、あなた。

今日もお仕事お疲れ様。

お風呂にする?それとも先にご飯かしら?

…そう、わかったわ。

それじゃ上着と荷物預かるわね。

(フラッ)

…っと、危ない。

大丈夫、あなた?

最近、仕事で疲れてるんじゃない?

今日もこんな日付変わる間際に帰ってくるし、

あんまり仕事を詰めすぎるのもよくないと思うわ。

………

…うーん、でも、会社の業績が悪いのは、別にあなただけのせいっていうわけでもないでしょう?

あなた一人が頑張ってても、他の人が頑張ってなかったらそうそう………

………

…そう。でもまあ、本当にほどほどにね。

あなたが倒れたりなんかしたら、元も子もないんだから」




「(…ガチャッ)

(バタン)

(パタパタパタパタパタ)

………お帰りなさい。

今日もお仕事頑張ってきたみたいね。

………

…ええ、そうよ。見るからにぐたっとした顔になってるわ。

今日もいつも通りたくさん残業だったの?

………

…そう、部下のミスで謝罪に、か。

でもどうしてそれで、あなたが謝りに行かなければならないのよ。

ミスをした部下のせいなんだから、あなたが謝りに行かなくても………

『部下のミスは上の人間のミス』ね………

…ねえ、この間はあなた、部長のミスの責任を取らされたって話、してなかった?

部長さんはあなたの責任を取らないのに、あなたは部下の責任を取らなくちゃいけない。

そんな会社ってちょっとおかしいんじゃないの?

毎日毎日残業残業。

あなたが頑張って働いてくれるのは妻としては応援したいけど、でもあなたの今の立場だと、残業代って出ないのよね、確か。

謝罪の件といい、さすがにそれは理不尽じゃないのかしら?

………

…ねえあなた。私のお父さんのことは知ってるでしょう?

………そう、大きい会社の重役なの。

だからね、あなたがそんなに一生懸命に働かなくても、生活費に困ることはないの。

だからせめて、今の会社は辞めてもっとホワイトな会社に移るとか………

………

…もう、強情なのねあなたは。

でも、私はあなたのそういうところ、好きよ。

………さーって、とりあえずご飯にしましょうか。

今日はあなたの大好きなちらし寿司よ」




「(…ガチャッ)

(バタン)

(パタパタパタパタパタ)

………お帰りなさい、あなた。

(がくっ)

…ど、どうしたのあなた。いきなりへたり込んじゃって。

それにいつにもまして、顔色が悪いわ。

今にも死んじゃいそうな顔………

………ねえ、今日は会社で、何かあったのかしら?

………

………そう、今日も上司のパワハラが。

………えっ、今日は『××』って言われたの?

それはずいぶんとひどい………

ここ最近は毎日よね。上司のパワハラ…

仕事は毎日毎日残業で遅いのに、それに加えてパワハラまでなんて………

………

…ねえ、あなたはもう、頑張らなくてもいいんじゃないのかしら?

今日まであなたが頑張ってのは、私が知っている。

あなたはよく頑張ったわ。

毎日毎日仕事で頑張って働いて、夜遅くまで働いて…

部下や上司のせいでも謝罪に行って…

パワハラを受けても一日も休まず会社に行って…

あなたは本当に本当に、頑張ったわ。

あなたが頑張ったっていうことは、私が保証してあげる。

だからもう、あなたはこれ以上頑張らなくてもいいの。

これまで頑張ってきたんだもの。

少しくらい、休んだって罰は当たらないわ。

…お金の事なら心配はいらないわよ。

前にも言ったけど、私のお父さん、娘にはとことん甘いから援助なんていくらでもしてくれる。

一生遊んで暮らしていける分だって、お願いすればすればすぐに用意してもらえるわ。

だからあなたは、これ以上頑張らなくていい。

この家で、二人で一緒に幸せに暮らしていきましょう?

この家の中にいれば、辛いことも嫌なこともない。

私があなたを幸せにしてあげられる。

だからあなたも、この家で、私を幸せにしてほしい。

ね?そうしましょう?

………

ふふっ。よかったわ。あなたがうなずいてくれて。

…さて、とりあえずご飯にしましょうか。

美味しいものを一杯食べれば、嫌なことなんてすぐに忘れるわ。

だからすぐにご飯にしましょう。

洗面所で手、洗ってらっしゃい。

(バタン)

………

(~~~♪)

(―ピッ)

………もしもし。

ああ、お父さん。

…ええ、ええ。

順調にことは進んでいるわ。

協力してくれてありがとうね、お父さん。

でも大丈夫?頼んでおいてなんだけど、『あ・ん・な・こ・と』を頼んでお父さんに迷惑じゃない?

………ふふっ。本当に娘に甘いお父さんだこと。

でもありがとう。

お父さんおかげで、全部うまく行ってるから。

これでもうあの人は………

(バタン)

………ああ、ごめんなさい、ちょっと電話がね。

…もしもし、それじゃあ今回のことはありがとう。お礼はまた今度電話するから、その時に。

それじゃ。

(―ピッ)

………え、ああ別に、大した用件じゃないわ。

それより早く、ご飯にしましょう。

お腹いっぱい、ご飯食べてね?」

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