264 可愛らしいマスコットと魔法少女契約。与えられた魔法の力で彼女は悪に立ち向かう!
「(スタスタスタスタ)
(スタスタスタスタ)
(スタスタスタスタ)
………
(~~~♪)
…な、なに?
急に明るく…
(………!)
…え?一体何が………?
………君は、猫………犬………リス………?
どうして、宙に浮いてるの?
(………!)
…え?魔法………少女?
いや、どうして私が………?
(………!)
…そんな。
いくら私に秘められた力があるって言われても、突然そんなこと………
(………!)
………え。
大事な人が、傷つく…?
………
………
………
…うん、わかった。
私、魔法少女になる」
「………はぁ、はぁ、はぁ…
ようやく追い払えた…。
今日の敵も一段と手強かったな。
あともう少しこっちの攻撃が遅れてたら…
(………!)
…ううん。そんなことない。
私がもうちょっとちゃんとしていれば、彼も危険な目に遭わずに………
………ねえ、敵って、全部でどのくらいいるの?
(………!)
…ううー、そんなにいるんだ。
(………!)
…うん、他の魔法少女達もいるんだもんね。
私ももっともっと、頑張らないと。
(………!)
…え、そうかな?
やり過ぎッて言われても、彼が危険な目に遭ってるっていうのに、手加減なんてできないって。
そりゃあ、敵に当たらなかったビームが校舎を壊したり、地面に大穴開けちゃうことはあるけど、彼の安全には変えられないって。
だってこの魔法の力は、大事な人を守るために使うって、決めてるから。
(………!)
………うん、これかも「敵」を倒すために、この魔法は使っていくよ。
だってそれが、魔法少女の役目なんだから」
「マジカルビーム!
(ドッシャーン!)
マジカルビーム!
(ドッシャーン!)
マジカルビーム!
(ドッシャーン!)
マジカルビーム!
(ドッシャーン!)
マジカルビーム!
(ドッシャーン!)
…………
…ふう。倒しても倒しても敵が全然減らない。
どうして世の中にはこんなに敵がいるの?
彼を危険に脅かす敵が、本当に多すぎる。
(………!)
………邪魔しないで。
私は今、魔法少女の敵を倒してるところなんだから。
(………!)
………何を言ってるの?
「敵」は「敵」だよ。
彼の周りをうろつく危険な存在達。
彼の家族も、学校の人間も、それ以外の人達も、彼に危険を及ぼす邪悪なる存在。
私の大事な大事な彼という人間を、変容させてしまう生物達。
これを敵と言わずとしてなんというの?
………君は言った。
私が魔法少女の力を持ってるって。
そして私はそんな魔法少女の力の源を、この世界で一番多く持っているって。
「愛」の力を、ね。
…確かに、彼のことを想えば想うほど、どんどん力あふれ出てくるのを感じる。
溢れんばかりの力が噴水みたいに出てきて、うかつに振れると爆発しようなくらいにね。
この力を使えば、どんな敵だって打ち破ることができる。
その力を正義のために使って、何が悪いの?
(………!)
…当たり前じゃない。
彼を閉じ込めておいてるのだって、彼の安全を確保するため。
魔法の力を最大まで込めた鉄の鳥籠は、絶対に誰にも打ち破れないからこそ、あれ以上に安全な場所はないもの。
この世界は、彼にとってとっても危険な場所。
私が大事に大事にしている彼が、容易に傷ついてしまう場所。
こんな世界ごと滅んでしまえばいいとすら思うけど、でもここは彼が暮らしている場所でもある。
だから、私が「敵」という「敵」をすべて倒して、安全な場所にしないといけない。
私の邪魔をするっていうなら、君だって…
(………!)
………そう、ならば黙ってそこで見ていて。
魔法少女が、正義のために魔法を使う姿を、ね」




