259 師匠の下で修行する女くノ一。隠れ身の術の試験はとても厳しいので鍛錬がまだまだ必要不可欠です
「(忍法、隠れ身の術)
(ふっふっふ。どうだどうだー)
(完全完璧に森の中に溶け込んでいる)
(これなら絶対に見つかるわけ…)
(ペリッ)
………あー、師匠、はがしちゃダメですー。
…ちぇー、まーた見つかっちゃいましたー。
師匠、なーんかズルしてませんか?
いっつもいっつも私のことすぐに見つけちゃうじゃないですかー。
………
…むむむ。
そりゃ、修行であり試験の一環なんで、本気で見つけないと意味ないですけど、でも師匠、すぐに私のこと見つけちゃうじゃないですかー。
すぐに見つけちゃったら、修行にならないと思いません?
…むむー。
見つからないように考えろですかー。
それが難しいから言ってるんですよー。
私これでも、師匠の弟子の中でもは成績一番なんですよー。
その私が全然達成できないってなったら、一体誰が一人前になれるって言うんですかー?
…むむむむむむむ。
師匠を超えることが一番ですかー。
じゃあじゃあ、もっともーっと、修行しなくちゃですねー」
「………
………
………
(師匠、お団子屋さんから出てきた)
(いつも通り、食べた団子の串を口にくわえて歩き出した)
(この先に向かうのは、お城の方かな)
………
………
………
(ふっふっふ。師匠、今日も全然気付いてないな)
(昨日も一昨日もその前も、その前もその前も、その前もその前もその前も、その前もその前もその前もその前もその前もその前もその前もその前もその前もその前も、気付かなかった)
(修行中じゃないから師匠も気が緩んでるのかな?)
(私が逐一師匠の後を付けていること、師匠は気付いてない)
)
(そう、これは修行の一環)
(師匠に気付かれないための修行)
(修行だったら、いくらでも、いつまでも、どんな場所でも、どんな時でも、師匠を付けててもいいよね)
(たとえこの経験を活かして師匠の試験に合格できたとしても、師匠を付け回すのはやめないけど)
(だって、師匠に見つからないことこそが、最大の修行なんだから)
………
………
………
(だから、私がどれだけ師匠を付け回しても、いいんだよね)
(師匠のあんなことやこんなこと、どんなことを知るのも当然こと)
(師匠の事を知るのは修行の一環、修行の一部)
(師匠がどんなものが好きか、どんなものが嫌いか、何を着ているか、どこに傷があるか、全てを知ってもいいはず)
(これからももっともっと、いろんな師匠の姿を、見せてくださいね)
………
………
………
(あ、師匠転んだ)
(師匠、かーわいいっ)」




