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251 浮気性の彼女が何度言っても浮気を繰り返すのは…

「………うんうん。

………へー、そうなんだ。

………ふふっ、それはおもしろいね。

………

…え、昨日?

昨日の夜は、えーと………

…あ、そうそう。

同じサークルの人と飲みに行ったんだ。

すっごくおしゃれな店でね。

料理もどれも美味しくって、それで値段もリーズナブルだったんだ。

何か、魚を焼いたメニューがあったんだけど、これがまた美味しくって…

………え?

あー、うん。男の人もいたよ?

うちのサークル、別に女子限定のサークルってわけじゃなくって、男の人も何人かいるしね。

………うん。まあ、男の人とも話してたよ?

そりゃあ女の子と喋ってた時間の方が長いけど、でも一緒の空間にいるんだし、多少は男の人とも喋ったよ。

それがどうかした?

………

…えっ?もうそんな飲み会行くなって?

いやいや、サークルの飲み会だよ?

サークルに入ってるからには、この先飲み会がないってこともないだろうし、それはいくら何でも………

………

………そっか。じゃあもうサークルも辞めるよ。

それでいいよね?

………

…もう、本当にちゃんと辞めるって。

だって私、君のことが大好きなんだし」




「………そうそう、中盤の主人公が戻ってくるシーンがさ…

………あー、そのシーンも良かったよねー。

………何と言ってもやっぱりクライマックスが…

………

…ん、何?どうかした?急に黙っちゃって。

言いたいことがあればちゃんと聞くよ?

だって私は君の彼女なんだし、彼氏の言うことはなんでも聞いてあげる。

………

…あー、この間の。

あれ、君見てたんだ?

………

…うん、まあ。確かに、男の人と遊びに行ったよ。

………うん、二人で。

同じ授業受けてる人でね、ノートとかも貸してくれて、結構いい人なんだよね。

それで日ごろのお礼って意味も兼ねて、この間の休みに二人でお出かけしたんだ。

………

…お出かけはお出かけだよ。

街をぶらぶらしたり、ファミレスでご飯食べたり、そんな感じ。

………別にその人のことは何とも思ってないって。

ただ一緒の授業取ってる人、ただそれだけ。

それ以上のことは何もないよ?

それとも、君は彼女がそういうことしてるのは、嫌なの?

………

ふーん、そっかそっか。

うん、わかったよ。

今度からはもうそういうことはしない。

………

…うん、約束約束。

今度からは君に内緒でそういうことはしないから。

愛する彼氏君と、私との約束」




「………

………

………

………ん、ああ、ごめんごめん。

ちょっとメッセージ入ってて、聞いてなかった。

えーっと、それで、何の話してたっけ?

………

………どうかした?

なんか真面目な顔しちゃって。

君のそういう顔もかっこいいから見とれちゃうけど、何か話でもあるのかな?

………

…うん、何でも言ってよ。

君の話ならどんな話でも聞いてあげるから。

………

…ん、スマホ?

その画面見ればいいの?わかった。

………

………あー、この写真ね。

これ、君が撮ったの?

………ふーん、そうなんだ。

ってことは、あの日君もあそこにいたんだ。

全然気付かなかったなー。

………

…ああ、うん。

ここに映ってるのは私だよ。

ホテルの前で男の人と手を組んでるこの女の人は、ね。

………

…何って。

言わなくても想像はつくでしょ?

男女がホテルに入ってすることと言えば、ね?

………

………え、どうしてそうなるの?

私は、今でも君のことが大好きだよ?

他の男の人なんて石ころに見えるくらい、君のことが世界で一番好き。

恋してるし、愛してる。

………浮気?

うーん、まあ、見方によってはそうも見えるのかなあ?

…ねえねえ。

君は私が男の人とホテル入っていくのを見てどう思った?

こっそりついてくるほどだもん。

嫉んだ?妬んだ?嫉妬した?

………ふーん、そっかあ。嫉妬してくれたんだ。

…ね、ね?それってつまり、私のことを愛してくれてるってことだよね?

愛してるからこそ、嫉妬しちゃうんだよね?

だって好きでも何でもないんなら、こういうの見ても嫉妬なんかしないはずだもん。

でも君は嫉妬してくれた。

嫉妬したってことは、私のことが大事だっていうことだよね?

………ふふっ。良かった。

………

…ん?だから、この男の人は何とも思ってないよ?

適当に誘われたから、適当に合わせて、適当にホテルに行っただけ。

………断ればいいんじゃないかって?

…違うよ。

私は、君に嫉妬して欲しかったんだ。

私は、『好きだ』とか『愛してる』とか言われても全然ピンと来ないの。

ただの体目当ての人とか詐欺師の人とか、世の中平然とそんな嘘吐く人ばっかりだからね。

でも、嫉妬は違う。

嫉妬という負の感情は、愛してくれてるからこそ出てくる感情なの。

愛してなければそんな感情は湧きあがらないし、表にも出てこない。

君が嫉妬してくれてる時にこそ、私は真の愛情を感じられるんだ。

『ああ、この人は私のことが好きなんだ』

『本当に、愛してくれてるんだな』って。

だから私は、これからもこの写真みたいなことを繰り返すよ?

これだけじゃなくて、これ以上のこともしちゃうかもね。

でもそれは、君のことが好きだから。愛しているから。

嫉妬して欲しくて、そうするんだ。

だってそうしないと、君の愛情を感じることができないから」

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