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250 魔王討伐後の勇者パーティー。全員で旅の成果を語り合っていたが話は思わぬ方向に…

「秘伝流儀、ラストエンペラースラッシュ」

「奥義!絶対最強破壊拳!」

「…集え、精霊達。エウレパ・サザント・リュースト・コナーク」




「………やった。やったやった。

魔王を、魔王を倒した。

これで、世界に平和が訪れるはず」

「おいおい、こんなのが魔王だったのかよ。

オレ達4人の手に掛かれば、全然大したことねーな」

「…よく言うよ。

そんなこと言って、うちの回復がなければ10回は死んでたくせに。

魔王だけじゃなくて配下の手下にもろにダメージ食らって、何言ってるんだか」

「いや、あれはだな。オレの死角から攻撃したアイツらの方が少しだけ、ほんの少しだけ上回ってただけだっつーの。

あんな奴らいつもならワンパンで倒せるし」

「あなたの方も、私達が盾になってなければ、今ここで立ってないと思うけどね」

「…勝ちは勝ち。最後にうちらが勝てればそれでいい」

「そうそう。終わり良ければすべてよしっつーだろ!

オレ達のおかげで世界が平和になった。

大事なのはそれだけだ」

「けど本当、私達4人よくここまで旅に来られたよね。

出会ったばかりの頃はケンカばっかりだったのに。

それも、すっごいどうでもいいことで。

服が可愛くないとか、勝手に食料食べたとか、そういうので」

「…どれも大事なこと。今でもうちはそっちとウマが合ってないと思ってるけど」

「まーまー、いいじゃねーか。過ぎたことをいつまでもグダグダ言っててもさ。

大事なのは過去じゃなくて今、そして未来だっつーの」

「私もその意見には賛成だね。

珍しくいいこと言ったね。

いつもはとんちんかんなことばかり言ってるのに」

「ああ?

オレの言葉のどこがとんちんかんだっつーんだよ。

たとえ一時とんちんかんだったとしても、すぐに汚名挽回してるっつーの」

「………」

「………」

「あん?どうした3人とも?黙りこくって」

「いえ、なんでも」

「…うん、なんでもないなんでもない」

「なんだよそのあからさまな呆れ顔は。

ま、いーけど。

でもまあ、魔王を倒しちまった以上、この先もオレ達4人一緒ってわけでもねーんだよな」

「…それはそうでしょ。もともとこの4人は、魔王を倒すための協定関係みたいなものだし」

「そうだね。確かに世界が平和になるからには、4人で一緒にいる必要はなくなる。

でも、これで私は………」

「ようやくオレは………」

「…やっとうちは………」


「「「勇者と結婚ができる」」」


「えっ?」

「は?」

「…ん?」

「何を言ってるのかな、二人とも。

勇者と結婚するのは、王家の姫騎士たること私でしょ?」

「いやいやお前こそ何言ってんだよ。

勇者と結婚すんのは、国一番の力を持つ武闘家のオレだよ」

「…二人ともひどい勘違い。

勇者と結婚する運命なのは、全ての魔術をマスターした魔法使いのうちなのに」

「いやオレだっつーの。

オレと勇者は相性抜群のバートナーだぜ。

オレ達二人の阿吽の呼吸でいったいこれまでどれだけの敵を屠ってきたことか」

「…うちは勇者と幼い頃から一緒の幼馴染。

こんなちっさい頃からずっと一緒で、遊ぶのもご飯食べるのも寝るのもずっと一緒だった。

うちと結婚するのが運命のはず」

「もう、何言ってるのよ。

私と勇者するのはお父様達国の人間が決めたこと。

旅が始まった頃から決まってた許嫁なんだから」

「…許嫁なんてナンセンス。

結婚は運命の相手とするのが一番」

「許嫁でも運命でもねーだろ。

結婚っつーのはあれだ。

二人の相性みたいなもんで決まるもんだろーが。

その点、オレと勇者は一番相性いいしな」

「それもどうかと思うけれど。

私と結ばれれば結婚生活は何一つ不自由なく暮らすことができる。

お城のどんな部屋にだって住めるし、どんなにおいしい料理だって食べられるんだから」

「…一番大切なのは愛だと思う。

うちが一番、勇者のことを大事に思っている。

昔からずっとずっと、思ってた」

「オレだって負けてねーっつーの。

この先勇者がどんなピンチに陥ろうが、たとえ火の中だろうが水の中だろうが、いの一番に助けに行ってやるぜ」

「それなら私が一番だよ。

私は出会った時からずっとずっと、勇者のことしか見てこなかったんだから」

「………」

「………」

「………」

「うーん。これは3人とも、一歩も引かないって顔してるね」

「そうだな。オレだってそう簡単に引くつもりはねーよ」

「…困った」

「でも、こうなったらやることは一つだろ?」

「…うちも一つ、やりたいことある」

「どうやら、みんな同じことを考えてるみたいだね」

「…じゃあ………」

「そーだな………」

「うん、それじゃあ………」


「「「奪い合い」だな」だね」ね」




「…集まれ、死霊よ。ザンゲール・ミトナ・アシュカテト・リジュール」

「第八剣技、ライトニングストライクスパイク」

「岩石星屑英雄突き!」




「骸骨弾丸五月雨流星群!」

「…集合せよ、妖精。オプトリケール・サムシュ・リカリアット・トロコール」

「最終完成系剣舞、ランドスケールワールドエンドシュール」




「秘伝流儀、ラストエンペラースラッシュ」

「奥義!絶対最強破壊拳!」

「…集え、精霊達。エウレパ・サザント・リュースト・コナーク」




『………

………

………

(タッタッタッタッ)

【勇者は逃げだしてしまった】』

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