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236 いつもいつも先輩が持ってきてくれる差し入れはどれもとっても美味しくて胃袋がつかまされる

「………あっ!後輩君みーっけ!

今体育終わったところ?

…ふーん。今日は何やってたの?

………そっかーバスケかー。

後輩君はガンガンシュート決められた?

………えー、そうなのー?

まあ、部活でやってなきゃ、そうそう決まらないもんか。

………まあまあ、こういうのは部活やってる人に利があるんだから、あんまりしょげちゃだめだぞ。

…あっ。そうそうそうそう。

ちょっと後輩君に渡したいものがあってね。

(ゴソゴソ)

…はい、これ。後輩君にあげる。

………そ、クッキー。

自家製のなんだ。

ぜひ後輩君に食べてもらいたくて。

…うん、いいよいいよ。ぜひぜひ食べてみて?

………

…美味しい?

よかったー。

ちゃんとできてるか不安だったんだよねー。

………うん。そうだよ。

砂糖はあんまり使ってくなくて、代わりにフルーツが入ってるの。

柑橘系で結構さっぱり食べられるでしょ?

後輩君ならこういうのが好きだと思って。

………そ、よかったー。美味しいって言ってもらえて。

持ってきた甲斐があったあった。

………うん、もちろんオッケー。

それ全部上げるから、後でじっくり味わって食べててね。

それじゃ。

またね、後輩君」




「(スタスタスタスタ)

(スタスタスタスタ)

(スタスタスタスタ)

………おーい、後輩くーん。

………っと、やっと追いついた。

後輩君歩くの早いね。追いつくのに走ってきちゃった。

………ん?別に―。

何か用事とかじゃないけど、後輩君の背中見かけたから、一緒に帰ろうかなって思って?

………ダメ?

…うんうん。素直な後輩君は好きだよー。

………

…そろそろテストだよねー。

後輩君はテスト勉強ちゃんとしてる?

………うんうん。わかるわかる。

いざ勉強するぞって思ったら、なぜか部屋の掃除しちゃうとかってよくあるある。

それでなくしたと思ってた漫画なんか見つけちゃった暁には、あっという間に一晩経っちゃうこともよくあるよね。

でも、勉強はちゃんとしなくちゃだめだよー。

………えっ、なんでって。

うーん、うーん。

…なんでだろうね?

………あははっ。

まあまあ、たぶんテストで良い点取ることは、テストで悪い点とるよりもいいことなんだよ、きっと。

…じゃ、そんなテスト勉強を頑張る後輩君に、これを上げよう。

………調理実習で作った親子丼だよ。

友達とかに結構任せちゃったから、うまくできてるかはあわかんないんだけど………

…あ、わかる?

これ、中の汁にウナギのタレを使ってるんだって。

ウナギのタレって甘い感じだから、卵とうまくマッチするんだよ。

…うん、私は授業で食べたし。よかった後輩君夜食にでも食べて?

………あっははっはー。そんなに期待されちゃうとがっかりした時の落ち込み半端ないと思うんだけど。

でも、美味しく思ってもらえると嬉しいな。

………あ、私こっちだから、

後輩君、バイバーイ」




「(キーンコーンカーンコーン)

(ガラガラ)

………いたいた。

後輩君、今からお昼?

…ふーん、じゃあこれから学食行く感じ?

………そっかー、それじゃよかったよかった。

…どうしてかって、そりゃあ。

………じゃじゃじゃじゃーん!

後輩君にお弁当持ってきてあげんだ。

先輩からの差し入れ。

………いやいや、当然でしょ。

ここまでしておいてやっぱりあげないとか、私そんな小悪魔じゃないって。

…いいよいいよー、開けてみて。

………どうどう?すっごく美味しそうでしょ?

後輩君のために、色々なおかず用意したんだ。

さつま揚げと大根の煮物でしょー。

味噌田楽でしょー。

ちくわの磯部揚げでしょー。

魚のハンバーグでしょー。

イワシの素揚げでしょー。

アジフライでしょー。

豚キムチでしょー。

スコッチエッグでしょー。

そぼろご飯でしょー。

………うん?全部後輩君の好物?

そっかー、よかったよかったー。

………うん?

いやなんか、後輩君がこういうの好きそうかなって思って。

ちゃんと全部君の好物でよかった。

…あっ、飲み物もちゃんと抹茶ミルク持ってきたから、よかったら飲んでね。

それじゃあ、私はこれで。

ゆっくり味わって食べてね。後輩君。

(ガラガラ)

(スタスタスタスタ)

………

………

………

~~~♪

~~~♪

~~~♪

後輩君今頃、あのお弁当美味しそうに食べててくれてるかな。

いや、絶対にそうに違いない違いない。

だって、後輩君の大好物ばかりのお弁当だし。

私は後輩君の好物は何でも知っている。

後輩君の嫌いなものも全部知っている。

後輩君が食べているものは、隅から隅まで知っている。

その中で後輩君が好きなおかずばかりを選んだんだから。

だから、きっとおいしく食べてくれるはずよだね。

ああして後輩君の好きな物ばかり持っていけば。

後輩君がおいしく食べてくれれば。

その内きっと、私の食べ物を待ちわびてくれる。

私の食べ物がなくちゃ生活できなくなる。

私の食べ物だけを食べる生活になっちゃう。

そうやって後輩君の胃袋を掴んじゃえば。

後輩君に好きになってもらえる。

これからも毎日毎日、後輩君に食べてもらわなくちゃね。

(~~~♪)

…電話だ。

………あっ、お母さん。どうしたの―?

…あー、うんうん。大丈夫、ちゃんと喜んでもらえたよ。

お弁当箱の中見せたら、きらきら目を輝かせてたし。

………うんうん。じゃあこれからも後輩君の好みに合わせる感じでよろしくね。

それじゃ。

(ピッ)

………うーん。明日は、後輩君に何を持っていってあげようかな?」

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