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235 フラれて別れたカノジョ。別れたはずなのに元カノはいつもいつも彼の側に寄ってくる

「(カツ、カツ、カツ、カツ)

………

………

………

(ストン)

………なに、その目?

私がここに座ったらいけないの?

………『他の席は?』って、授業受けるのに開いてる席ならどこでも一緒でしょ。

それとも、あれ?

元カノだから隣に座っちゃいけないとか、そういうこと?

………別に、気にしてないし。

こっちから振ったんだから、私が気にしてる方がおかしいでしょ?

………

…あれは、あんたが!

………

…あ、すいませーん。ちょっともめちゃって。

この後はほんと静かにしてますので、本当、すみません。

………

…あんたのせいで怒られちゃったじゃない。

………いいや、あんたのせいだよ絶対に。

許さないから。

(ゴソゴソ)

…ん、先週の課題?

なに、あんた休んでたの?

珍しいわね。ちょうど私も休んでたわ。

あんたに課題見せてもらおうと思ってたのに、残念。

…ねえ、そこの式間違ってるんじゃない?

ほら、ここよここ。

っていうか、字汚いの相変わらずよね。

自分でも読めないくらい汚いの、いい加減自覚したら?

そんなんだから式も間違えるんだよ?

…ふん。勝手にするわ。

だって、たまたま席が隣同士になっただけだから、ね」




「(ズズッ、ズズッ、ズズッ)

(ゴホッ、ゴホッ)

…はい、水。

(ゴクゴクゴクゴク)

あんたさあ、麺類を息継ぎなしで食べるのやめた方がいいんじゃない?

そのうち喉つまらせて死ぬかもよ?

何かの記事にでもなったら笑いものよね。

『悲報:死因はラーメンをのどに詰まらせたから』みたいな?

………んー?

なんでこの席にいるかって言われても、お昼の学食ってご覧の通りかなり込んでるじゃない。

私は開いてる席を見つけて、たまたまここに座っただけ。

それ以外の他意はないわ。

………じゃ、いただきます。

………

………麻婆丼で何が悪いの?

だって美味しいじゃない。麻婆丼。

麻婆丼だったらいくらでも食べられるわ。

………ふん。

別に私が何食べようと自由でしょ。

それとも、彼女だった頃に自分が勧めたメニュー食べてるの見ると、不快になるの?

あほくさ。私は別にそういうの気にしないから。

(~~~♪)

…ん、スマホ鳴ってるよ。

メッセ?誰から?

………別に気にしてない。

スマホが鳴ったから聞いただけ。

………

(ダン!)

………気にしてないって言ってるでしょう?

変なこと言わないで。

それより、呼ばれたんだったなら早く行けば?

そっちの丼、もう空になってるんだしさ。

食べ終わってるのにいつまでもここにいると、他の人の迷惑になるじゃない。

だから早く行ったら?

(スタスタスタスタ)

………

(モグモグモグモグ)

(ゴクゴクゴクゴク)

………ごちそうさま」




「(スタスタスタスタ)

(スタスタスタスタ)

(スタスタスタスタ)

………何?

別にあんたの隣歩きたくて歩いてるわけじゃないし。

たまたまあんたと行く方向が一緒なだけ。

それなのに隣歩いているとか、とても愉快な勘違いね。

自意識過剰なんじゃない?

………

………

………

…で?この後どっか行ったりするの?

………別にいいでしょ。

一応知ってる知人同士なんだし、近くにいてずっと無言なのも変だと思ったの。

…で?さっきの答えは?

………ふうん。やっぱりそうなんだ。

………ん、なんでって言われても、あんたの家ってこっちじゃないじゃん。

もう授業終わって帰るんだったら、こんな道歩いてないでしょってただ思ったの。

………あー、そっか。デートか。

だから昼間よりも私がいて不機嫌なんだ。

ふーん。

………いや、それくらいその姿見たら想像つくし。

服のボタンも全部止めて、わけわかんない風に頭セットして、いかにも緊張してますって表情見ればすぐにね。

あんたのことなんてなにもかもお見通しなのよ。

………否定が否定になってないわよ。

本当のことなのにそうやってムキになって否定するところ、前から変わってないよね。

そんなんだから私は………

…ううん、なんでもない。

せいぜい、今日会う女の子に幻滅してもらうことね。

リアルなあんたを知って、一時間経たないうちに帰るといいわ。

(スタスタスタスタ)

………行っちゃった。

今日あいつと会う女、か。

多分、同じゼミの女だろうな。

お昼の時のメッセ、確かその名前だったはずだし。

………どうせうまく行きっこないけど、万が一の時は、釘を刺しておかないと。

…あいつは、私のもの。

一度振ったからって、その事実は変わらない。

たとえ捨てたものであっても私のものは私のもの。

誰かが拾うなんてことは許さない。

………でも学校のいる間、あいつの近くにいるだけじゃ、他の虫がじゃんじゃん寄ってきちゃうな。

いっそのこと、あいつのあることないことデタラメな噂、学校中に流した方がいいかな。

周囲から孤立すれば、邪魔な女が近づいてくることもない。

私のものだったあいつは、過去形とはいえいつまでも私のもの。

私のものだったという事実は、一生消えてなくならない。

一瞬とはいえ私の彼氏だったんだから、その報いはきちんと受けなさいよね。

好きになった、その報いを」

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