231 毎年クリスマスにプレゼントを持ってやってくる白髭。少女が彼に今年願ったものとは…
【わたしは ことしもあなたをまっています
いつもいつも すてきなプレゼントをもってきてくれて ありがとう
ことしも すてきなプレゼントをもってきてください
ぜったいぜったい ことしもわたしのところにきてください
サンタさんへ】
「(ゴソゴソゴソゴソ)
………
………あっ!サンタさん、こんばんは。
あのねあのね。
わたし、ことしもサンタさんがきてくれるっておもって、ねないでまってたんだ。
ねないでいるのたいへんだったけど、サンタさんのかおをみたら、すっかりおきちゃった。
(ゴソ)
………ことしのプレゼントだ!
ねえねえ、サンタさん。
わたしのてがみ、ちゃんとよんでくれた?
………
…そっかー、よかったよかったー。
ねえ、このプレゼント、あけてもいい?
………うんっ!
(クシャクシャ)
…あ!ずっとずっとほしかったオモチャだ!
ありがとう、サンタさん」
「(ゴソゴソゴソゴソ)
………
………サンタさん、こんばんはー。
わたし、ことしもサンタさんがきてくれるって、ちゃんとしんじてたんだ。
わたし、サンタさんにきてほしくて、ことしはずっとずっと、いいこにしてたもん。
だから、サンタさんはことしもきてくれたんだよね?
………ねえねえサンタさん。
ことしも、わたしのてがみよんでくれた?
………そっか、なら、ちゃんとわたしがほしいものを、よういしてくれたんだね。
…でも、おともだちがほしいなんておねがいなんてして、サンタさんがよういしてくれるのか、ちょっとしんぱいで………
サンタさんがきてくれないんじゃないかって、おもって。
でもちゃんと、サンタさんがきてくれてよかった。
………うん、うん。
わかったよ、サンタさん!
わたしにはもう、おともだちがいるんだね?
あしたから、そのこといーっぱい、あそんであそんで、あそぶんだ」
「(ゴソゴソゴソゴソ)
………
………こんばんは、サンタさん。
きょうも、プレゼントをわたすおしごと、おつかれさま。
いろんないえにいって、たいへんじゃなかった?
つかれてない?
ふーん。こどもたちのねがおをみて、パワーをもらったんだ。
でも、ほんとうにたいへんだよね。
たくさんのいえにいって、そのいえのこにプレゼントわたしてくるんだもん。
でもでも、サンタさんは、だれにもみられなくて、ありがとうっていわれずにプレゼントをわたしつづける…
それって、すっごいことだとわたしはおもうんだ。
だからこそ、プレゼントをくばりつづけたら、サンタさんがたおれちゃうんじゃないかって、わたしはしんぱいなんだ。
…でもね。あしたからは、もうそんなしんぱいしなくてもいいんだ。
………わたしがことしほしかったもの。
サンタさん、わたしのおてがみ、みてくれたよね?
………ことしはね、わたし…
サンタさんが、ほしいの。
まいとしまいとし、すてきなプレゼントをもってきてくれるサンタさんが、わたしほしいの。
わたしだけに、わたしのためだけに、これからはプレゼントをもってきてほしいんだ。
きょうまでは、たくさんのところにプレゼントをはこばなくっちゃだけど、これからはもう、わたしだけのサンタさんだから。
わたしだけに、プレゼントを………
…ううん。
わたし、サンタさんがいれば、ほかのプレゼントはいらない。
だってだって、サンタさんはまいとしまいとし、わたしのほしいプレゼントをもってきてくれた。
わたしのために、わたしをよろこばせるために。
そんなサンタさんが、いっしょにいてくれれば、わたしはそれでいいや。
わたしは、おかーさんもおとーさんもいなくて、サンタさんいがいにプレゼントなんてもらえなかったから。
サンタさんからもらったものは、ぜんぶたからものなんだ。
だからこれからは、サンタさんが、わたしのたからものなの。
たからものって、たいせつにたいせつに、しまっておくものだよね。
サンタさん。
わたし、サンタさんのこと、すっごくすっごくたいせつにするからね」




