227 笑顔が可愛いバーガー店員はいつもいつも無料のスマイルを彼に向けている
「(ウィーン)
いらっしゃいませ!
ご注文はお決まりですか?
…はい、はい。
かしこまりました!
テイクアウトでAセットにハンバーガーのダブルがお一つ。
それとホットコーヒーですね。
合計860円になります!
…1000円のお預かりで、140円のお返しです!
商品の方少々お待ちください。
………
はい、お待たせました!
Aセットにハンバーガーのダブル。
こちらがホットコーヒーになります。
………えっ?
あっ、はい!スマイルですね!
(にっこり)
ありがとうございました!またのお越しをお待ちしております!
………
…次のお客様、どうぞ。
………はい、はい。
チーズバーガーとポテトのMサイズ、それとアップルパイですね。
760円になります…。
えーっと、800円で、お釣りが40円ですね。
少しお待ちください………
………
はい、お待たせしました。
どうぞ…
………はい?
いや、あの、うちはそういうサービスはやってないので…
………はあ、面倒くさいな。
お客様は平等とか言われても、人間なんて全然平等なわけないじゃないですか。
なのに店員だからってお客に平等にしろって言われても、困るから。
………ああ、さっきの?
さっきのは私の彼氏。
彼氏なんだから、笑顔を向けるのは当然でしょ?
………いや、彼氏だから。
毎日のように彼が夕飯をここで買って、私が彼に夕飯を手渡しする。
もうそれが何年も続いているんだから、私と彼は恋人同士なの。
彼はすっごく仕事が忙しくて、ここで夕飯買う時しか会えなくて、彼の電話番号も住所も知らないけれど、それでもほぼ毎日会ってるんだから、それもう逢引きしてるようなものだもん。
それに彼、私にだけすっごくい笑顔で笑いかけてくれるの。
他の子にはしてなくて、私にだけで。
これって特別なことじゃない?
そんな彼だから、私もとびっきりの笑顔で応えてあげるの。
私の笑顔に彼もさらに笑顔になって、まさにハッピーがセットになってハッピーハッピーの関係ね。
これ以上ないくらい幸せなカップルなの、私達。
それにほら、この日記はね………え、先輩なんですか?
…店長が呼んでる?
はーい、わかりましたー。
それじゃあ、レジはお願いしますね。
(スタスタスタ)
………それにしても、また店長に呼び出し食らっちゃった。
また私何かしちゃったのかなー?ぜんっぜん、身に覚えがないのになー。
前に呼び出された時は、お客に私と彼の愛の関係を説いてただけだけど、それはたぶん関係ないよね?
…うーん、ま、言ってみればわかるか。
………今日もバイトが終わったら、彼を顔を思い出しながら愛の日記を書かなくっちゃ。
ああ、そういえば、今の日記もそろそろ書き終えちゃうな。
101冊目の日記帳、買って帰らないとね。
………私達二人の愛の記録。今日はどんなことを書こうかな?」




