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224 数々の戦場で一騎当千の活躍をする女兵士。今宵の拳銃が向けられる矛先は?

「(バンバンバンバン)

(バンバンバンバン)

(バンバンバンバン)

………掃討完了。次のブロックに移動する。

…援軍?

大丈夫さ、司令官殿。

中央部はもう間近だ。下手に時間をかけても、敵兵が戻る時間を与えるけさ。

(バタンッ!)

………っと、ここには6人。

…いいや、全く問題ない。

この程度のやつら、1分もあれば………

(カチャッ)

………もう一人いたか。

残念、気付かなかったな。

だがどうした?撃たないのかお前?

私を撃つ絶好のチャンスだというのに。

………ああ、そうだな。

確かに私の銃は、お前が私の手首を持ち上げているから撃てない。

だけどな。

(ガツン)

銃な弾を撃つだけじゃないんだよ。

じゃあな。

(バンッ)

………ああ、問題ないよ司令官殿。

これから6人をサクッと片付けるところだ。

それじゃあ1分後に」




「(シュイーン)

おお、司令官殿。お疲れー。

………謙遜するなよ。今回のミッションの成功は司令官の作戦あってこそさ。

私はただ、司令官の指示に従って暴れてるだけだからな。

…別にいいじゃないか、少々一人で突っ込んだって。

別に無謀な敵地に一人乗り込むわけでもないし、あの程度の特急兵相手なら、一人でも問題ないと判断したまでさ。

…はいはい、わかりましたよ、司令官殿。

ところで、もう報告は終わったのか?

もう終わったなら…

………さすが、話が早いな。

じゃあ1時間後、いつものバーで」




「(カン)

…相変わらずまずいな、ここの酒は。

………おいおい、本当のことだろう?

飲める場所がここにしかないから仕方なくここに来てるだけだって、前に司令官殿も言ってたじゃないか。

………ん、ああ、悪い悪い。

仕事じゃないのに司令官殿はなかったな。

………それにしても、お前と今の組織に入ってからもうだいぶ経つよな。

最初は同じ兵士志望だったが、お前は頭の良さを買われて司令部に。

………ん?私は脳筋タイプだからな。ごちゃごちゃ物事考えずに、ただ目の前の敵を倒す方が性に合ってるよ。

………おいおい。あんまり褒めるな褒めるな。

そりゃあどんな敵地でも、単独で突っ込んで帰ってくるのは私くらいだが、私にだって限界はあるさ。

もし私が最強っていうなら、こんな組織がある意味がないからな。

しっかし、いつまで戦いは続くんだろうな。

1に戦場、2に戦場、34がなくて5に戦場の日々。

あとどのくらいの敵を倒せば終わるのなんか、皆目見当がつかない。

………相変わらず昔からその気丈さは変わらないな、お前。

…お前は、一体何のために戦ってるんだよ。

上からの指示に従って戦う毎日。

倒しても倒してもきりがない生活。

そんな毎日に、どんな意味があるって言うんだ?

………国のためか。お前らしい答えだな。

…私か?それは機密事項だな。

………冗談だよ。

まあ、いつか時が来ればおまえにも教えてやるさ。

ひとまず、今は飲もう。

せっかくの酒だ。どんなにまずくても、飲まないのは勿体無いからな」




「(バン、バン)

(バン、バン)

………よし、ここも制圧完了。

しかし、この建物、どこもかしこも兵の数が少なくないか?

おかげで楽に侵入できるとはいえ、何か嫌な予感がするな………

(タッタッタッタッ)

(タッタッタッタッ)

(タッタッタッタッ)

…よし、あそこが敵の司令部だな。

あの部屋さえ制圧すれば、今回のミッションも終了だ。

………すぅ、はー…

…よし。

(バタンッ)

………なっ。もぬけの殻…

どうして、情報だと確かにここに…

………

………っち、罠か。

おい、司令部!聞こえるか、司令部!

応答しろ、司令部!

………

つながらない、ということはまさか………」




「(タッタッタッタッ)

(タッタッタッタッ)

(タッタッタッタッ)

ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。

ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。

ハッ、ハッ、ハッ、ハッ。

(バタンッ)

…司令官!

………っち、司令官殿を人質にとるとは、ずいぶんと卑怯な真似をするな、お前ら。

お前の目的は何だ?

金か?

組織の持つ兵器か?

それとも情報か?

なんであれ、司令官殿を人質にしたところで上が動くはず………

………私?私の命、だと…?

(………)

(………)

(………)

………なるほど、そうか。それで私の命を…

私の命を差し出せば、司令官殿は解放するのか?

…そうか、わかった。

(………)

…司令官殿は優しいな。この期に及んで逃げろとか、相変わらずのお人好しだ。

だが、そんな優しい言葉を掛けられても、私は…

(バンッ)

…ぐふっ。ゴホッ。

………さあ、私は今自分の気管を撃ったぞ。

このまま放っておけば出血多量で死ぬ。

だから、さっさと司令官殿を解放しろ。

…解放しないというのなら、死ぬまでの数分間で、必ずお前達を道連れにしてやるぞ………

…できるはずない?

ふふっ、できるさ。この私なら、な。

(ドタドタドタドタドタ)

………大丈夫だったか?司令官殿。

………ああ、私はもう無理だ。

…おいおい、応急処置しようったって、無駄さ。

わかるだろ?この惨状。

これは、もう、手遅れさ。

………おいおい、泣くなよ。

あと一歩間違えてたら、死ぬのは司令官………お前だったんだぞ。

その命が助かったことを、喜んだらどうだ。

………なに、お前が気が止むことじゃあ、ないさ。

私が勝手にやって、私が勝手に失敗しただけの、こと。

お前のせいじゃ、ない…。

元はといえば、私があいつらの仲間を、手にかけたことが、原因だ。

つまり、私の自業自得。

………おい、だから泣くなって。

最後くらい、お前のかっこいい顔、見ておきたいんだがな…

………

…なあ、お前。この間私に、聞いたよな?

なんのために戦うのか、ってさ…

それは、さ………

お前が、少しでも長生きできるように、だ…

こんな、戦場だけが毎日の中で、人はいつ死ぬか、わからない………

だから私は、お前に、少しでも、長く生きて、欲しかったんだ………

だから、私のおかげで、お前が生き永らえたんだったら、それで、満足さ………

お前は、鈍感だったから、どうせ気付いてなかったんだろうが………

私は、お前の、ことが…

ずっと、ずっと、前から………

………

………

………」

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