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216 ATM代わりにしている地雷系彼女。散々貢がせたので別れ話を切り出したら…

「~~~♪

~~~♪

~~~♪

………んー、おいしい。

ありがと、こんなお店に連れてきてくれて。

君って本当に、いろんなところを知ってるよね。

今日はわたしにぴったりのこんなにかわいいフリフリのお洋服選んでくれたし、わたし感激。

それにそれに、今日のわたしの髪形も褒めてくれたよね。

他の友達からは子供っぽいとか病んでるとかって言われがちだけど、ほめてくれるのは君だけ。

君ってば本当に私の運命の王子様だよ。

こんないい人に出会えて幸せ~。

………あっ、そうだそうだ。

(ゴソゴソ)

はい、これ。プレゼント。

………うん、開けてみて。

………

…そ、君がずっと欲しかったって言ってた腕時計。

偽物なんかじゃないからね?

ほら、そこのところにシリアルナンバーも入ってるし。

………ううん。全然。

君のためを思ってならそのくらいのお金なんて全然だよ。

また、何か欲しいものがあったら言ってね?

わたし、君に喜んでもらうためならどんなプレゼントだってしてあげたいから。

………

………あ、うん。

デザートのケーキも食べちゃったし、わたしすっごい満足したよ。

そろそろ出ようか。

………あ、また財布忘れちゃったんだ。

いいよいいよ。今日もわたしが払っておくから。

………

…全然全然。

君と美味しいご飯が食べられただけで、わたし満足だもん。

………

………ふう、夜風が気持ちいいね。

あっ、それより。今月の生活費大丈夫だった?

大分ピンチだったんだよね?

わたしが送った分だけで足りたかな?

………そっか。よかった~。

君の生活の助けになったのならよかったよ。

もし、また足りなくなったら、わたしが出してあげるからね。

………あー、うん。

企業資金のことね。

そっちも大丈夫。

今日銀行でその辺の手続きしておいたから、明日には君の口座に入ってるんじゃないかな?

確認しておいてね。

………そんなことないよ。

君の夢なんだから、彼女のわたしが応援するのは当然のことだもん。

あのお金で君の夢が叶うくらいなら、安いくらいだし。

………

…どうかした?

急に改まった顔しちゃって。

…………………………え?

別れ、たい?

ど、どうしてどうして。

どうして別れたいなんて………。

………

海外に行っちゃうから………?

な、ならわたしだって君に付いていくよ。

君と一緒に居られるなら、どこにだって、地球の裏側にだってついていく。

だって、わたしは君の恋人なんだから。

………

…それでも、ダメ………?

わたしを、傷つけたくないから。

…………………………へー。そっかー。


―――刑法○○条、詐欺罪。人を欺いて財産を手に入れた者は10年以下の懲役に処する。

(ピッ)

(―――)

(―――)

(―――)

結婚を匂わせて近付き、金品を授受したり、返済する気のない借金をする行為を結婚詐欺といい、多くのケースにおいて詐欺罪が成立する。


………

………あー、そっか。

私が何の仕事してるか、言ってなかったっけ?

わたし、弁護士やってるんだ。

ねえほら知らない?

最近テレビでもやってた人気タレントの裁判。

あの裁判で無罪にしたの、わたしなんだ~。

………

いや~、そりゃあさすがに、弁護士する時にはちゃんとした格好してるって。

弁護する時に今みたいな恰好するのが非常識だってわかってるよ。

………ああ、さっきの録音?

別に、あれは君を訴えるために録音してたわけじゃないよ?

大好きな恋人の声は何回でも繰り返し聞きたい。

だからわたし、君に会う時はいっつもICレコーダー持ち歩いてるんだ。

君との会話はぜーんぶ、家のパソコンに保存してあるから。

………それにね、わたし知ってるんだよ?

いつも君はなんだかんだわたしにお金を要求するけど、あそれがほぼすべて嘘っぱちだったってことくらい。

会社を起業するために海外に行くとかっていうのも、嘘なんだよね?

色んな人を弁護してるとねー、誰が嘘をついてるとか、すぐにわかっちゃうんだよねー。

でもねでもね、嘘ってわかっててもお金を渡してたのは、君に喜んでもらいたかったから。

例え嘘の理由でも、お金を渡せば君が喜んでくれる。

もっともっと、わたしを好きになってもらえる。

そのためにお金を使うのは、全然平気。

たとえ君が嘘を吐いていたんだとしても、わたしには関係ないんだ。

わたしは、君の言葉に心を打たれた。

わたしにとっては、全部全部、わたしを愛してくれている愛の言葉だったの。

真実の愛以外のなにものでもないの。

君の言葉に、わたしは愛を感じていた。

わたしは、愛されてるんだなって。

………でも、別れたいっていうのなら、話は別。

君が別れたくないって言うまで、地獄の果てにまでだって追いかけ続けるから。

だって君は、わたしの運命の王子様なんだから。

王子様がお姫様から離れるなんて、あり得ないよね?

………

…え、やっぱり別れない?

君ならそう言うと思ってくれたよー。

(ぎゅー)

…でも、別れたいなんて嘘つくなんて、わたしちょっぴり傷ついちゃったよ。

これからはそんな嘘はつかない。わたしのことを一生愛し続けるって、言ってくれる?

………ん?もちろんこれも録音してるよ?

だってだって、そんな至福の愛の言葉、録音しておかないはずがないし。

これでまた、君の愛の言葉のコレクションがまた増えるね。

ねえ、ほら、早く言って?

ねえ。

ねえ。

ねえ。

ねえ。

ねえ。

ほら、早く、ね?」

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