214 クラスの委員長を家に招待。二人で勉強していたが僕のとある秘密がバレてしまって…
「ねえ、今日の放課後、君の家に行ってもいい?
そこで数学のわからないところ、色々教えて欲しいなー、なんて」
「(スタスタスタスタ)
………へー、そうなんだ。
あの人ってそういう趣味があるんだ、意外だったな。
………それもそうだね。
その人にどんな趣味があるのかなんて、案外外側からはわからないものだよね。
…ん、ああ、もう少しなんだ、君の家。
でもなんかごめんね?
私が急に無理言って、押し掛けるみたいになっちゃってさ。
彼女でも何でもないただのクラス委員長が家を行くのとか、迷惑だったよね。
………
…ありがとう。そう言ってくれて。
でも、本当に迷惑だったらここで帰るのでも全然平気だからね?
急に押しかけていくよりも、準備万全の方がいいってこともあるだろうし。
…そう?それじゃあ遠慮なく。
………君の家、楽しみだなー。
(…カシャッ)
………あれ?今何か音した?
…そう?ふーん。
じゃあ気のせいだったのかな?
………あ、そこの家なんだ。
それじゃあ君の家に、レッツゴー!」
「(ガチャッ)
…へぇーここが君の部屋なんだ。
思ったよりも片付いてるね。
………ん?ああ、そっか。
そのためにさっき私、部屋の前でちょっと待ってたんだもんね。
…全然気にしてないよ。
今日無理に来たのは私のほうなんだし、散らかってるのを片付けるくらいの時間なんて、普通に待てたから。
…でも、こんなにきれいなんだったら、普段から結構きれいにしてるんじゃないの?
友達にすっごくズボラな子がいるんだけど、その子の家に行った時なんか、足の踏み場もなかったもん。
こんなにすぐきれいにできるってことは、普段からきちんと片付けてる証拠だって。
………あ、飲み物ね。
別にそんなに気を遣わなくてもいいのに。
………うん。それじゃあ部屋の中でちょっと待ってる。
………
…あはは。さすがにそんなことしないってば。
………
本当本当。
君がいない間に何かするなんてこと、するわけないじゃない」
「(ガチャッ)
…あっ、おかえりー。
………うんうん。お茶でも何でも全然オッケー。
…あ、クッキーもある。
本当ごめんねー。急に来たのに色々お世話かけちゃって。
………えっ?
もうやだなー。
君がいない間はずっとじっとしてたよ。
私、そんなに何かイタズラするように見えるかな。
だとしたらちょっと傷つくな………
………噓嘘。傷ついてないから大丈夫だよ。
それよりこのクッキー、食べても大丈夫なの?
高級なクッキーみたいだけど、勝手に食べて怒られたりしない?
…そう、それじゃあ遠慮なく、いただきます。
(パク)
うわー、美味しい。
これ、デパートにある結構高い奴だよね。
前に従姉がお土産にくれたんだけど、その時もかなり美味しかったんだ。
(パク)
………あ、そのベッドのとこの目覚まし、私があげたやつだよね?
ちゃんと使ってくれてるんだ。嬉しい。
あの目覚ましって結構爆音のやつだけど、うるさすぎないかな?
………だからちゃんと起きられてるんだ。それならプレゼントした甲斐があったものだよ。
…でも本当ありがとう。
普通クラスメイトの女子からのプレゼントなんて、よほどいいものじゃない限り使わないだろうに、ちゃんと使ってくれて。
君は本当に優しいよね。
(…カシャッ)
………?あれ、今何か…?
…ううん。ごめん。気のせいだったみたい。
それよりほら、早く勉強やろ?」
「………えーっと、それでこの式は…
うーん………
あっ、ねえ。電卓ある?
ここの計算、素でやるの面倒だからさ。
(ガサゴソ)
(ペラッ)
………ん?
ねえ、今何か落ちたよ?
…あれ?この写真って………私?
………
どうしたの?そんな急に慌てて?
クラスメイトなんだから、写真の1枚くらい持ってても不思議でも何でもないじゃない。
もう、君ってば不思議だなー。
―――そ・れ・と・も。
君がそんなに慌ててるのは、ベッドの下にある写真を見られたくないからなのかな?
………えー、そこでごまかすの?
だって、ほら………
(ガサゴソ)
ここにちゃーんと、その写真があるじゃない。
(バサバサッ)
ここにある写真、ぜーんぶ私が映ってるよね。
…これは、私はお昼食べてる写真。
…こっちは、授業中に居眠りしてる写真。
…それでこれは…あはは、寝癖が付いてる顔の写真だ。
遠くから撮ったような見るからに盗撮っぽい写真。
これとか、全然ピントが合ってないし。
さすがにこんなにボケてる写真だとちょっとだけ嫌だな…。
………え?ううん、全然引いてないよ。
まあ、そりゃあ、全然知らない人にこんなことされてたら気持ち悪いって思うけどさ。
君にだったら、こういうことされてもいいかなって。
………どういうことって、それは、その………
………き、だから。
………
ああ、もう。君のことが好きって言ったの!
好きな人に見てもらえるなんて、光栄なことじゃないかな?
………うん、だからさっきも言ったように、全然引いてないよ。
…っていうか、君がこういうことしてるの、前から知ってたし。
君が盗撮し始めたのって、たしか1カ月前くらい前からだよね。
最初はこそこそと。
段々慣れてきたら、どんどん写真撮っていって。
ここの写真だけでもそうだけど、でもこの何倍、ううん、何百枚もデータには残ってるんだよね?
そのデータを見ながら、毎晩毎晩君は私のことを想い続けてくれている………
それって結構、幸せなことだと思うな。
………え?なんでそのこと知ってるかって?
それはもちろん………
―――私も、君を盗撮してるからだよ。
っていっても私は写真じゃなくて、ビデオカメラと盗聴器だけどね。
(ヒョイッ)
…ほらこれ、私があげた目覚まし。
この中に、カメラと盗聴器が仕込んであるんだ。
それに君の鞄にも、こっそりと盗聴器がつけてあるんだよ?
それとそれと、君のスマホには位置情報がわかるアプリを入れてたりして。
君の行動は全部全部、知ってるから。
………好きな人のことは全部見て見たい。
好きな人だからこそ、全てを知りたい。
私達って、そういうところで気が合うみたいだね。
………ん?どうしたの?急に固まっちゃって。
私達、同じことを考えてる同士だってことが分かったんだよ?
そりゃあすぐに恋人とか付き合うってなるのは、急すぎて無理だろうけど。
同じ趣味を持つ者同士、これからも仲良くしていこうね?」




