213 命を狙う者と狙われる同業者。彼女は絶対に自らの手で彼の命を奪いたい
「(スタスタスタスタ)
(スタスタスタスタ)
(スタスタスタスタ)
(…フラッ)
…きゃっ。
(トテン)
………いたた。
(………)
…あ、どうも、すみません。
なんか急にふらっと…
(グサッ)
―――なーんてね。
(バタン)
………うん、××せたね。
…あなた、いろんなところから相当恨み買ってたみたいね。
よく知らないけど、こんな私のところに大枚はたいて仕事が来るんだもん。
どんなすごい人なのかと思ったら、こんな安直な手に引っかかるなんて、間抜けな人ね。
今度からはちゃんと、善行を働いて暮らした方がいいと思うよ。
………って、どうせもう聞こえてないだろうけど。
いやー、しかし、こんな簡単な仕事であんな大金もらえるなんて、ラッキーラッキー。
これで当分遊んで暮らせ………
(スタッ)
………え?なんで立てるの?
確かにナイフで心臓を…
(………)
防刃チョッキ…
何なのあなた?
こんな街中歩いてる時にそんなの着てるなんて、相当偉い奴か、それとも…
(………)
………ふうん。
あなたも私と同業なんだ。
でも同業のくせに同業から命狙われるとか、相当ね。
…ま、いいわ。
今回は××せなかったけど、次は必ず成功させるから。
覚悟しておきなさい。
同業さん」
「(ガチャッ)
(ガタンッ)
………ふふっ。
これであの人はこの密室の中。
扉はこの1つだけ。
窓もない。通気口もない。ネズミ一匹通る道さえない密室。
このままでももちろん餓死するんだろうけど、そんな甘いやり方なんてすると思う?
………後は遠隔操作で、中に仕掛けた爆弾を起動すれば………ドカン!
…それじゃあ、早速起動起動っと。
(シュッシュッ、タッタッ)
(………ドカン!)
…うんうん、派手にぶっ飛んだ。
部屋を吹き飛ばすくらいの爆発。
その中で、あの人が生きてるはず………
(………)
………は?
あなた、どうして………?
(………)
…なっ!?
爆弾を解体したの?あの短時間で?
それで爆弾の一部だけを爆発させて、部屋の壁だけを壊したとか、本当になんなのあなたは?
………ふんっ。
今日のところは失敗のようね。
でも次こそは、きちんと××してあげるんだから。
またね。
(タッタッタッ)
―――
―――
―――
何なの、何なの。本当に何なの?
この間の毒はダメ、その前の溺死もダメ。
のらりくらりとかわし続けて××されてないあの人。
こんなに××せない人なんて、あの人が初めて。
………
あの人は絶対に私が××してみせる」
「(パン、パン、パン、パン)
………ん、弾切れだ。
次の銃、次の銃っと。
それにしても、こんな遮蔽物のない広場でどうやって私の弾を避けてるのよ、あの人。
まるで私のいる位置を読んでるみたい。
こっちは毎回毎回別の場所から撃っているっていうのに、どうして一発も当たらないの?
これじゃあ、持ってきた銃が底を………
(ゴゴゴゴゴゴゴ)
何?地震?
急に地面が揺れて………
(………)
…ふう、おさまったみたいね。
それじゃああの人を………
…あれ?あの人は?
あ、いた。
って、穴に落ちそうになってる。
さっきの地震で開いたのかしら?
でも、落ちそうになってる今だったら…
………
………
………
………ふんっ。
(スタスタスタスタ)
ねえ、あなた。なんでそんな穴に落ちそうになってるの?
あなたを××すのはこの私。
だから………
(ガシッ)
そんな穴に落ちて終わりなんて結末、許してあげない。
(………)
………いいから、じっとしててよ。
持ち上げづらいんだから。
…よいしょっと。
………ふう。
それじゃあ、ゲーム再開と行きましょうか?
(パンッ)」
「(ターゲットは目の前…)
(大丈夫、あちらはまだこっちには気づいていない…)
(気づかれないように近付いて…)
(…ゴキッ)
(ドサッ)
………ふふっ、あっけなかったわね。
こんなに簡単に、やられちゃうなんて。
背後にいる私にも気づかないこんな人なんて、絶対に………
(………)
………ああ、いたのねあなた。
私に気付かれずにここまで近づくなんて、さすがのあなたね。
………こいつ?
こいつはね、あなたを狙ってた人。
ここの隠れ家にこっそり忍び込んで、あなたを××すチャンスをうかがってたみたい。
………え、どうして××したかって?
何?言わないとわからないの?
どうしてあなたは、仕事の方は一流なのに、心の機微には疎いのかな………
そんなの決まってるじゃない。
あなたを××すのは、私だから。
他の人になんて、あなたを××させない。
それだけよ。
…それじゃあまた今度、あなたを××しに来るから。
ばいばい。
(ガシャーン!)」
「………
…今度は火を………
いや、生き埋めの方が………
………
(―――♪)
………情報屋?
何かしら?あっちの方から連絡して来るなんて、雪か槍でも降ってきて………
(―――)
(―――)
(―――)
(ガタンッ)
(タッタッタッタッ)
(ガチャッ)
(バタン)」
「(パンパンパンパン)
(パンパンパンパン)
(ダダダダダダダッ)
………
…へえ。
あの人を町の中心に追い込んで、全方位からの隙のない射撃攻撃。
東西南北ぐるりとした包囲網で、逃げる道はどこにもないってわけね。
(………)
ごめんなさい、驚かせちゃった?
大丈夫大丈夫、私もあなたの同業者で、あの人を狙っているうちの1人だから。
それにしても、あの人をこんなところに追い詰めるなんて、ブレーンは相当優秀なようね。
…へえ、あなたがブレーンなんだ。
………ところでこれ。何人くらいであの人を狙ってるの?
見えるだけでも数十人はくだらないようだけど?
………ふうん。三桁越えてるんだ。
ふふっ。たった一人の人間を狙うだけなのに、ずいぶんと大所帯ね。
それだけの人数、揃えるだけも大変だったんじゃない?
………まあもっとも。
(グサッ)
(バタン)
今ここで一人、減っちゃうんだけどね。
(パン、パン)
………って、あーあ。
もう気付かれちゃったか。
バレない内にあと何人かは、やれると思ったんだけどな。
…でーも。
たかだか数人に撃たれたくらいで、私がやられると思ったら大間違いよ。
(グサッ)
(グサッ)
(パン、パン、パン、パン)
(パン、パン、パン、パン)
(…ゴキッ)
(…ゴキッ)
………ふう。まるで歯ごたえのない連中ね。
予定外の行動だろうとはいえ、たった一人の反乱分子を抑制できないなんて。
…まあ、だからこそ、こんな人達にあの人を××させるわけにはいかない。
こんな数の暴力みたいな卑怯な方法じゃなくて、正々堂々真正面から裏をかいてあの人を××して××して××す。
そのために、こんな連中はさっさと、退場させないとね。
(………)
あの人を××すのはこの私。
他の人達に××させるなんてさせやしない。
今日はこうしてあの人を敵を排除していくけど、今度会った時は必ず………
(パン)
私の手で、××してあげるからね?」