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208/268

208 夫婦の寝室。一緒のベッドにいる妻は今夜もなかなか寝かせてくれない。

「(ブォ―――――ン)

(ガチャッ)

…あら?あなたもうお風呂あがったの?

ずいぶんと早いわね。

ちゃんと全身キレイに洗ってるの?

…ええ、私は見ての通り髪を乾かしているところ。

あなたがお風呂に入ってる間ずっとドライヤーかけてたのだけれど、これがなかなか乾かなくって。

長い髪ってこういう時不便よねぇ。

(カチ)

………うん。まだ完全に乾いてないけど、大体乾いたからいいかなって。

あんまりドライヤー使ってると、電気代もったいないからね。

それで、もうあなたは寝室行く?

………そう、わかった。

私もすぐに行くわ。

………今夜も、ベッドでするからね」




「(ガチャッ)

(…もぞもぞ)

………ふふっ。

やっぱり大きいベッドっていいわよねー。

二人大の字に寝ても余裕で余るんだもん。

ちょっと高かったけど、寝具にいる時間は人生の3分の1を占めるんだし、買ってよかったわ。

………それじゃあ、今夜も始めましょうか。

あ・な・た」




「…いやだからね、私はあなたのそういうあいまいな態度が悪いって言ってるの。

はっきり断らないで返事を先延ばしにするから、相手も期待しちゃうんじゃない。

今度からはちゃんと、はっきりノーって言わないとダメよ。

…ふう、これで午前の営業はいいとして、次はランチのお店ね。

あなた、お店の女性店員と何回も話してたわよね。

妻の私以外話すのなんて、浮気よ浮気。

………注文だからって、メニューに指差しすれば済む話じゃない。

わざわざ店員に話しかける必要なんてある?

あの店員の子も店員の子で、あなたに笑顔向けていたみたいだし、これのどこが浮気じゃないっていうのよ。

………私だけを愛してるとか、その言い訳は散々聞き飽きたわ。

愛してるからこそ、あなたのあのお店での行動は浮気だって言ってるの。

もう二度とあのお店にはいかないで。

というか、お昼はお店でご飯は食べないで。

いい?わかった?

そして午後は…ああ、経理の人とのやり取りね。

あれ、なんだったのよ。

あなた、経理とは何の関係もない部署でしょう。

なのにわざわざ呼び出しを受けるとか、あの受付の子があなたのことを狙ってるに決まってるわ。

………領収書のミス?

…はあ。つまりあんたのミスじゃない。

あなたのミスのせいで、あなたがあの子に狙われてるってわけでしょ。

なんでそんなミスしてるのよ。

あなたはいつも終わった後に確認しないからそんなミスしちゃうのよ。

前だって、忘年会で財布を忘れて届けに来た………

………え、もう眠い?

誰のおかげでこんなことしてると思ってるのよ。

あなたが疑わしい行動ばかりするのが悪いんじゃない。

私はあなたのことを愛しているわ。

あなただって、私のことを愛していると思う。

でも、そんな相思相愛だからこそ、浮気に見える疑わしい行動は見過ごせないの。

いくらあなたと同じ会社だからって、全てがすべての行動を見られるわけじゃない。

だから、寝る前のこの時間で、納得するまで話し合おうとしてるの。

あなたが愛してくれてるって信じたいの。

あなたが浮気してないって信じたいの。

だから、私が納得するまできちんと説明してね。

今夜も寝かせてあげないんだから。

覚悟しておきなさい。あ・な・た」

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