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200 家出中のギャルを家に泊めてあげたらお礼にその身体を差し出してきて…

「(スタスタスタスタ)

(…チョンチョン)

ねえお兄さん、ちょっといい?

あたしさ、今日泊まるとこないんだよねー。

だからさお兄さん、ホテル代かネカフェ代、貸してくんない?

もちろん、たっぷりお礼はしてあげるから、ね?

………家に帰れ?

お兄さん真面目系かよ。

家に帰りたくないからこんなこと言ってんじゃん。

つか家出中っつーか、親の方から『もう帰ってくんなー』って言われて出てきたんだよね。

………そりゃ学校も行ってないよー。

退学とかしたわけじゃないけど、長いとこ行ってないと友達からはハブられてるし。

だーかーらー、今晩の宿にも困ってるってわけ。

ほらほら、うら若き乙女を助けると思ってさ。

さっきも言ったけど、ちゃーんとお礼はしてあげるからさ。

………え、お兄さん家?

あー、あんま手持ち持ってないんだ。

お兄さんがいいならそれでいいよ。

あたしとしては、屋根があればどこでもいいし。

お兄さん家すぐ近くなの?

じゃ、レッツラゴー!」




「(ガチャッ)

………へー、ここがお兄さん家かー。

こんな今にも潰れそうなとこに住んでるんだね。ウケるんだけど。

さっきお金持ってないって言ってたし、こんなに夜遅く帰ってくるくらいくたくたになるまで働いてて、しかもこんなところに住んでるなんて、お兄さんの働いてるとこ、相当ブラックなんじゃないの?

…んー、別にー?

あたしとしては、屋根があればそれで十分だし。

…それで、お兄さん先にシャワー浴びる?

お兄さん、相当疲れた顔してるし、先にシャワーでさっぱりした方がいいんじゃない?

…そ、いってらっしゃーい。

あたしも後で借りるね」




「(シャーシャーシャーシャー)

(シャーシャーシャーシャー)

(シャーシャーシャーシャー)

(………キュッ)

…ふう、さっぱりさっぱり。

………んー、どうしようっかなー。

お兄さんたぶん、こういうの初めてっぽいしな。

………そーだ。

バスタオル一枚で出てって、お兄さんの恥ずかしがる顔見ちゃおーっと。

それで主導権握って、今晩はあたしがちゃんとリードしてあげないとね。

(ガチャッ)

お兄さーん。お風呂あがっ………

って、え?

(………zzz)

(………zzz)

(………zzz)

おーい。おーい。お兄さーん。

って、マジで寝てるし。

いや確かに、結構疲れた顔してたけどさー。

おいおーい。お兄さん、お兄さーん………」




「(チュンチュン)

…ねーねーお兄さん。

なんで昨日、勝手に一人で寝ちゃうの?

あたし言ったよね。お礼するからって。

………違う!

確かにこの朝食、コンビニで買ってきてあげたけどさ。そういうんじゃなくて、

あたしみたいな女の子がお兄さん家に泊まるんだよ?

そのお礼って言ったら、エッチなことに決まってんじゃん。

………

…うわー、何その『何言ってんだお前』みたいな表情。

それはこっちのセリフだっつーの。

………いや、そりゃあ、ただで泊めてくれるっていうならそれに越したことはないけど。

けど世の中ギブアンドテイクじゃん。

なのにテイクしなくていいとか、調子狂うんですけど。

………ん?うん。そりゃあやってるよ。

何日も家に帰ってないって言ったじゃん。

お金もなしにホテル代もらうっていうなら、それこそ………

………

…えー、もうそういうことはやめろとか、お兄さん真面目系?

はいはい、わかりましたわかりました。

もうしませんよー」




「(スタスタスタスタ)

(スタスタスタスタ)

(スタスタスタスタ)

(………ピタ)

………うん、そうそうそうそう。

今日泊まるとこなくてさー。

オジサンにー、ホテル出して欲しいなー、なーんて。

………えっ。いいの!

やったやった!

それじゃホテル行こ?オジサン♪

………って、あ。お兄さん。

(ガシ)

え?え?

ちょっとちょっとお兄さん。

腕掴んで、ど、どこに…」




「………ねえ、お兄さん、どういうつもり?

またあたしをこの家に連れ込んでさ。

何?こないだは何にも知らないでやらなかったから、今度こそっていう………

はあ?

またただで泊めてくれるって、何?

そりゃ、ただに越したことはないけど、でもさっきみたいの、あたしこれまで何回もやってるんだからさ。

今更どうこうっていうのはもうないの。

前に言わなかったっけ?ギブアンドテイクだって。

あたしはお兄さんとかオジサンにお金を出してもらう。

その代わりあたしはあたしで払えるものを払う。

トーカコーカン。

この世の中の常識でしょ?

………出世払いって。

それ、本当にあたしの顔見て言ってる?

この顔、どーみても頭悪そうなギャルじゃん。

実際全然勉強なんかできないし、行ってた学校だって、名前書けば入れるようなところだし。

つかそんな学校でさえ、落ちこぼれなんだし。

そんなあたしにあるのは、この体くらいしか…

………

…なんでお兄さん、そんな真面目な顔してセーロン言える?

『努力すれば何でも叶う』とか、そんなの絶対ムリじゃん…

お兄さんだって、色々努力してダメだったから、こんなところに住んでてちょっとヤバイ会社で働いてるんでしょ?

………『努力しなかったら、後悔してる』………?

…うーわ、なにそれ。

完全にはんめんきょーしじゃん。

………

そんなんだから、お兄さん真面目系なのに落ちぶれちゃってるんだって…

………

………

………

………でも。

…でもでも、そんな真面目系のお兄さんがそこまでいうなら。

ちょっとくらい、がんばってみようかな?」




「(スタスタスタスタスタ)

(…チョンチョン)

…ねえ、お兄さん、ちょっといい?

お兄さん、今日泊まるとこあるの?

………そう。

じゃあさ、あたしん家来ない?

もちろん、ただで泊めてあげるから、さ」




「(ウィーン、ガチャ)

(スー)

さ、さ、お兄さん入って入って。

………あー、えっと、4LLLDDK?5LLDDDK?

あれ、どっちだったっけ?

まあどっちでもいいや。とにかくめっちゃ広いところだよ。

お兄さんが住んでたアパートの、5倍くらいはあるんじゃない?

今窓開けるねー。

(シャー)

…あー、うん。40階だと、遠くまで見えるよねー。

でもここ、会社からすっごく遠いからヤなんだよ。

………ほら、見て見て。

あそこに立ってるビルが、あたしの会社。

や、車で30分もかかるなら、もっと近いところでいいと思うんだけど、大企業の社長ともなると住むところもなんたらかんたらって、ジョームの人がうるさくてさー。

…それでお兄さん、何か飲む―?

ジュースにお茶にワインにお酒、たいていのものは何でも揃ってるけど?

………お茶でいいとか、お兄さん相変わらず真面目系だなー。

まああたしも、お酒とはあんまり好きじゃないんだけどねー。

………

………うん、うん。

お兄さんが泊めてくれた日から、ちょっとは頑張ってみようって思ってさ、そしたらあたし、意外と勉強できるじゃんってことがわかってさ。

なんかこう、一度見たら忘れられないってやつ?

教科書とかパラパラ―ってめくっただけで、すぐに記憶できて、成績もよくなっていって。

とりま勉強するだけ勉強してたら、「あれ、こういうのあったら便利じゃね?」って思ったもの作ったら、なんかとんとん拍子で社長になっちゃって。

今や大金持ちの仲間入り―、みたいな。そんな感じ。

そういうお兄さんは………って、まあ白々しいかな。

会社の方が順調になっていって、お兄さんにお礼がしたくってあたし、お兄さんの家行ったんだ。

…だけどもう、そこにはあのボロい家ごとなくなってて。

それから、伝手を辿ってお兄さんのこと調べたんだ。

お兄さんの働いてた会社、潰れたんだってね。

っていうか、あたしの会社の同業者っていうか、あたしの会社ができたらか潰れたみたいなもんっていうか。

………ごめんね。

………

…ははっ。「謝るな」とか、ほーんとお兄さん真面目系。

………で、働く会社がなくなったお兄さんは、次の会社も見つからず、お金もなくなって、河川敷を渡り歩く毎日。

………見つけるのに、結構時間かかっちゃったよ。

だから言ったじゃん、お礼がしたいってさ。

今のあたしだったら、お兄さんの欲しいもの、何でもあげられるよ?

あたしがここまで登ってこられたのは、お兄さんのあの言葉があったおかげ。

お兄さんがいなかったら、今のあたしはなかった。

だから、お兄さんにはお礼を受け取るケンリとギムがあるの。

お兄さんあの時言ったのよね?出世払いだってさ。

こーんなにも出世したあたしから、お礼を受け取らないなんてこと、お兄さんはしないよね?

だってお兄さんは、真面目系なんだから。

…それじゃあお兄さん、シャワー浴びてさっぱりしてきなよ。

何日も外で生活してたんなら、シャワーも恋しいよね?

………んー?まあお礼って言うか、お礼の一環ていうか…

とりあえずは手付ってやつ。

これから徹底的に、お兄さんにはあたしのお礼を受け取ってもらうから。

(スルッ…パサッ)

お礼をすべてちゃんと受け取るまで、絶対に逃がさないからね。お兄さん」

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