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180 神社でバイトしているギャル巫女は儚い想いを叶えるためにお金を稼ぎ続ける

「(チャリン…)

(ガラガラ)

(パンッ、パンッ)

………」




「………次の人どうぞ―。

…って、あー!

オタクくんじゃん!

こんなところで何してんのー?

あーし?

あーしは見ての通りバイト。

この巫女服見れば一目でわかるっしょ。

この服着てお守りとか売ってんの。

最近金マジヤバくてさー、短期間だけどここで働いてんの。

…で?そういうそっちは?

………あー、はいはいおみくじね。

じゃあまずこれ振ってねー。

(シャカシャカ)

………10番ね。ちょい待ち。

10番、10番っと…これか。

…はいっ。どーぞ。

どうどう?大吉だった?

………凶。

凶だって、あははっ!

ついてないねー、オタクくん。

何ならもっかい引いとく?

今度はもっといいやつ出るかもよー?

………まっ、そうだよねー。何回も引いてちゃ意味ないよね。そりゃそうだ。

………うん、うん。うんうん。

それじゃオタクくん、また学校でねー。

ばいびー。

………

………

………

………えへへっ。

オタクくんと話しちゃった。

まさかこんなところでオタクくんと会えるなんて、思ってもなかったなー。

ここにいればまた来てくれるかな、オタクくん」




「………あっ、オタクくんじゃーん。

また来てくれたんだー、嬉しい!

………え、ああうん。

もうちっとここで働くことにしたんだ。

思ってたよりもこの巫女服可愛くてさー、

気にいっちゃった感じ?

………

…えへへっ。

もうオタクくん、そんなかわいいなんてほめんなってー。

あーし照れちゃうじゃん。

………ん、ああ。お守り買いに来たんだ。

………

…へー、家族のためとか家族思いかよー、このこの―。

………はいっ。じゃあどうぞ。

弟くんによろしくー。

ばいばーい。

………

………

………

………オタクくん。また来てくれた。

学校じゃあんま話せないけど、ここなら結構喋れたな。

………でも、こんなところで偶然オタクくんに会って、しかも話せるなんて。

やっぱ、アレのおかげっしょ」






「………ふう。今日のはちとつかれたなー。

ふわあ…あ。

…とと。片付け片付け。

………って!おおおおわっ!

お、オタクくん!?いつからそこに!?

…え、マジ?何回も呼んでたんだ。

めんごめんご、あーし、ちょーっと聞いてない感じだったわ。

…んー?今は掃除と片付け。

ここの境内けっこー広いから、掃除も大変なんだよねー。

………あー、学校?

そういや最近あんま行ってなかったなー。

…え、なになに?

もしかしてそれで心配してくれた系?

いやまあ、そんなんじゃないのはわかって………

………え、マジ?

まじで心配してくれた系なの?

うわ、オタクくん優しいじゃーん!

そんなことで心配して来るとか、オタクくんイケメンかよ。

―――マジで惚れんじゃん。

…あっ、ううん、何でもないよー、こっちの話こっちの話。

大丈夫大丈夫。

あーし、こんなに元気だし。

学校行ってなかったのも、ちょっと乗り気じゃなかっただけだからさ。

………でも心配してくれてあんがと。

…うんうん。今度は学校ちゃんと行くって。

それじゃねー!

………

………

………

………えへへっ。えへへっ。

オタクくん、心配してくれたんだ。

ここに来てから、すっごくすっごくいいことばっか起こるし。

マジのマジでアレのおかげじゃん。

もっともっともっと、頑張って働かなくっちゃ」




「………はいっ。じゃあ次の方―。

…あー、オタクくんだー!

今日もあーしに会いに来てくれたんだー、嬉しいっ!

………え?

ああうん、最近学校全然行ってないなー。

いやいや、最近マジで忙しい感じでさー。

学校なんか行ってる暇ないって感じで。

………ん?

これだよこれ、ここで働いてるから忙しいの。

朝から夜までいろんなことして働いてるんだー。

つかオタクくんだって知ってるでしょ?

オタクくん、何回もあーしに会いに来てくれてんだしさ。

………洋服?バッグ?

なにそれ?別にそんなの全然欲しくないよ?

………遊ぶお金?

ううん。忙しく遊ぶ暇なんてないって感じ。

………何のためのお金かって、そりゃあ…

神様にお祈りするためじゃん。

ここの神様ってマジパないんだよ。

あーしがちょーとお願いしたら、たちまちそのお願叶えてくれてさ。

しかもお布施するたびお布施するたび、もっともーっと願い叶えてくれたんだよ。

神様マジパネェわー。

………うん。そうだよ。

稼いだお金は全部神様に供えてるんだ。

だって、神様にはもっともっとあーしの願い叶えてもらわないとね。

………いやいや、お供えしたからあーしの願いを叶えてくれたんだって。

そうじゃなきゃ、こーしてオタクくんと話してるの説明付かないし。

………あ、めんごめんご、今のなし今のなし。

まじ忘れろし。

………いやいや、マジで学校とかどーでもいいし。

つか、今日からここで住み込みで働くから、マジで学校行ってる暇なんかねーし。

………うん。ここで一番えらい人に何度も何度もお願いしたらオッケーだって。

神様のそばで働けるとかマジやべーわー。

…あ、もちろんさぼりなんかしないけどね。

だって、そんなことしたら…

恋が叶いますようにって願いを、叶えてくれなくなっちゃうかもしんないしね」




「(バサバサバサッ)

(ガラガラ)

(パンッ、パンッ)

………

………

………

これからももっともっと、オタクくんと仲良くなれますように」

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