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174 料理が得意なしっかりものの専業主婦は、冷蔵庫の食材でいつも美味しい料理を彼に作っている

「(ガチャッ)

…ただいまー。

あなたー、今帰ったわよー。

(バタッ)

ただいま、あなた。

…今日ね、隣町のスーパーまで行っちゃった。

セールでお肉が安かったからなんだけど、時間間違えちゃってて結局買えなかったのよね。

でもあそこのお店品揃え多いし、せっかくだから普段買わないようなものたくさん買ってきちゃった。

…パプリカでしょう。

強力粉でしょう。

シーザードレッシングでしょう。

スパイスでしょう。

オイルサーディンでしょう。

キムチでしょう。

明太子でしょう。

ほんと、いろいろ買ってきちゃった。

…ちょっと横失礼するわね。

………ふう、何とか入ったわね。

冷蔵庫、もっと大きいの買おうかしら?

下も結構ぎゅうぎゅうだし、これ以上買い足したら中に入らなさそうね。

あなたはどう思う?

………もう、我関せずって顔しちゃって。

あなたのためにも言ってるんですからね。

まあいいわ。

それよりも、今日の夕飯早く作らなくっちゃ」




「(トントントントン)

(トントントントン)

………えーと、後入れるのは…

そうだベーコン。ベーコン入れなくちゃ始まらないわよね。

(バタッ)

あなた、失礼。

ベーコンベーコンっと。

…あったあった。

奥の方にしまってあると、探すのも一苦労ね。

でも昔から、こういう整理整頓は苦手なのよ。

そうやって、あなたから何回も怒られたっけ。

…でも、最近はお部屋の方はちゃんときれいにしてるつもりよ?

あなたの家であり、私の家。

私達の家をきれいにするのは当然のことよね。

まあ、冷蔵庫はちょっとぎゅうぎゅうなんだけどね。

…もうちょっと待っててね。

夕飯までもう少しだから」




「(バタッ)

はーい、できたわよ、あなた。

今日はあなたの大好きなスパゲッティよ。

あなた、これ好きだったものね。

私の作るこればかり食べたい食べたいって、子供のように言ってたの覚えてるわ。

あなたは昔から変わらないわよね。

…それじゃあ、いただきます。

………うーん。

自分で食べてみても、普通の平凡な味だと思うんだけど、どこがそんなに好きだったのかしらね。

それとも、私が作ってるから美味しいのかしら?

なんてね。

…でも、あなたは私の作った料理は何でも褒めてくれてた。

何を出しても美味しい美味しいって、本当に美味しそうな顔をして食べてくれた。

そんな顔をするあなたのこと、見ていていつまでも飽きなかったわ。

…もちろん、今のあなたもあなたで大好きなんだけどね。

ほーら、早く食べちゃってね。

………あっそうそう。今日私達の結婚記念日じゃない?

それでお祝いにって、さっきケーキ買ってきたの。

今あなたの隣にあるケーキ、夕飯の後で一緒に食べましょうね?」




「(ザー、ザー)

(キュッキュッ)

(カチャッ)

………ふう、洗い物終わりっと。

…あら、もうこんな時間。

あのドラマ、今日が最終回だったわね。

始まる前にお風呂入っておかないと。

(ピンポーン)

………ん、誰かしら。

…はーい。

―――

―――

―――

(ガチャッ)

(バタッ)

ねえねえ見て見てあなた。

田舎の方からお歳暮届いたの。

こーんなに大きなハムと、フルーツと、鯛が一匹。

…もう、こんなに食べきれないのに。本当気が利くのか利かないんだか………

でも、どうしようかしら。

ハムは冷蔵だし、ブドウとかも常温じゃまずいし、鯛は氷が溶けちゃうし………

冷蔵庫も…やっぱり入りきらないわよね。

やっぱり、もうちょっと大きい冷蔵庫の方がいいわよね。

あなたがいて、それでいて食材も入れておこうって言うんじゃ、この冷蔵庫じゃ小さすぎるもの。

いっそのこと、業務用タイプのものを買ってもいいかもね。

そのくらいあれば、あなたも食材も全部が全部、余裕で入るだろうし。

でも、今日は今日とて冷蔵庫のは入らない。

あなたをここから出すわけにもいかないし………

………そうだ。

確かこの間もらったお酒があったはずだわ。

お酒のあてにハムもブドウも食べちゃいましょう。

あなたも飲むわよね、あのお酒。

昔から、あのお酒大好きだったものよね。

その代わり、ハムやブドウは私が全部食べちゃおうかしら。

ふふっ。

………おっと、いけないいけない。

ドラマ、始まってしまうわ。

それじゃお風呂から上がったら、一緒にお酒飲みましょうね、あなた。

(バタッ)」

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