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160 地下奥深くに住むダウナー眠り姫が伝説の剣が欲しい勇者に無理難題を突き付ける理由とは…


「………zzz

………zzz

………zzz

………

…んー?

こんなに気持ちよく寝てた私を起こすのはだーれー?

………

…勇者?

………へー、魔王を倒す旅にねぇ。

それはたいへんだーたいへんだー。

それでこんな地下の地下の地下のそのまたの地下のこんなところまで。

ご苦労様だねぇ。

それで?

なんで私のところに?

………

…ああ、伝説の聖剣、エクスカリバー。

んー、まあ確かに私が持ってるけど、それが?

………

…ん、んー?

えー、それはちょっと、ムシが良すぎなーい?

自分の住処ですやすや眠ってたところを叩き起こされて、それでいきなり聖剣をくださいって言われて、はいそうですかって渡すと思う?

………別に―?

私は世界の平和とかどうでもいいし。

地上の上で魔王がはびこってたって、こんな地下の地下の地下のそのまた地下のこんなところまで、眠るのを邪魔しには来ないだろうし。

………

…どうしても欲しいの―?

うーん、そうだなー…

じゃあ、お水ちょうだい?

起きたばっかで喉乾いちゃった。

………違う違う。

そんなそこらの村の井戸で汲んできた水じゃなくてさ。

…うーん。そうそう。

スノーブリザードシーサイドで採れる水持ってきて。

あそこの水って、温度がマイナス以下の地域なのに、なぜか水が凍らないんだよね。

そこの水、持ってきて。

………えー、いくら極寒のところだって、勇者くらいならそのくらいよゆーでしょー?

いいから早く、持ってきてよ」




「………zzz

………zzz

………

…あ、勇者だ。

この間言ったの、ちゃんと持ってきてくれた?

………ふーん、見た目は普通の水と変わんないんだね。

それじゃあもらおっかなー。

(ゴクゴクゴク)

………ああ、これこれ。

水なのにちょっぴり甘くて、それでいて塩気がある感じまさに、あそこの水じゃん。

いやー、前に飲んだことあるんだけど、やっぱり水はあそこのが一番おいしい。

………ん。どうしたの?

…ああ、エクスカリバーね、エクスカリバー。

うーん…

いくら古い剣だって言っても、一応聖剣は聖剣なんだよね。

そんな聖剣をただであげるっていうのもね…

………お金?

いやいや、こーんな地下の地下の地下のそのまた地下のこんなところに寝てるお姫様が、地上のお金なんてもらったって使い道ないって。

だーかーらー、どうせなら宝石とかが欲しいな、私。

………えー、そんな地上の国の王様が持つ財宝とかって言われても、私にとっては石ころと変わんないし。

………そうだ。

ボルケーノファイヤーサウザントってところに埋まってる宝石持ってきてよ。

…そうそう。あそこの山のマグマの中に、自然の中で数千年かけて作られる宝石があるの。

その宝石が欲しいな。

………大丈夫だよね?勇者なんだから。

…うんうん。その宝石持ってきてくれたら、ちゃんと考えてあげる。

だから早く持ってきて。

楽しみにしてるから」




「………zzz

………

…来た来た。

いらっしゃい、勇者。

君が来るの、待ち遠しかったよ。

それでそれで、ちゃんと持ってきた?

………おおーすごいすごーい。

へえ、数千年生きてる私でも、こんな輝き見たことなーい。

色といいツヤといい、幻の宝石だー。

マグマの中にあったはずだけど、どうやって採ってきたの?

………ふんふん。

………へー。

………そうなんだー。

私のために持ってきてくれてありがとう、勇者。

………

………

………

…ん、なに?どうしたの?

………あー、うんうんうん。

もちろん忘れてないよー。

あの剣ね。

………うーん、でもあの剣ってさー。

一応、伝説の剣ってことになってるから、持ち主には資格が必要なんだよね。

………えー、本当だって。

その資格を持つ人にしか、渡しちゃいけないの。

………えっ?ああうん。

それで、その資格っていうのが、サンダーエレキテルバードの卵を持ってくること。

…うん。雲よりも高い位置を飛んでる鳥の名前。

その鳥の住処は、雲の上とかにあるんじゃなかったかな?

と・に・か・く。

その卵を持ってきた人じゃないと、この剣渡せないんだよねー。

………本当本当。

もう、疑り深いなー。

だから、その卵を持ってくるまで、聖剣は渡せないってことで。

………いってらっしゃーい。

がんばってねー。

………

………

………

………ふわぁ。

ねむねむ。

さーって、もう一度寝なおそうっと。

(ゴロン)

………

………

………

…それにしても、勇者カッコよかったなー。

いくら剣のためって言っても、地下の地下の地下のそのまた地下のこんなところまで私に会いに来てくれるなんて、もはや愛だよね。

最初のはただの嫌がらせだったけど、そんな嫌がらせにも勇者はちゃんと私の要求にこたえて持ってきてくれた。

今回で三度目。

こんな地下の地下の地下のそのまた地下のこんなところにいる私に尽くしてくれるなんて、愛以外の何物でもない。

勇者は次、いつ来てくれるかな?

この私に、愛を手に会いに来てくれるのかな?

その時までに、次何を持ってこさせるか、考えておかないと、ね。

………

………

………

…でも、伝説の聖剣が今はもはや古ぼけた剣だって知ったら、勇者困るのかな?

こんなところに何千年も置いといて古くならないはずがないのに、そんな剣で魔王が倒せるって、本気で思ってるのかな?

…魔王とはちょっと縁があるから、ちょーっとくらい手加減するように言っておこうかな。

世界が滅ばなければ、勇者は何回もここに来てくれるだろうしね。

次の勇者に会うの、楽しみだなー。

………

………zzz

………zzz

………zzz」

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