表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/282

143 愛と正義の魔法少女が犯したたった一つの過ちとは…

「(シュタッ)

出たわね。ブラックビター団。

街の皆をこんなにも傷つけて…

今日という日は許さない。

私達、正義の魔法少女があなた達を倒してみせる!」




「………ケホ、ケホ。

っち。

今日もまた逃げられちゃったわね。

ったく、あいつら逃げ足だけは速いんだから…

………さて、私もそろそろ帰らないと。

変身を解除してっと…

(~~~♪)

…ふう、いつもの姿の方がやっぱり落ち着くわ…

(ガタッ)

えっ?誰?

…あなたは確か………

………

…う、うん。そうなの。

私が、この街の平和を守っていた魔法少女なの………

…ねえ、お願い。

私が魔法少女だってことは、誰にも言わないで。

もし正体がバレっちゃら、私…

………

…そう。ありがとう。

じゃあまた明日、学校でね。

バイバイ」




「(ガラッ)

…もう、それでさー。もうホントやんなっちゃってね。

………

…あ、昨日の………

うん、おはよう。

………

…ちょちょちょ、ちょっと!

君、ちょっとこっち来て!

(ズンズンズンズン)

(ズンズンズンズン)

(ズンズンズンズン)

…ふう。ここなら誰も来ないかな………

それで君さ。

私が魔法少女だってことは秘密だって言ったじゃない!

なのにどうして教室でそのことを話そうとするのよ!

………『ついうかっり』って、もう。

ならいいけど。

でも、今度からは気を付けてよね。

本当は誰にもバレちゃいけないんだから。

君にバレちゃったのはたまたまなんだから、絶対絶対、他の人に言っちゃりしちゃだめだよ?

いくら同じクラスだからって、話していいこと悪いことがあるの。

わかった?

………

…ならよろしい」




「………くっ!

ブラックビター団め。なんていうロボットを開発してきたの…

私達の攻撃が当たらない………

どうすれば…

………あ、手からビームが。

みんな、逃げて!

(ガッシャーン!)

…君、大丈夫?小さい子を庇って………

あ!腕から血が………

………

…許さない。

覚悟しなさい!ブラックビター団!

この私を怒らせたら、ただじゃおかないんだから!」




「…なんだろう、この手紙?

………え?

『彼のことは預かった。

返してほしければ取返しに来い』

………そんな…彼が、人質に………

…ううん。うつむいてる暇なんてない。

私は、正義の魔法少女。

絶対に助け助け出してみせる!

彼に指一本でも触れたらどうなるか………

わかってるわね、ブラックビター団!」




「………ハァ、ハァ…

なんて、強さなの………

今までの相手の比じゃない…

ブラックビター団四天王幹部。

まさか、こんなに強いなんて………

………でも、何があろうと、私達は絶対にあきらめない。

…だって私達は、魔法少女なんだから!

(ボワン)

………あ、また、触手攻撃が…

………え?

(バチンッ!)

………なんで、君がここに…

私を、庇って………

………え?

『困ってる時は、お互いさま』って…

でもだからって、こんな………

………

………

………

…私の大切な人を………

………

…ブラックビター団。

あなたは、私を怒らせた。

この傷ついた思い…百倍にして返してあげるわ!」




「(ガラッ)

………ねえ、怪我はどう?

…『大丈夫』って、あちこち怪我してここに入院してるのに説得力ないよ………

………

………ごめんね。私のせいで、君がこんな目に………

…ううん。気にするって。

もし君が私の正体を知らなかったら、小さい子を庇って怪我することも、ブラックビター団に誘拐されることも、触手に当たって入院することもなかった。

…どうして、君はそんなことまでできるの?

………

…そっか、優しいんだね、君は。

人間よりもずっとずっと強い魔法少女を、こんなにも心配してくれるなんて………

…え?

………そう。

私を、魔法少女じゃなくて一人の人間って思ってくれてるんだ………

………そっか。そうなんだね。

だから私は、君のことを…

………ううん。なんでもない。

とりあえず、その怪我は早く治さなきゃだめだよ。

また、君と同じ教室で話すの、楽しみにしてるから。

…うん。そう、だね。

君と話すのは、楽しいから………

…それじゃあねっ!

(ガラガラ)

(タッタッタッタッ)」




「(タッタッタッタッ)

………はー、よかった。

思ったよりも大きな怪我じゃなくって。

まさか私を庇ってくれるなんて、夢にも思わなかったな。

………

………

………

………私が、魔法少女であること。

本当に、私の正体が彼にバレてよかったな。

「魔法少女は他の人に正体がバレてはならない」

そういうルールがあるから、変身の際はいつも気を付けていた。

でもあの日、あの時。

彼が背後にいることがわかっていながら、私は変身を解除した。

「魔法少女は他の人に正体がバレてはならない」

でもそれ以上に、彼に隠し事をしたくなかった。

本当の私を見て欲しかった。

魔法少女であることを。

そして、一人の人間であることを。

彼には、わかってほしかった。

だから私は、彼の目の前で変身を解除した。

私の大好きな男の子の前で。

好きな人相手に、秘密を抱えてるのは、よくないことだもん。

まあそれで、今回みたいな目に遭っちゃったわけだけど、でも彼は今、そんな私のことを見てくれている。

魔法少女の私を。

一人の人間である私を。

本当の本当に、正体がバレてよかった。

もし正体がバレてなかったら、ここまで仲良くなるなんてことできなかったしね。

ただのクラスメイトのまま、何の関わりも持てなかったかもしれない。

ただの片思いのまま終わってたかもね。

でも、今は違う。

これからもどんどん彼とは仲良くなれるかな?

私が魔法少女であることを知っているのは彼だけだから、色々相談したりもできるかもしれない。

私達二人は、永遠の友達でいようね?

………

………

………

………え、ブラックビター団の襲撃?

もう、性懲りもなくあいつらは………

私は愛と正義の魔法少女。

この街の平和は、魔法少女の私が守ってみせる!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ