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133 弟の彼女であるギャルが家に遊びに来たと思ったら、昔よく遊んでいた幼馴染で…

「(ピンポーン)

(ガチャ)

あ、こんにちわー。

…って、あれ?弟くんのお兄さんっすか?

弟くんいます?

………えー、いないのかよ。

今日遊びに行くって約束してたのに…

あっ、じゃあ。弟くん帰ってくるまで待っててもいいっすか?

………あたし?

あー、弟くんから聞いてないです?

あたし一応、弟くんのカノジョです。

この家にも何度か遊びに来てたんですけど、ちょうどお兄さんがいない時でしたっけ、確か。

そんなわけで、今日も家で遊ぶ約束してたんですけど…待ってもいいですよね?

…ありがとうございまーす。

じゃ、お邪魔しまーす。

………

えー、リビングなんて堅苦しいじゃないっすか。

待つだけなんですし、部屋で待ってますよ。

…あー、知ってます知ってます。

お兄さんと弟くん、おんなじ部屋なんですよね。

何回か来てるんで知ってますよー。

その部屋でいいじゃないっすか。

別にお兄さんがいても邪魔でも何でもないですし。

あー、でも勉強とかしてるんだったら…

………やっぱり、お兄さんそういうタイプじゃないですよねー。

それじゃあ部屋にレッツゴー!

………

………相変わらずキレイな部屋っすねー。

男二人だともうちょっと散らかってるイメージですけど、お兄さんは掃除してるんですか?

…やっぱり。そういうことは真面目っぽいすもん。

で、あたしが来るまで何やってたんですか?

………あ、その漫画、あたしも好きなやつです。

弟くん帰ってくるまで、借りて読んでてもいいっすか。

あざーっす。

(ペラペラ)

(ペラペラ)

(ペラペラ)

…ねえねえお兄さん。お兄さん、この漫画だとどのキャラがお気に入りっすか?

………あー、ライバルの魔法使いかー。

あのキャラ、クールなんだけどちょっとドジっ子属性入ってて超萌えますよねー。

やっぱりお兄さんそういうのが好きなんですね。

じゃあ、ストーリーはどの巻が面白かったっすか?

………あっ、それそれ超わかる―。

井戸の底に落ちた主人公が仲間を助けながら駆け上っていく展開超燃えますよねー。

昔からそういうの好きっすよね、お兄さんは。

………え、菓子っすか?

食べます食べます、お兄さん超気が利くー、好き―!

………あ、チョコレートだー。

いろんな味が入ってる奴だ。

じゃああたしはー………このチョコにします。

…えっ?ああいや、そっちのホワイトチョコ、お兄さんが食べるかなーって思ったんで。

ホワイトチョコ好きでしたよね、お兄さん。

………

………

………

………んー?どうしたんすかー?

………

………あー、やっぱり覚えてないんすか…

じゃあこれなら覚えてます?

【お兄ちゃん♪】

………ダメかー。

わかりましたわかりました。

じゃあ、そこのアルバム取ってくれます?

この間、弟くんに見せてもらったんですけど、そこに映ってるはずなんで。

(ペラペラ)

…あ、これこれ、ちっちゃい頃のお兄さんと弟くんですよね。

で、その隣に映ってる女の子。

ほらこの子、アゴのあたりにほくろあるでしょ?

そのほくろ、あたしのあごにもあるやつなんです。

………はいそうです。この女の子はあたしっす。

昔、近所の公園であたしと同い年くらいの子たくさんと、弟くんのお守りで来たお兄さんで、毎日毎日一緒に遊びましたよね。

鬼ごっこだったりかくれんぼだったり、サッカーだったりドッチボールだったり、ほーんと色々遊びましたよねー。

それで覚えてます?

あたしが猫を追いかけて木に登って、降りられなくなった時のこと。

木の上でワンワン泣いてるあたしを、お兄さんが颯爽と上って助けに来てくれましたよね?

………いやいや、あの時は本当ヒーローかと思いましたもん。

あたし一人っ子だし、親も離婚して働きに出てるから家にほとんどいないし、お兄さんみたいな年上の人に憧れてたんです。

今でも、憧れてるのは全然変わらないですよ。

あー、この人カッコいい。

いつまでもお兄ちゃんでいて欲しい。

あたしのお兄ちゃんになってくれたらなーって。

その気持ちは、全然変わってないです。

そのために、私は弟くんと付き合ってるってわけです。

………え、なんでってそりゃあ。


お兄さんに、あたしの【お兄ちゃん】になってもらうためです。


私が弟くんと付き合ってそのまま夫婦になれば、お兄さんは義理の【お兄ちゃん】ですよね。

名実ともにお兄さんを【お兄ちゃん】って呼べるわけです。

………あー、弟くんっすか?

まあ、優しくて気遣いできるいい人なんですけどねー、でも、男子として好きになるかっていうと、そんなに好きじゃないっす。

あたしが大好きなのはお兄ちゃんだけなので、お兄ちゃん以外の人はそこら辺の石とあんまり変わらないですし。

…え、だから。【お兄ちゃん】の妹なるために、弟くんと付き合ってるってわけですよ。

弟くん、みんなに優しいんで恋のキューピッド役にはなるんですけど、弟くんを好きになる人は皆無で、私が付き合ってあげるって言ったら、そりゃあもう飛んで喜んでくれましたもん。

ああいう子、多分一生恋人とかできないタイプですよ、多分。

そんな弟くんの恋路を、まさかお兄さんが止めたりはしませんよねー?

………

…ん、ああ、知ってますよ?

お兄さんに今カノジョがいること。

………いやいや、普通に弟くんに聞いただけですって。

弟くんは昔のこと覚えてたみたいなんで、自然とお兄さんの話も出るんでますしね。

でも別にあたし、お兄さんにカノジョがいても構いませんよ?

だってあたしがなりたいのはお兄さんのカノジョじゃなくて、【お兄ちゃん】の妹ですから。

カノジョとか恋人か夫婦とか、そういう関係って付き合ってる間はいいですけど、別れたりしちゃうと途端に関係が途切れちゃうじゃないですか。

でも、兄妹の関係は違う。

兄として妹として家族関係になったら、たとえあたしが弟くんと切れたとしても、【お兄ちゃん】と妹の関係はずっと続くんすよ。

いつまでもいつまでも、ずっとずっとその関係が途切れることはない。

だってそれが兄妹として、家族としての関係ってもんですもん。

なのであたしは【お兄ちゃん】にカノジョがいても、恋人がいても、奥さんができても気にしません。

あたしの【お兄ちゃん】でいてくれれば、それでいいんす。

死ぬまでずっとずーっと、【お兄ちゃん】といられればね。

(………ガチャッ)

…あっ、弟くん帰ってきたみたいっすね。

それじゃあ今度とも、末永いお付き合いよろしくねー。

【お兄ちゃん♪】」

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