131 多額の借金をして借金取りが家にやってきた。けど思わぬ幸運に恵まれて借金取りの彼女を…
「(ダンダンダンッ!)
(ダンダンダンッ!)
(ダンダンダンッ!)
おい。家にいるんのわかってんだぞ。
早く開けろ!
(ダンダンダンッ!)
(ダンダンダンッ!)
(ダンダンダンッ!)
(………ガチャッ)
…ほら、やっぱりいるんじゃねーか。
いるんだったら早く開けろっつーんだよ、このクソが。
………あ?近所迷惑だあ?
ハッ!こっちだってあんたに迷惑こいてるっつーのに、なんで近所迷惑なんて気にしなきゃなんねーんだよ。
…で?今日こそ耳をそろえて払ってくれるんだろうなー?
約束だったよなー?
今日中にお前の借金1,000万、返してくれるって。
…はあ?1,000万だよ1,000万だよ。
ほら、この書類に書いてあるだろ?
利息に利息がかかって利息が増え続けて、今日で1,000万だ。
最初に借りたのが30万だからって、返してもらうのは1,000万だよ。
………で?どうなんだ?
ちゃーんと1,000万、用意できたのか?
………ハッ!ハッハッハッ!
すいませんですんだら警察なんていらねーんだよ。
今日中に返すって約束したじゃねーか。
約束が守れねーっていうんじゃしょうがねーなー。
………ああ?臓器?
臓器売ってもこの借金じゃ足りねーっつーの。
………はっ、タダ働き?
この借金返そうって思ったら、返し終わる前に体壊すのがオチだろうが。
この借金を返すために、あんたは今日から私の………
(―――ッ!)
………あ?テレビがどうかしたのか?
やけに大音量にしやがって。さっき近所迷惑どうこういったのはどいつだっつーの。
競馬やってるみてーだけど、それが一体………
………は?1億?
んなバカな。そんなわけ………
………マジで当たってやがる。
クッソ。こんなはずじゃあ。
………あん?今度はなんだよ?
………買う?私を?
そんなことできるわけ………
(ピリリリリリリッ!)
ん、電話か。ボスからじゃねーか。
………あ、ボス。
ええ、ちょうど家のとこ来てるんすけど、あいつが妙なことを………
(ヒョイッ)
あ、おいこら、勝手に電話とるなよ!
(………)
(………)
(………)
早く返せって、おい!
(ポイッ)
………ったく、なんで人のケータイ取ってんだよ。
…あ、すいませんボス。
急にケータイ取られちゃって。
………は?
ボス、今なんて………」
「(ガチャッ)
あ、おかえりなさいませ、ご主人様!
今日もお勤めご苦労様です。
お荷物お持ちいたしますね。
ごはんになさいますか、それともお風呂になさいますか?
………はい、かしこまりました。
それでは、リビングの方へ。
………え、ああ、そうですね。
ご主人様が私を買ってから、もう5年ですね。
私は昔、あの組に借金して入ってわけですけど、ご主人様が私ごと買い取ってくれて、今こうしてここにいるわけです。
でも、今の私は幸せですよ。
実のところ、あの頃の私はご主人様にわざと返せない借金を負わせて、ご主人様を私のものにしようと思っていました。
私の命令を何でも聞くペットとして。
でもこうして、ご主人様に買われて、ご主人様の命令を聞くペットになるというのもなかなか悪くないものです。
………いえいえ、その節は本当にご迷惑を。
ご主人様に買われて当初は、反発してばかりでしたけど、ご主人様の愛情を感じてからは、ご主人様の命令が愛おしくなりました。
命令をしてくれるたびに、ご主人様の愛情を感じます。
借金取りをしていたころは、どうにかして相手に命令を聞かせる立場でしたけど、命令に従うだけの日々がどんなに楽なことか。
………あ、もちろんご主人様だからこそ、命令されたいんですけれどね。
事務所に借金をした時から、ご主人様のことは気になっておりました。
びくびくおどおどして、まるで小動物みたいでかわいらしかったです。
………ええもちろん、今のご主人様たるご主人様も、私は好きです。
これからも私にご命令して、ずっとそばにいさせてくださいね、ご主人様」




