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102 ループ世界に生きる彼女は、彼に愛を伝えるために何度も世界を繰り返す

「(チュンチュンチュン)

ほらほら、早く起きて起きて。

早く起きないと、学校遅刻しちゃうよ?

(………)

…はあ。ようやく起きたね。

朝ごはん作ってあるから、着替えたら下に降りてきてね。

(バタン)

………

………

………

………この回で、今度こそ」




「…あなたのことが好きです。

私と、付き合ってください」




「…あ、ほら。最初はお友達っていうか。

そういう関係でいいから。

だらかとりあえず、ちょっとお試しで付き合ってみない?」




「…あの、ね。

ちょっと、困ったことがあって。

私の彼氏のフリをしてくれないかな?」




「―――あれもダメ。

これもダメ。

それもダメ。

………どんな風に告白しても、ダメなのかな…

………

なら、今度は………」




「…あの、これ、君にプレゼント。

前から君が欲しがったものだよね。

…いいよいいよ。私がプレゼントしたかったんだもん。

………

これからも、何か欲しいものがあったら、私に言って?

どんなものでも、君にプレゼントしてあげるから」




「…大丈夫大丈夫。君は何にもやらないくていいからね。

宿題もテストも。

勉強も受験も。

ぜーんぶ、私がやってあげる。

君は、君のやりたいことだけやってればいいから。

やりたくないこととか嫌なことは、全て、私に任せてね」




「…私は君の奴隷だよ。

君の言うことは何でも聞くし、君が望むことは何でもしてあげる。

………ねえねえ、私に命令して。

君の命令が、私の生き甲斐そのものなんだから」




「―――ダメだったなあ。

君のためになると思ってやったのに、どうして避けられちゃうんだろうね?

………

…もっと、もっともっと。

私の愛を、伝えないと」





「(バッサ)

(バッサ)

(バッサ)

(バッサ)

(バッサ)

………ねえねえ。

これで、邪魔者はみーんな、いなくなったよ。

君が好きになる人は、みーんな、みーんな。

これでもう、君に隣にいるのは私だけ。

私だけを愛してくれるよね?」




「(ジャラン)

(ジャラン)

(ジャラン)

(ジャラン)

(ジャラン)

………逃げようとしてもダメだよー。

その手枷と足枷は、絶対に外せないから。

ここで動けなくなった君に、私の愛を一杯一杯、注いであげる。

だから、私の愛を受け止めてね?」




「(スパッ)

(スパッ)

(スパッ)

(スパッ)

(スパッ)

………ねえ、どうして他の女と目を合わせたり話してるの?

私言ったよね?

そんなことしないでって。

約束を破った君が悪いんだから、その傷も全部全部、君のせいなんだよ?

私の愛を受け止めてくれない、君が悪い。

君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。君が悪い。

私は悪くない。

私の愛を理解してくれない、君が悪い」




「―――また失敗。

また失敗。

まーた失敗。

どうして君は、私の愛がわかってくれないの?

私はこんなにも、君のことを愛しているのに。

何度も何度も繰り返すこの世界の中で、君にアプローチする。

君が「うん」って言ってくれれば、それで終わるのに。

なんでなんでなんでなんで。

君は私を好きになってくれないの?

………

………

………

…そうだね。私の愛が足りないんだよね。

私の愛をもっともっともっともっともっと伝えてれば、今度こそ、私の愛を受け止めてくれるのよね。

私が頑張らなかったのがいけないんだ。

もっと頑張れば、君は振り向いてくれるはず。

だって、君と私は結ばれる運命だもん。

未来永劫、生涯の幸せを約束された関係。

だから神様も、私にこんな世界を体験させてくれるんだもんね。

お賽銭もお祈りも捧げないけど、それだけは神様に感謝してあげる。

………次の世界で1000回目か…

次こそは、必ず…

君に私を好きになってもらうよ。

覚悟してね?

最愛なる、未来の私の彼氏くん」




「(チュンチュンチュン)

ほらほら、早く起きて起きて。

早く起きないと、学校遅刻しちゃうよ?

(………)

…はあ。ようやく起きたね。

朝ごはん作ってあるから、着替えたら下に降りてきてね。

(バタン)

………

………

………

………絶対絶対、今度こそ」


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