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新人魔女と突然の婚約者(2)

 リッカが工房へ着くと、すでに工房に灯りが灯っていた。どうやら今日は、リゼもエルナもいるようだ。


「おはようございます」


 リッカが工房内へ入れば、グリムがいつもの指定席から応える。


「おう。おはようさん。リゼラルブがあんたの事待ってるで」

「え? リゼさんがわたしを?」


 リッカは、グリムに礼を言ってすぐにリゼの元へ向かった。エルナが来てからというもの、リゼはこの時間は大抵食堂にいる。


「おはようございます。リゼさん、エルナさん」


 リッカは、そう声をかけながら食堂へ入る。


「おはようございます。リッカ様」


 リゼの給仕をしていたエルナが微笑みを浮かべながら、挨拶を返した。リゼは視線を一瞬だけリッカに向けた後、すぐに自身の手元へ戻す。その態度にはもう慣れているので、特に何も感じないリッカは、リゼの向かいに腰を下ろした。


「あの、リゼさん。わたしに話があると伺ったのですが」


 リッカの言葉に、リゼは手を動かしながら淡々と言葉を返す。


「ああ。これから君の今後について話さねばならない」

「わたしの今後、ですか?」


 リゼの意外な言葉にリッカは驚きで目を丸くする。しかし、リゼはリッカの疑問には答えず、そのまま言葉を続けた。


「私は昨日、姉上からの呼び出しで城へ赴いた。そして、姉上が新たに王位に就かれることに決まったと伺った」

「え? ああ、新しい国王様はマリアンヌ様なのですね。それはおめでとうございます」


 リッカは、リゼの話の趣旨が掴めなかったが、それでも敬意を払いお祝いの言葉を述べる。しかし、リゼは何も答えず、じっと手元へ視線を落としたままだ。リッカは首を傾げるが、特に何も聞かずに話の続きを促した。


「新しい国王様が即位されるということは、当然この国も新しい体制に変わるという事ですね」

「ああ……」

「それで、わたしの今後というのは?」

「新しい体制の中で、君はどうするつもりかと聞かれている」


 リゼの言葉にリッカはパチクリと瞳を瞬かせた。


「どうすると言われましても……。わたしはこの工房で働く以外のことは考えていませんでしたが……国の新体制に、なぜわたしのことなど……」


 リゼの質問の意図が分からず、リッカは不思議そうに首を捻る。すると、リゼは食事の手を止め顔を上げた。そしてリッカを真っ直ぐに見据えた。


「君次第ではあるが、このままこの工房で働いていても構わない」

「あの、それはどう言うことですか?」


 リゼの言葉にリッカはますます首を捻る。

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