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新人魔女と使い魔の特訓(6)

「魔力の一部を分ける? そんなことが可能なんですか?」


 リッカの疑問にグリムは淡々と答える。


 使役獣や使い魔は、多かれ少なかれ主の魔力の影響下にいる。そのため、主人の魔力であれば、分け与えることが出来るらしい。そして、それは魔力値の強い使い魔や使役獣であればあるほど可能になる。


 ただし、使役獣は主の魔力の影響下に置かれているといっても、所詮は別個体。一度に分け与えられる魔力量には個体差があり、多く魔力を与えすぎると、自身と主人の魔力相違によって、自我を失い暴走する危険性もあるらしい。その点、使い魔は完全に主人と魔力が繋がっているので、暴走の心配はない。


 グリムの説明を聞き終えたリッカは、なるほどと感心する。リッカは魔犬に目を向けた。魔犬の毛並みはまだ少しボサついているものの、かなり綺麗になっている。


「この子は、もう大丈夫と言うことでしょうか?」

「まぁ、そやな。この様子なら明日には元通りになってるやろ。けど、今日は終いや。そいつ、寝床に戻そか」


 グリムは、魔犬の首元の赤い石を再びポンと触る。直後、魔犬の姿は霧のように消えていった。後に残ったのは、赤い宝石だけ。魔犬は宝石の中に戻ったのだった。


 リッカは、魔犬の入った石を拾うと、お疲れ様と小さく労いの言葉をかける。そして、グリムの方を振り返った。


「グリムさんも、フェンの特訓に付き合って頂いて、ありがとうございました」


 リッカがグリムに頭を下げると、グリムはニヤリと笑う。


「おう。まぁ、わいは何もしとれへんけどな」

「いいえ。そんな事はないですよ。グリムさんには、リゼさんの代わりを勤めて頂いたようなものですから。私たちだけの特訓では、フェンが新しい魔法を使えるようになっていたか分かりません」


 リッカの言葉に、グリムは苦笑いを浮かべる。


 しかし、リッカの言う事は、何も間違っていない。魔法を習得するには、実践経験が一番なのだ。一般的には、アカデミーなどで魔力の扱い方と、初歩的な魔法を学ぶのだが、その後の経験値を伸ばすには、やはり実戦での経験に勝るものはない。何をどのように経験していくかで、魔法を使う者のその後は決まってくる。


 治癒魔法に特化する者。攻撃魔法に特化する者。身体強化に特化する者。治癒と攻撃のどちらも使える万能型など、様々な形でその者の魔法は完成していく。


 リッカは、使い魔であっても魔法を習得する過程は、人と変わりないのではないかと考えていた。

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