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新人魔女と使い魔の特訓(3)

 しかし、グリムに話を聞けば、リゼの魔犬は戦闘能力も高く、攻撃性も兼ね備えた優秀な使役獣らしい。


 リッカは半信半疑だったが、フェンがやる気になっている以上断る理由もない。それに今日はこれからフェンの魔法の訓練をする予定だったのだから、ちょうど良いのかもしれない。


 リッカはフェンに向き直ると、声をかけた。


「よし、じゃあフェン。魔法の訓練を始めよう。でも、いい? 昨日みたいな無理はダメだよ」

「はい!」


 リッカの呼びかけにフェンが元気に答える。それを合図に、リッカはグリムに目配せをした。グリムはリッカに頷くと、使役獣に向かって声をかける。


 その瞬間、使役獣の目の色が変わった。魔犬はフェンの方を見つめると、勢いよく駆け出した。フェンも負けじと走り出し、魔犬と距離を取ろうとするが、魔犬の速さには到底敵わない。あっという間に追いつかれてしまう。


 一気にフェンとの距離を詰めた魔犬は、まるでおもちゃでも遊ぶかのように、前脚の爪でフェンをくすぐるように弄ぶ。


 魔犬のあまりにも早い動きにリッカは唖然とするばかり。フェンに何も指示が出せないでいる。翻弄されるフェンと呆然とするリッカを横目に、グリムが一声発した。


「今や」


 グリムの声を合図に、魔犬はすっくと立ち上がる。すると次の瞬間には、その体はみるみる内に大きくなり、あっという間に三メートルほどの巨体となった。


 突然目の前で起こった変異に驚いたリッカが悲鳴にも似た指示をフェンに向ける。


「フェン。逃げて」


 リッカの指示に、フェンは間一髪その場から飛び退いた。そして、すぐさま魔犬から距離をとるように駆け出す。


 しかし、巨体となっても魔犬の俊敏さは変わらなかった。あっという間にフェンに追いつき、再びじゃれつこうとする。魔犬は先ほどとは違い、三メートルもの巨体だ。戯れと言うには少々無理がある。巨体の圧からフェンはなんとか逃げるものの、追いつかれ、また逃げ出すの繰り返し。いつしか、必死の形相で逃げ回るフェンと嬉々として追い回す魔犬という、何とも恐ろしい絵図になっていた。


 しかし、少しするとその様子に変化があった。リッカの目には、魔犬が少し小さくなったように見えた。


 もしかして、魔犬は巨体を長くは維持できないのかもしれない。リッカはそう思った。


「フェン! 相手をよく見て」


 今ならば、そう思ったリッカは、すかさず指示を飛ばした。それを受けて、フェンは逃げ回るのを止め、巨体に対峙する。

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