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新人魔女の魔道具製作(8)

 出来上がった練り物を球状に丸め、清水をかける。すると、みるみるうちに球体が硬質化し、キラリと光を放つ小さな赤い水晶玉となった。火属性を宿した石の完成だ。リッカは同様の作業を繰り返し、それぞれの属性を宿す石を五つ作り上げた。


 それから再び鞄を漁る。取り出したのは、シュラムという木の欠片だ。このシュラムの木片は、とても硬い素材であるため、本来は武器などに使われることが多い。しかし、リッカはそこに目をつけた。木の欠片を水を溜めた桶の中へ沈め、その中でしばらく寝かす。すると、桶の中の水がふつふつと泡立つ。頃合いを見て取り出してみると、シュラムの木片は水を吸って柔らかくなり、加工しやすくなっていた。


 リッカは急いでそのシュラムの木片を星型にくり抜くと、五角それぞれの先端に小さな穴を開け、そこに属性の魔力が宿った石を一つずつ埋め込んだ。そして、シュラムの木片を風魔法で完全に乾かすと、シュラムは元通り硬い木片へと戻った。あとは首輪用の赤いリボンに取り付ければ、リッカ特製、五大属性魔法を補助する魔道具の完成だ。出来上がった魔道具に、リッカは満足げな笑みを浮かべる。


 リッカは早速、完成したばかりの魔道具を手に、フェンを呼んだ。フェンは、初めての魔道具に興味津々といった様子で見つめていた。出来上がった首輪を、リッカはフェンの首元へつけてみる。サイズもぴったりで、フェンの白銀の毛色に赤いリボンがよく映えていた。フェンは尻尾を振って喜んでいた。その様子を見て、リッカも嬉しくなる。


「これでフェンが上手に魔法を使えるようになるといいね」


 リッカの言葉に、フェンは嬉しそうにひと鳴きして応えた。魔法を使う訓練は明日からにして、リッカはフェンを連れて工房へ戻ることにした。


 今日はフェンの魔力属性が分かっただけで、上出来だ。魔法についてはこれから慣れていけばいい。リッカがそんなことを考えながら、工房に入ると、リゼの使い魔であるグリムがソファの上で丸まって寝ているところに出くわした。


 リッカが工房へ入ってきた音に気付き、目を覚ましたグリムは、ふわぁと大きな欠伸をしてから、ググッと体を気持ちよさそうに伸ばした。そして、ソファから飛び下り、リッカの足下にいるフェンに近づいた。


「魔法が使えるようになったんやって?」

「はい!」


 グリムの言葉に、フェンは嬉しそうに応える。そんなフェンのことをグリムは興味深そうにじっと見つめた。

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