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新人魔女の魔道具製作(3)

 リッカはフェンが自分の元に来た時のことを思い出す。あの時、リッカはリゼの使い魔であるグリムが見守るなか、使い魔召喚を行ったのだ。どこか手順が違っていれば、その時グリムに指摘されたはず。


 だから、今、自分の腕の中にいるフェンが使い魔であることは間違いない。それなのに、なぜリゼは、グリムとフェンが違うと言うのか。


 またしても堂々巡りを始めそうになった思考を振り払うように頭を大きく振る。そして、改めてフェンの顔を見た。フェンもリッカをじっと見つめ返してくる。不安なのかどことなく表情が硬い気がする。


 リッカは深呼吸をして心を落ち着けると、ゆっくりと口を開いた。


「リゼさんはああいう人だから、きっと、聞いても何が違うのかは教えてくれないと思うの。だから、まずは、自分たちでどこが違うのか考えなきゃ」


 リッカの言葉を聞いて、フェンも真剣な顔つきになった。


「僕は、グリム様のようになりたいので、僕とグリム様の何が違うのかを知りたいと思います」


 どうやら彼なりに納得できる答えを探してくれるようだ。そのことにホッとして、リッカは笑みを浮かべた。フェンの頭を優しく撫でてから立ち上がる。


「よし、じゃあ、まずはフェンに何が出来るのかを確認しようか」


 リッカの言葉を聞いたフェンは元気よく返事をした。リッカとフェンはまず、自分たちの能力を知ることから始めることにした。


「フェンは、火の玉と水鉄砲を出すことが出来るのよね?」


 リッカの確認に、フェンは大きく尻尾を振りながら何度もうなずく。


「他には? どんな魔法を使える?」


 リッカは期待に満ちた眼差しでフェンを見る。しかし、フェンは申し訳なさそうに耳を伏せて首を横に振るだけだった。


「分かりません。火も水も、突然出せたんです」


 フェン自身も、自分が使える魔法を把握しているわけではないようだ。むしろ、全く自分の能力を把握していないのかもしれない。


「フェン。今、火の玉は出せる?」


 リッカの指示に従ってフェンは全身に力を入れて集中し始めた。しかし、しばらくそうしていたフェンだったが、やがて体から力が抜けた。


「ダメです。何も出ません」


 耳をシュンと垂らしながら言うフェンを見て、リッカは少し考える。


「じゃあ、水は?」


 リッカはフェンに次の指示を出す。フェンは目を閉じ、今度は体中に意識を巡らせているように見えた。しかし、今度もしばらくしてから諦めたように首を横に振った。その後も色々と試してみた。

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