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新人魔女の魔道具製作(2)

 そんなことを考えていたら、無意識のうちにまた難しい顔をしてしまっていたらしい。リッカの様子から察するものがあったらしく、フェンは申し訳なさそうな声で言った。


「僕のせいで悩ませてしまい、申し訳ございません」


 しゅんとするフェンに慌ててフォローを入れる。


「違うよ!」


 突然大きな声を出したせいか、フェンがビクリと身体を震わせた。リッカはフェンに言い聞かせるように、そして、自分の考えをまとめるように慎重に言葉を紡いでいく。


「わたしが知ってる使い魔は、フェンとグリムさんだけなの。大体の人は使役獣は連れていても、使い魔は連れていないの。だから、これまで使い魔なんて見たことがなかったし、わたしには使い魔についての知識がほとんどないの」


 アカデミーで使役獣と使い魔の違いについては習っていた。そのため、多少の知識はある。それに、使役獣は多くの魔法使いや魔女たちが連れているので、比較的身近な存在だった。


 だが、使い魔は違う。術者が魔力により生み出す使い魔は、常に術者と繋がっていて、術者の魔力を糧としている。術者の魔力が常に消費される使い魔を持つということは、魔力に余裕がなくては出来ないことなのである。そのため、使い魔を持つことは一般的ではないのだ。


「だからね。わたしの中の使い魔の基準っていうのかな? それはグリムさんになっているの」


 うまく言葉が出てこず、困ってしまう。それでもなんとか伝えようと、言葉を絞り出す。すると、フェンが嬉しそうに尻尾を振った。


「はい! グリム様は僕の目標です。グリム様はなんでも知っていてすごいです!」


 きっと彼はグリムのことを心から尊敬しているのだろう。キラキラした目で言うフェンを微笑ましく思いながら、頷き返す。


「そうだよね。わたしもそう思う。フェンもいつかグリムさんみたいになるのかなって思っていたの。でも、さっきリゼさんは、フェンはグリムさんとは違うって言ってたでしょう? それがなんだか気になって……」


 腕を組みながら首を傾げる。すると、フェンが不思議そうな顔でリッカを見上げてきた。


「リッカ様。僕とグリム様が違うというのはどういうことなのでしょうか? 僕は使い魔ではないということですか?」


 フェンの言葉にリッカは静かに首を振る。


「あなたが使い魔であることは間違いないわ。だって、リゼさんの魔術書に書いてあった使い魔召喚の記述を参考にしたんだもの。フェンは間違いなくわたしの使い魔だよ」

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