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新人魔女と火を吐く使い魔(7)

 リッカがぼんやりと考えていると、食事を終えたリゼが口を開いた。


「君の食事は済んだのか?」


 リゼはリッカの皿にまだ魔魚の塩焼きが数口分残っていることを気にしているようだった。リッカは慌てて残りの魔魚を口に放り込む。


 リッカが食べ終わるのをお茶を飲みながら静かに待っていたリゼは、リッカが食事を終えると、おもむろに立ち上がった。そして、リッカの方も見ずに言う。


「それを連れて工房の外へ来い」


 リッカは一瞬何を言われているのかわからなかったが、数拍遅れて言葉の意図を理解すると、フェンを抱いて慌てて立ち上がり、リゼの後を追った。


 工房の外へ出ると、リゼが空中に手をかざして何かを呟いていた。すると、何もなかったはずの空間に突然数個の魔法陣が現れた。これからリゼが何をしようとしているのか分からなくてリッカは、リゼに声をかけた。


「あの、リゼさん? 一体何を?」


 リッカの問いに、リゼは答えない。しかし、次の瞬間、リゼが呟いた呪文に呼応して魔法陣から黒い影のようなものが出てきた。そうかと思うと、それらは瞬く間に一箇所に集まって大きな鳥の姿となっていく。


 その姿はカラスに近いが、身体は普通のカラスよりも断然大きく、翼を広げた全長は三メートル程もあった。それは空中で羽ばたき、まるでこちらを威嚇するように鋭い鳴き声を上げる。


 リッカは突然の出来事に驚き、固まってしまった。リゼはそんなリッカの方を見ると、落ち着いた声で言った。


「それの力を試す」


 リッカはようやく我に返ると、リゼのこの行動が先程の自分の質問に対する回答なのだということに気付いた。そして、抱きしめたままだった使い魔を地面に下ろす。


 フェンは巨大カラスの威嚇にも臆することなく、むしろ興味深そうに巨大なカラスを観察していた。


 リッカは改めて自分の使い魔をまじまじと見つめる。子犬ほどの大きさしかないフェンが、果たしてこの化け物じみた大きさのカラス相手に戦えるのだろうか。


 しかし、リッカの心配をよそに、フェンは自分より遥かに大きい存在に対して戦いを挑むような様子を見せた。その意思を読み取ったリッカはフェンに指示を出す。


「フェン、あのカラスに攻撃」


 フェンは短くキャンと鳴くと、勢いよく駆け出した。そして、その勢いのままフェンは巨大カラスに体当たりを仕掛ける。


 しかし、フェンの攻撃は空中のカラスには届かない。フェンはそれでも諦めることなく、何度も巨大カラスに向かっていく。

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