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新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!  作者: 田古 みゆう


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新人魔女と火を吐く使い魔(5)

 リゼの言葉に、リッカは首を横に振った。


「いえ。ここへ来る途中、フェンが獲ったんです」


 リッカがそう答えると、リゼは怪しんだような表情を見せた。そして、リッカに尋ねる。


「フェンとは誰のことだ?」


 リッカはあれと首を傾げてから、ハッとした。そう言えば、リゼとフェンはまだ一度も会っていなかったのだ。


 リッカは慌ててフェンを呼び出した。フェンはリッカの足下にちょこんと座りながら、得意げに尻尾を振っている。


 突然リッカの影から現れた子狼の姿に、エルナは小さく驚きの声を上げ、目を丸くした。リゼは片眉を上げ、観察するようにフェンを凝視していたが、しばらくすると興味を失ったのか、静かに食事を再開した。


「この子がフェンです。リゼさんがお留守の間に生まれた、わたしの使い魔です。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ありませんでした」


 リッカが謝ると、フェンは元気良く吠えた。リゼはそれを聞いて少し驚いたようだったが、すぐに平静を取り戻した。


「君の使い魔のことについては、グリムから報告を受けている。そうか。それがフェンか」


 リゼはそれだけ言うと、黙々と食事を続けた。リッカはそっと胸を撫で下ろす。どうやら怒ってはいないようだ。


 一方、エルナはというと、未だに状況を飲み込めていないらしく、困惑している様子だ。そんなエルナを見て、リッカは思わず笑みをこぼす。


「エルナさんにもご紹介がまだでしたね。この子がわたしの使い魔のフェンです。好物はクッキーです」


 リッカの紹介に、フェンは嬉しげに尻尾を振ると、エルナを見上げてキャンと鳴いた。エルナはその可愛らしさに顔を綻ばせながら、しゃがみ込んでフェンに手を差し伸べる。


 そして、恐る恐るといった様子でフェンの頭を優しく撫でた。フェンは気持ち良さそうな表情をしながら、大人しくエルナの手を受け入れる。それから、もっとと言うように、エルナの手に自分の頭を押し付け始めた。エルナはその行動がよほど嬉しいのか、さらに優しい手つきでフェンの頭に触れた。


「フェンちゃんはとても人懐っこいのですね」


 エルナはフェンの耳の裏を掻いてやりながら、リッカに話しかける。リッカは微笑ましい光景に心癒されながら、はいと答えた。


「この子はとても可愛らしいですが、子犬ですか? 使い魔ということは、使役獣ではないのですよね? 私、使い魔って初めて見ました」


 エルナは楽しそうにしながら、フェンの背中を摩ったり、首元に触れてみたりした。

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