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新人魔女と火を吐く使い魔(4)

 リッカが言うと、リゼはリッカの言葉を遮るようにして言った。


「金はいらん。君は客じゃないからな」


 リッカはその言葉を聞き、目を見開いた。そして、慌てて首を横に振る。


「そういう訳にはいきません。ネージュ・マグノリア製のお薬なんですよ。本来ならとても高価なものだと思います。お金を取らないなんてこと……」


 リッカがそこまで言ったところで、リゼがまた言葉を被せてきた。


「いらんものはいらん。私が勝手に送っただけだ。ありがたく受け取っておけ」


 リゼはそれだけ言い残すと、リッカに背を向けて立ち去ろうとした。しかし、リッカは咄嵯にリゼの服を掴んだ。そして、必死になって訴える。このままでは自分の気が済まない。いくらリゼの好意とはいえ、無償でもらうわけにはいかない。


 すると、リゼが呆れたようにため息をついた。そして、仕方がないといった様子で、口を開きかけた時だった。


 厨房から顔を出したエルナが、二人に声をかける。


「ネージュ様。朝食の支度ができております。リッカ様もこちらへ。お茶を淹れますので」


 リゼは一瞬で表情を明るくすると、エルナの方を振り返りながら答えた。


「ありがとうございます。エルナさん。今、行きます」


 リッカもエルナの方へと視線を向ける。エルナに小さく手招きされ、リッカはリゼの服から手を離した。そのまま、二人は厨房へと向かう。


 リッカがリゼの向かいの席に座ると、エルナが薬草茶を運んできた。リゼの前には朝食が並べられている。その中には、先ほどの魔魚の塩焼きもあった。早速食べ始めるリゼを見ながら、リッカが薬草茶を飲んでいると、まもなくリッカの前にも魔魚の塩焼きが運ばれてきた。驚いたリッカに、エルナは笑顔を浮かべる。


「朝食はお済みかと思いますが、せっかくですからリッカ様も」


 エルナの笑顔に促されるように、リッカは「いただきます」と言って、フォークを手に取った。


 魔魚の身を解していく。塩焼きは綺麗に骨が取り除かれていた。リッカはそれを一口食べる。脂がよく乗っていて、とても美味しい。こんがりと焼けた身に程よい塩味が効いている。やはり魔魚の塩焼きは最高だ。


 リッカは幸せそうに頬張った。その様子を見て、エルナは満足げに微笑む。そして、リゼに向かって言った。


「ネージュ様。今朝のお魚はリッカ様に頂いたのですよ」


 それは、リゼにとっては意外な一言だったようで、リゼは驚いてリッカの顔を見る。


「わざわざ市場で買ってきたのか?」

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