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新人魔女と火を吐く使い魔(3)

 魔魚を解体し終えると、リッカは残りの魔魚と共に鞄に詰め込んだ。


 そして再び歩き出す。そろそろエルナが起き出している頃だろう。朝食の支度に間に合えば良いがと思いながら、リッカは早足で工房へ向かった。


 リッカが工房に着くと、案の定エルナが既に起きていて、厨房を忙しなく動き回っていた。


「エルナさん、おはようございます」


 リッカが声をかけると、エルナは作業の手を止めて振り向いた。そして、リッカの姿を見ると柔らかく微笑んだ。


「リッカ様、おはようございます。もう、お加減はよろしいのですか?」


 リッカはこくりと首を縦に振った。エルナは少し安心したような表情を見せた後、止めていた手を動かし出した。リッカはエルナの邪魔にならないようにしながら、鞄から先ほど解体した魔魚の身を取り出した。


「エルナさん、これ、間に合えば朝食に使ってください」


 リッカが差し出した魔魚の身を受け取りながら、エルナは不思議そうにリッカの顔を見る。


「こちらは、どうされたのですか?」

「ここへ来る途中に、フェンが獲ったんです」


 リッカの言葉を聞いて、エルナは驚いたような表情をした。そして、すぐに笑顔になり、リッカから魔魚の身を受け取った。それから、手早く調理を始める。今日のメニューは魔魚の塩焼きらしい。香ばしい匂いが辺りに漂い始めた。


 料理をする時のエルナはとても生き生きとしている。その姿は本当に楽しげで、見ているだけで幸せな気分になる。


 そんなことを思いながら、リッカは厨房を出ると、工房の中を見て回った。たった数日工房で仕事をしなかっただけなのに、随分と懐かしい気がする。


 しばらく工房内を歩いていると、ふいに後ろから、おいと声をかけられた。驚いて振り返ると、そこには眠そうな顔をしながら立っているリゼがいた。今日の髪色は金色だ。


 リッカは慌てて姿勢を正すと、リゼに向かって頭を下げた。


「おはようございます、リゼさん。昨日はお薬をありがとうございました。おかげですっかり良くなりました」


 リッカが礼を言うと、リゼはフンッと鼻を鳴らした。その態度は相変わらず素っ気ないが、リッカは以前ほどの居心地の悪さを感じなかった。


 リゼはじっとリッカを見つめた後、ゆっくりと口を開いた。


「魔力回復薬は作ったのか?」


 その言葉はぶっきらぼうではあったが、どこか優しい響きがあった。リッカは、はいと答えた後、おずおずとリゼに尋ねる。


「それで、あの……お薬代なのですが……」

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