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新人魔女に届いた蜂蜜色の丸薬(7)

 リッカは改めて、リゼからの手紙に目を通し、もう一度ため息をつく。大賢者であるリゼには、全てお見通しだったようだ。


 リッカは『アルケミー・アカデミー』という魔術を学ぶ場としては最高峰に位置する学校に通っていた。成績優秀者として表彰されたこともある。そのためか、リッカは自身のことを優秀な部類の人間だと思っていた節がある。


 しかし、実際はそうではなかったことを、リッカは今回の件で思い知った。自分はまだまだ未熟なのだと、痛感させられた。


 そもそも魔力枯渇を起こすことなど稀なことだし、そのような状態の時に自作の魔力回復薬の在庫が切れているなんて状況は滅多にないだろう。だから、今回のようなことが起こる可能性は極めて低い。この点は、新人魔女にはなかなか想像出来ない事象かもしれない。


 しかし、魔力値の差や属性魔力の違いから魔力反発が起こることは知識として学んでいたのだ。魔力反発が起こった際、どうなるのかということまでは知らなかったが、それでも、もっと自分がしっかりしていれば防げた事態だったと、リッカは己の至らなさに落胆した。


(やっぱり、リゼさんはすごいな)


 この国の大賢者(ネージュ)であるリゼは多くのことを知っている。そして、大概の事には動じずに正確に対処する。そんなリゼのことを、リッカは改めて尊敬した。そして、同時に思う。リゼのようになりたい、と。


 いつまでも落ち込んでいるわけにはいかない。これからは、魔力回復薬の備蓄を増やしたり、もっと魔術を学んで、万が一に備えておかなくては。リッカは決意を新たにした。


 その時、ホゥと、フクロウの鳴き声が聞こえた。まるで、リッカの考えを読み取ったかのようなタイミングだ。


 リッカは驚いて声の方を見る。すると、いつの間にか窓辺に移動していた白いフクロウがこちらを見つめていた。


 リッカの視線に気付いたフェンが、ピョンとリッカの腕の中から飛び出し、ベッドの上に乗る。リッカは白フクロウのそばへ歩み寄ると、フクロウと視線を合わせた。


「リゼさんにお手紙を書くから、届けてもらえる?」


 リッカの言葉に、白フクロウはホゥと鳴いた。それを了承の返事だと受け取ったリッカは、机に向かい便箋を取り出す。羽ペンを少しの間もて遊びながら、なんと書くべきか考えていたが、やがてインク壺にペン先を浸した。


“リゼさん。貴重なお薬をありがとうございました。おかげさまで回復しました。本日は、ご指示の通りお休みをします”

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