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新人魔女に届いた蜂蜜色の丸薬(5)

 リッカは自身の体に起こったことをフェンに説明した。そして、その薬について書かれた手紙についても簡単に説明する。


 フェンは、リッカの話を聞き終わると、不思議そうに首を傾げた。


「それは……、その薬はきっとリッカ様の乱れた魔力を整えるためのお薬だったのですね」

「私の魔力が乱れていた? 確かに体が重かったけれど。そういうことだったのかしら。でも、どうして……」


 リッカは考え込む。魔力が乱れた原因はなんだろうか。考えられる原因と言えば、昨日の魔力枯渇だ。


 昨日、リッカは魔力枯渇を起こした。そのせいで、体内の魔力が乱れてしまったということだろうか。


「魔力が乱れていたとき、私の魔力が感じられなかったって言ってたけど、どんな感じだったの?」


 リッカはフェンに尋ねる。リッカの問いに、フェンはうーんと考え込んで、しばらくすると、思い出したというように話し始めた。


「リッカ様の魔力は、常に一定で穏やかなんです。僕が生まれた時からずっと変わらないです。クッキーのような優しい匂いのする魔力なんですよ」


 リッカは、自身の魔力がそんなに美味しそうなものであることに驚いたが、今はそんなことを考えている場合ではないと思い直す。


「でも、今日は私の魔力がいつもと違ったのね。どんな風に違っていたの?」


 リッカは質問を重ねる。フェンは再びうーんとうなってから、話し出す。


「いつものような優しい匂いはしませんでした。とても苦いと思いました。それに、なんだかとっても暑かったり、寒かったり……。よく分からない感覚でした」


 リッカはますます分からなくなった。魔力が苦いとはどのような感じなのか。それに、寒い暑いというのも意味不明だ。


 しかし、先ほどフェンが言っていたリッカの魔力とは、あまりにも違うということだけは分かった。一体、自分の体にどのような異変が起こっているのか、リッカには想像できなかった。


 これまで魔力枯渇を起こすほど魔法を使ったことはない。魔力は自然に回復するものだし、急ぐ時は魔力回復薬を飲む。だから、今まで魔力枯渇になったことなどなかった。


 もしかすると、自分の中にある魔力を全て使い切ってしまうと、これまでとは違った魔力になるのだろうか。


 リッカはそんな事を考えながら、フェンの頭を撫でる。フェンはまたしきりにリッカの匂いを嗅ぎ始めていた。腕の中にいる使い魔のふわふわとした白銀の毛並みを撫でながら、リッカはすぐにその考えを否定する。

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