表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新人魔女は、のんびり森で暮らしたい!  作者: 田古 みゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/461

新人魔女に届いた蜂蜜色の丸薬(3)

 ジャックスがどのように話したのかはわからないが、文面からはリゼが心配していることが伺えた。


 続いて飴玉のようなものを手に取る。これは一体なんだろうか。リッカはまじまじとそれを観察する。その表面には複雑な魔法陣が描かれている。これはもしかすると丸薬なのかもしれない。


 リッカは手紙の続きを読む。


“市販の薬は、きっときみには合わないだろう。私の作った特製の回復薬を送る。効き目は保証しよう。口に含むだけで良い”


 リッカはその指示通りに、蜂蜜色の丸薬を口に含んでみた。甘い。そして、とても美味しい。リッカは夢中でそれを舐めた。味わったことのないような甘さだった。口の中でコロコロと転がすと、まるで全身が浄化されていくかのような感覚に陥る。


 しばらくすると、体がぽかぽかと温かくなってきた。まるで全身の血流が良くなったかのような心地良さだ。体も一気に楽になった気がする。今ならなんでもできそうな気分だ。


 リッカは手紙を読み進める。まだ何か書かれているようだ。


“ただし、注意点がある。丸薬の効果は一時的だ。あくまでも応急処置である。薬の効果があるうちに、自身で魔力回復薬を精製しておけ。明日には仕事に来るように”


 読み終わったリッカは、もう一度丸薬を口の中で転がしてみた。やはり甘くておいしい。


(この薬のおかげで随分と体が軽くなったけど、これは一体どんなお薬なんだろう)


 リッカの知る限り、こんなに速攻性があり、しかも、苦くない薬は初めてだった。


 手紙には魔力回復薬を作れと書かれていたのだから、今回の体の異常は、昨日の魔力枯渇からくるものなのだろうが、それにしてもこの即効性と効果の高さは異様だった。


(リゼさんの作ったお薬はやっぱりすごいな)


 そんな安易な感想を抱いていたリッカだったが、突然ある事に思い至りハッとした。これは、あのリゼが精製した薬なのだ。相当価値のある代物であるはず。


(一体、いくらするお薬だったのかしら……。ネージュ・マグノリア製のお薬なんて、私にお支払いできる物なのかしら)


 体が重く、頭が働かない状態だったとはいえ、安易に服用してしまったことを後悔する。しかし、一度飲んだものを返すと言うわけにもいかない。そもそも、貴重な品物を自分のために送ってくれたのだ。


 リッカは、リゼに感謝の念を抱きつつも、おそらく途方もない金額になるであろう請求書に頭を抱えた。自分の小遣いだけでは足りないことは分かりきっている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ