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新人魔女と怪しい店(4)

 リッカは、ベッドサイドに置いてある時計を見る。時刻は午後二時を回ったところだった。まだ市場が閉まるまでには時間がある。


 このまま魔力の自然回復を待つよりは、高価でも市販の魔力回復の薬を買ってきた方が良いかもしれない。


「フェン。これから街へ行きましょう。ミーナさんのお店へ行けば、きっと魔力回復薬を手に入れられるわ」

「はい! 分かりました!」


 元気良く返事をするフェンに、リッカは小さく笑う。


 リッカはベッドから降りるとクローゼットの中から外出着を取り出し着替える。そして、鏡の前で髪を整えてから部屋を出た。


 屋敷を出て、王都の街へとやってきたリッカは、早速目的の場所へと向かう。


 大通りはいつでも人で賑わっている。いつもならば人波の間を縫うように歩きながら、リッカは道端の露店や店先の看板を見ながら歩く。リッカにとって、街はいつも発見の場所である。今まで見たことのないもの、食べたことのないものが溢れていて、リッカはそれらを見て歩くだけでも十分に楽しいと思っていた。


 しかし、今日はいつもよりも足取りが重い。道草を食わず、早々に回復薬を購入しに向かった方が良さそうだ。


 目的地であるミーナの店は、街の中心近くにあるため、もうしばらく街中を歩かなければならない。


 早く到着することを願いつつも、気持ちとは裏腹に、歩みはなかなか進まない。


(魔力枯渇がこれほどまでに辛いとは……)


 リッカは額にうっすらと汗を滲ませながら、なんとか前に進む。


 リッカの足下をトテトテと歩いていたフェンが心配そうに、リッカを見上げたちょうどその時、突然リッカが立ち止まった。誰かに腕を掴まれて引き止められた様だ。


 驚いたリッカが振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。背が低く、腰が曲がっている。纏っているローブも薄汚れていて、どこか怪しい雰囲気の男だ。


 リッカは反射的に手を振り解き、一歩後退る。すると、すかさずその分だけ距離を詰められた。男は、リッカの顔をじっと見つめてくる。


(な、何……)


 男の視線が不快で、リッカは眉根を寄せて不快感を表す。しかし、男は全く気にする様子もなく、さらにぐいっと顔を寄せてきた。


「お嬢ちゃん、随分と顔色が悪くないかい?」


 心配そうな表情を浮かべているが、リッカは、その表情にすら嫌悪感が湧き上がる。


「だ、大丈夫です……」


 なんとか平静を装ってそう答えるが、男の顔が離れることはない。それどころか、ますます近付いてくる。

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